あと、一応結末は決めてあるんですが、スーパーバッドエンドとバッドエンド、ハッピーエンドが浮かんでるんですよね…
正直どれにしようか迷ってるので
アンケート取ります。
投票よろしくお願いします。
─2023年4月8日第11層 タフト─
「我ら月夜の黒猫団に、乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
「そして、命の恩人ゼロさんに、乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
「か、乾杯…」
困ったことになった。
今日はユウキが用事で外出しており、暇だったので一人で中層の迷宮区で素材集めをしていたのだが、そこで沢山のモンスターに囲まれている集団を発見して助けた。
それが、今一緒にいる『月夜の黒猫団』だ。
ちなみに、アスナとランは『血盟騎士団』というギルドに入り、ディアベルは『聖竜連合』というギルドを率いていて、今は俺とユウキでコンビを組んでいる。
黒猫団のメンバーはケイタ、テツオ、ササマル、ダッカー、サチの5人。中層ギルドじゃレベルは高い方だった。
「失礼ですがゼロさん、レベルは幾つくらいなんですか?」
「…レベルは今45だ。」
「僕たちの倍くらいあるんですね…と言うことは攻略組なんですか?」
「ケイタ、敬語はやめにしよう。一応、攻略組をやらせてもらってるよ。」
隠す理由もないし、包み隠さず話した。
これで面倒ごとにならないと良いのだが…
「迷惑だったら断ってくれても良いんだけどさ、黒猫団に入らないか?今前衛ができるのがメイス使いのテツオしかいなくてさ。サチを盾持ちの片手剣に転向させようと思ってるんだ。でも勝手がわからないみたいで、コーチして欲しいんだ。」
──フラグ回収が早すぎる。まあ、取り敢えずユウキに確認だな。
「…取り敢えず相棒に確認するから待っててくれ」
ユウキには黒猫団の件で手伝ってもいいか確認のメッセージを送る。すると1分もしないうちにユウキから、
「手伝うのは良いけど、それでも前線から離れるのは一週間程度にしよう。ボクも今そっちに行くから待ってて」
と返ってきた。
「えっと、俺も一応攻略組だし、ギルドに入るのは無理だ。手伝うだけなら良いけど、前線から離れられるのは一週間程度。それと、今から俺の相棒がこっちに来るらしい。」
「そっか…分かった」
「…ごめんな」
ケイタは一瞬悲しそうな顔をしたが、渋々了承してくれた。
それから5分ほどして、酒場に一人の女性…俺の相棒が入ってきた。
「お待たせ、ゼロ」
「おう。紹介するよ。こいつは俺の相棒のユウキ。で、こっちは月夜の黒猫団のケイタ、テツオ、ササマル、ダッカー、サチだ。」
「ユウキです!皆、よろしくね」
「「「「「よろしく!!」」」」」
─4月13日午後22時32分 28層フィールド─
俺とユウキは黒猫団に指導を続けており、黒猫団のレベルも上がって、攻略組への仲間入りも夢ではなくなって来ていた。
その中で俺とユウキは、こうして夜の空いた時間に最前線のフィールドにレベリングをしに来るのだ。
この4日で俺たちのレベルも勿論上がっており、俺は48、ユウキは45になっていた。
粗方狩り尽くし、再湧出するのを待っている間、気がかりになっていたことをユウキに聞いてみる。
「どう思う?ユウキ」
「何が?」
「サチのことだ」
「ああ…サチに前衛は無理だよね…びびって目を瞑っちゃってるし。出来るなら生産職の方に回ってもらった方が良いんだけど…」
俺もユウキと同じ考えだ。サチは恐怖を拭いきれておらず、攻撃をするときと防御をするときに目を瞑って隙ができてしまっていたのだ。
だが、その事に黒猫団の他のメンバーは誰も気づいていない。その上、サチは周りに気を使って遠慮してしまっている。これが問題なのだ。
「だよなぁ…ん?」
メッセージが届いた。確認するとケイタからのようだ。内容は──
「ユウキ!サチがいなくなったらしい!探しにいくぞ!」
「えっ!?う、うん!」
俺は追跡スキルをセットし、対象を設定する。
サチはとある水路の奥にいた。そこで蹲って顔を伏せている。
「サチ」
俺たちに気がついたサチは顔を上げてこちらを見た。
その顔はとても暗いものだった。
「ゼロ、ユウキ…」
「皆心配してるよ?」
ユウキはなるべく笑顔でそう言ったが、サチは逆に俯いてしまった。
俺たち二人がサチから少し離れたところに座るとサチは話を始めた。
「ねえ、私逃げたい…………」
「「?」」
その一言に俺たちは疑問符を浮かべる。それに気付いたのか、元々言うつもりだったのか、口を開いた。
「この街から、モンスターから、黒猫団の皆から…………ソードアート・オンラインから」
「そ、そ、それはまさか……心中?」
SAOから逃げようと言われたらそう思うのも当然だ。でもユウキの目の前でそんなことを…
「それもいいかもね…」
「サチ!!」
ユウキが今まで見たことのない剣幕で怒鳴り付けた。しかし、サチは動じず、
「ううん、嘘。その勇気があるなら最初から街に閉じ籠ったりしないよね。私、死ぬのが怖い。」
「大丈夫、君は死なないよ。君も黒猫団の皆も安全マージンも十分とってるし、嫌なら無理に前に出る必要もない。それこそ生産職だっていいじゃないか。」
「本当に?本当に私は死なない?」
「死なないよ。いつかボクたちと一緒に現実に帰ろう。」
「……うんっ」
そして、ケイタ達に連絡を入れ、俺たちは宿屋にサチを送っていくことにした。
その後ケイタたちと合流すると、ケイタは今日の狩りでギルドホームが買えるコルが貯まったと話した。
次の日に家を買いにはじまりの街に転移していくケイタを見送った後、俺たちは家具を買うためのコルを稼ぎに27層の迷宮区に行くことになった。
俺とユウキはいつもの狩り場で良いのではないかと提案したが押し切られてしまった。
27層迷宮区はトラップが多い。そのため攻略組からも犠牲者が出たことがあったが、安全マージンは十分とれているし、大丈夫だろう、という判断をして引き下がってしまった。
「お、隠し扉…トレジャーボックスだ!うひょー!」
俺たちは隠し扉を発見し、開けて中を覗くと宝箱があった。
しかし、ここに隠し扉があったような覚えはない。
「ユウキ、こんなところに隠し扉なんてあったか?」
「いや、なかった……っ!」
ユウキも事の重大性に気づいたのか息を飲む。
「ダメだ!その宝箱を開けるな!」
しかしもう遅かった。宝箱は既に開けられており、部屋が赤く光って警報が鳴っている。
入り口は閉じられており、結晶も使えず、モンスターがどんどん湧いてくる。
「皆!部屋の中央に集まれ!俺とユウキでこいつらを片付けるから、溢したやつを頼む!」
黒猫団を部屋の中央にやり、俺とユウキは上位剣技を惜しみ無く使っていく。
エネミーは着々と数を減らし、残り数体となったところで、黒猫団が2体のゴーレムに苦戦しているのが見えた。
──ズキッ
頭に痛みが走るが、構わず駆け出す。
──ズキッ
痛みが増す。だが、駆けるのはやめず、ソードスキルを打ち出す体制に入る。
「うおおおおおおっ!!!」
片手剣重突進ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》。
一撃必殺の突き技で2体一気に倒そうとした。
しかし寸前、世界から色が抜け落ちた。
すると、黒髪の中学生くらいの少年が小学校に入ったかどうかの子供を突き飛ばす映像が目の前に重なった。
道路にはサッカーボールが転がっており、黒髪の少年のすぐそこには─────トラックが。
そして、世界が再び動き出す。
2体のゴーレムがポリゴンと化すと同時に、今まで生きてきて、記憶を失う前も恐らく体感したことのないであろうほどの頭痛が、俺を襲う。
「があああああああっ!!!!」
叫び、剣を取り落とし、頭を押さえ、膝をつき、呻く。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイたいいたイいタいイたイ痛イイタイいたい─────
「うっ、ああああ」
「っっ!和人!!!」
誰かに本名を呼ばれた気がしたが、それが誰かは分からない。
俺の意識はそこで無くなった。
次回、《記憶》