一夜漬けの友ー1
ヤマダさんに目を向ける。
「そうするかな、とは思ってた…」
…常識的に考えて可笑しな選択では、無い。__点数勿体無いな。
「そうなんですね」
ヤマダさんも、そうするつもりなのか…?20人居た部屋はもう私とヤマダさん、後はソウしか居ない。右手のミナトさんのズシリとした重力銃に目を落とす。次回クリア出来るのだろうか。やっぱ、キンナさんの選択は正しいな。
そうだ。
「荷物持って無かったですよね」
「.....ああ、キンナのね。そーいやそうだな、持ってってやろうかな」
「ヤマダさん、苗字同じすね。もしか__」
幾つかある荷物を見る__また重力銃の入るバッグ探さなきゃな、同じのまだ売ってるか、そうだバイクと一緒に向こうの部屋に来てないかな__ミナトさんのカバンがある__スグルの服も死亡した他の味方のもまだあるが、キンナさんのは、見当たらないな。
「ヤマダさん、ヤマダさんの荷物、分かりますか」
「…俺は名前で呼べよ。で、荷物は無いな。一緒に転送されたのか」
聞いた事あったか?
「先輩と呼びますね」
海星の時聞いた様な気がするが…。
「俺も先輩って呼んでいいすか?」
「…ああ、いいよ」
「それで、荷物は彼女と一緒に転送されたんですね」
条件を検証したいな。
「だな」「みたいっすね」
「ヤマダさん、いえ先輩、何処まで記憶が消されているのか、連絡を取って調べてくれませんか」
「うーん、まあ了解。携帯持ってるか?」
「俺ありますよ」
私はない、が、情報をあんまり知られたくない。
「…死んで回収出来ないかも知れないし、貴重品は持ってません」
考えてみたらこの人達とこの事態の最中か日常で戦う可能性もある。兵器は悪用出来る、黒球のルールに何処まで許されるのだろう.....
「あ、たしかに!」
「.....死ぬとか考えてたのか?」
訝しげに聞く事か?
「ソウは気になるなら持って次から持って来ない様にしたら?それとソウと呼んでいいか?先輩の方は、私が解放される事を選ばなかったから意外だと思うんですか?」
「いいっすよ。先輩、ふつう死ぬかもとは思うんじゃないすか?続けてたら」
「うん、ソウの言うとおりだし俺も死ぬかもとは思ってるけど…ラッキー、2番を選んだろ。楽しんでるのかな、と」
そういう側面もあるかも知れない…。
「友達を生き返らせてもすぐ2人とも死ぬかも知れないでしょう。だから、どんどん強力な兵器を得ていって、バリアとか安心出来る防御が得られてから友達を生き返らせるつもりです」
どれだけかかるか分からないが…その後解放を選ぶ、かなあ。…怪物が用意されたモノではなくて普段から日常に潜んでいるとしたら…妙な兵器とか、気になる事が多いよな、少なくともこういう記憶は消されるのだろうし…
「え、バリアとかあるんですか?」
バイクからは出ないな。この後も試してから帰るつもりだが。この部屋、少なくとも追加兵器の部屋はどうも破壊できないみたいだしな…。
「今の所出て来てないな。でもありそうじゃないか、先輩もそう思いませんか」
「ああ、たしかにあるかもな、俺も見た事ないけど」
そろそろ雑談を切り上げたいな。
「あの、私はバイクの機能を試してから帰るので、2人は先に帰ってて下さい」
言葉を交わしつつ追加武器の部屋の扉に向かい、それを開ける。足の付いた端末が1つしか無い。ミナトさんのは消えたのか。彼女の重力銃を持ち直しつつ振り返り、黒球に声を掛けてみる。
「私のより強力な兵器を出してくれませんか」
転がる柄や、三角銃__拘束用ってミナトさんに聞いたな__を避けながら光る画面に近付く。重力銃とバイクの図に順番に触れる。振り返ると、それらが転送されて来ている。バイクの座席にはバッグも付いていた。よかった…ミナトさんの重力銃をあれに入れて持って帰ろう。置いて帰ったら回収されそうだ。