教室で椅子に座って机に向かう。授業中、しっかりと聞こうとは思っているが数学の授業だと意識がどうしてもずれていく。
ノートを見詰め消しゴムで書き間違いを消す…今90点だから後10点でスグルを復活させられる、でも其の後100点取れるのか。消し過ぎた文字と数字を書き直し、板書を進める。"より強い武器”を持っていても容易く死んだりする…先生の解説を何と無く聞きながら教室を見回す。室内だからコートを着ている生徒は居ない。
黒いスーツを着て体の線をはっきりと出した2人の女性を思い出す。ヤマダさん…キンナさんと湊さん。キンナさん胸あるよな…。クラスのカワイイ女子が視界にちらつき、脳裏にキョウ、滝田 恭、スグルの妹、も映る。
あまり身が入らないまま授業が終わり昼休みになる。食堂に行こう。話し掛けて来そうな同級生達を顔を伏せ、話し掛けるなオーラ全開で足早にやり過ごす。短い休み時間は勉強に没頭して殆ど返事をしていない。
バスケ部の準スタメンになった1年が急に辞めた事でいじられる事が怖い。同じ学年の家出少年についても同様だし、柔道部、剣道部に入っては直ぐ辞める自分が悪目立ちしている事は周りの話し声で解ってしまう。
秘密の闘争に参加しているからなんだ、生きる為なんだ…いや、殺すためだ…。今日は体育があるからスーツを持って来ておらず、手ぶらで歩く。不安だ…もう1ヶ月は過ぎてるし…居心地が悪い、早退したい、部屋に隠してあるスーツと刀と銃、見つかってないかな、透明化しても触ることは出来るしな、鍵付きの箱に入れてはあるが…腹がすいた。
そろそろ券売機の順番だ。
エントリー番号1、日替わり定食(唐揚げ)、2番餃子定食、3番焼き魚定食…ラーメンに炒飯も捨て難いな。カレー…はいいかな。よし、魚と餃子、後唐揚げも食べようかな。食べ過ぎか?喰い切れるか?
………。
空いている席見っけ。料理を置き、椅子を引いて座る。
「いただきます」
呟いた。魚の身を箸でほぐして口へ。パサパサしてる。プレートには皿が満載だからお茶は入れて来てないんだが…席を離れるのはなあ。ご飯の椀を左手で持ち上げ米を口にする。…期待はしていなかった。餃子を一個。…肉汁が溢れては来ない。まあ温かいが。ご飯を取る。飲み込んで、付け合わせのパセリを摘む。唐揚げ。肉汁が出て来る。思った通りの味だ。
「ー」
綺麗な声だ。誰か話し掛けて来た。
「ごめん、聞き取れなかった。何か御用で?」