死を待つ男と黄金の夢   作:黄金色の虫

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イタリアのことは少し調べただけなのでおかしな場所があれば教えてください


出会い その①

僕はイタリアに来ていた。なんてことは無い、もうすぐ死ぬからだ。

確証はないが、確かに感じる。死がすぐそこまで迫っている。今にも飛び掛ってきそうな程に。

だから死がやってくる前にこっちから迎え入れてやろうと思ったわけだ。

 

 

そこからなぜイタリアに行くってなるのか分からないって?

 

ナポリを見てから死ねって言うだろ? あと昔のドラマに『ベニスに死す』なんてのもあったし。内容は知らないけどね。

 

 

ま、単純にヴェネチアに行きたかったってのもあるが。

 

本当はほかの場所にも行きたかったんだぜ? ニューオーリンズとかカイロとか。でもお金がそんなになくてね。どこに行くかさんざん悩んだ末にイタリアに決めたわけだ。

 

 

 

 

まぁでもこの旅の中で巻き込まれたある事件について知ることが出来ていれば選んでなかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「坊や……ほんのちょっぴりでいいんだ……恵んでおくれ……」

 

 

通りを歩く日本人の青年。彼に話しかけるのは悪臭を漂わせる1人の浮浪者。

そのしわがれた手で青年の肩を持ち顔を近づける浮浪者。

 

 

「もう3日も食べてないんだ……」

 

 

「いいですよ」

 

 

日本人の青年は彼に微笑み、財布を取り出した。

 

そこに近づく人影。一人の男だった。財布を取り出した青年は後ろから近づく男に気づかず、ぶつかる。

 

衝撃を受けた彼は思わず手を付き四つん這いになった。腕に痺れが走り、顔をほんの少しゆがめる。

 

 

 

 

そして顔を上げてみればぶつかってきた男も浮浪者も、そしてぶつかった弾みに落とした財布も忽然と消えていた。

 

 

「おいおい、うそだろ?」

 

 

あたりを見渡すも、人っ子一人おらず途方に暮れる。

旅のための軍資金。それを初日に全て失ってしまったという事実が重くのしかかる。

 

 

「……まぁいいや。予定がズレただけだ」

 

 

どこかいい場所を探そう。と、彼は呟いた。

 

 

 

 

「すいません。これ、あなたのですよね」

 

 

 

 

 

そして運命の出会いを果たす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう。危うく初日で旅が終わるところだったよ」

 

 

ナポリのとあるトラットリア(食堂)。青年は彼の財布を取り返してくれた少年にお礼をしようと奢ることにした。最初はそんなものは要らないと断っていた少年も青年のなかなか折れない強情っぷりに奢られることにした。

 

 

「いえ……。そう言えばイタリアには観光ですか?」

 

 

スパゲティを巻きながら少年(本人はジョルノ・ジョバァーナと名乗った)は青年に尋ねる。社交辞令に近いもので特に深い意味はなかったが。

 

 

「ええと……まぁそんな所かな」

 

 

ジョルノは少し含みのある答えに少し疑問を抱くも「まぁ誰しも隠し事はあるだろう」と結論を出し、続ける。

 

 

「今日が初日なんですよね、泊まる場所なんかは決めてるんですか?」

 

 

「いや、まだ特には。最悪どこかで一晩明かすよ」

 

 

「……いや、それはやめた方がいい。ここは日本と違ってそこまで治安がいいわけじゃない。むしろ悪い方だ。日本人のあなたが真夜中外にいれば何に巻き込まれるか分からない」

 

 

「そうなのか。……どうしようかな、どこか今から取れる宿を知ってるかい?」

 

 

ジョルノに尋ねる青年。ジョルノにはここまで世話を見る必要はなかった。むしろ普段ならカモにしているところだった。だが、今回はなんとなく人に親切にするのも悪くないのかもしれないと思ったのだ。

 

 

「そうですね……ここら辺なら〇〇とかなら比較的安めだと思います。」

 

 

「そうなのか。じゃあちょっと行って部屋が空いてるか聞いてみるよ。度々すまないね。ありがとう」

 

 

青年は立ち上がり二人分の代金とチップを置くとジョルノの肩を叩き店を出る。

 

 

「あの」

 

 

その背中にジョルノは声をかけた。

 

 

「名前、聞いてもいいですか?」

 

 

なぜ聞いたのかはわからない。もしかしたら感覚的に近いうちにまた会うと感じたのかもしれない。

 

 

「ああ、自己紹介がまだだったね。僕は白石 幸也。出身は日本だ」

 

 

「幸也さんですね。……また縁があれば会いましょう」

 

 

「ああ」

 

 

今度こそ青年、幸也は店を出てジョルノの紹介したホテルへ向かっていった。

 

 

「あなたは優しい人だ。だが、それはこの街では付け入る隙になる。この街じゃあ油断しちゃダメですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピシリと眠れる奴隷達の枷にヒビが入った。




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