飛行バイクを急制動する。ビーノの小さい悲鳴と共に叫ぶ。
「チィッ、ふざけるなよ!」
こっちに撃ってきやがって!
「すんませーん、敵かと思っちゃってー」
敵は今私と先輩が地面に押し潰してるだろうが!宙に浮かぶ私達しか上には居ないだろ!
「おいおい、撃ち続けてろ!もう1体近付いて来てるみたいなんだから早めに仕留めないとまずいんだぞ!?」
重力銃で化け物を抑える必要が無かったらあのカップルに撃ってたぞ!
ビーノは無事か?スーツ無しだとライフル型なら一撃で死んでも可笑しくない。当たってたらもう破裂しているとは思うが__
「ビーノ、当たってないよな!?」
横にして突き出した重力銃の照準画面から目を離さず__3体の大きな怪物を2挺の重力銃の範囲で抑えつけられている現状は幸運だな__背中の彼女に声を掛ける。
「大丈夫っぽい。.....反応スゴイね?向けられた銃から避けながら撃ち続けるって.....歴戦の猛者ってカンジ」
照れるな.....周辺に眼を配っているだけだが。
「有り難う、ビーノも撃ち続けろよ?」
以前と同じ、高層ビルが並び幅の広い道路、道路にできた円形の窪み、違いはまだ死者がいない事だけ.....
「わかってるって」
「来たぞ!どうする!?」
青紫色の塊が霞みがかりながら正面の道路の先から向かって来ている__アイツ毒持ちっぽいヤツか__如何する?アイツが優先、かな。
横から肌色の塊__ビーノの警告する声__銃口を地面から離し空中で斜めの円を描く様にして回避__避け切ったか?
「ビーノ、無事か?」
落下する敵に照準を合わせるよう飛行バイクを制御しながら聞く。
「あ、あたしは平気!だけど下が…!」
トリガーを2つとも同時に引き続けながら確認してみる…
喚き声が響き、血塗れの海星の様な人の手の様な怪物3体が低く短く跳ね、黒いスーツ姿の数人が駆け回り__青い光を曳いてるのは先輩とソウかな__青紫の化け物が変色して__
ボロボロの怪物が1匹此方に跳び上がって来る__飛行バイクを移動させながら銃口を__?宙で破裂した!?
誰かが撃っていたのか__下の状況は__紫に黄色のラインが入ったヤツは健在、か。他の同じ形のヤツとは違う緩急のある道路を這う動き__遠くからだと無理か?だがアイツに近付くには毒と後ろのスーツを着てないビーノが懸念になる__動き回る敵達に疎らに攻撃を続ける__後ろでも撃ってる音がするが、彼女は私や飛行バイクに当てていないよな…?
__点を取るには皆殺しにしないと。重力銃より強力な武器を持っているんだ、もっと活かさないでどうする?
飛行バイクで飛びながら撃ちまくる__此方を狙って跳ぶヤツラは狙い目だが、今は灰紫になったヤツは来ない__
…やられ始めた下の味方を見捨てて一度距離を取るか?敵は殺せても後で人同士の殺し合いになるかも__言い訳なら幾らでもあるか。そもそも私の方が強いし、向かっては来ないだろう。
速度を上げて道路に沿って移動する。
「えぇっ、ちょっ!」
歩道に寄せて着陸する。
「ビーノ、降りてく__」
「なにやってんの!?死んでってたんだよ!?あん__」
「今から戻る!毒のあるヤツに突っ込むんだ、君は降りてくれ!」
いいヒトだが、今は面倒だ__
「上着を私にくれ、毒対策で体の前に掛ける」
彼女が降りながら何か言う。聞こえない、なんてゆったんだ?重力銃を置き、椅子にくくり付けたバッグに手を入れ、丸くて小さい強力な筈の兵器を探り当てる。
「なんだ?」
「ほら!」
投げられたジャンパーを反対の手で受け取る。逆向きに肩に掛け、首の後ろで袖を結ぶ。重力銃を拾い上げてバッグに突っ込む。
「隠れていてくれ。スーツ無しだと、これ以上は無理だろう。寒いだろうし屋内に入ったらどう?」
左手の地図を見る。青い光点が2つポツンとある。
「ちゃんと倒してね?…わたしの服、返さないとまるっきり強盗だよ」
1地点で赤と青の点が入り混じっている。赤が2、いや1つ減って1、青が3__2つ離脱、いや全て逃げ出していく。
「服はきっと返せない、悪いな。それと強盗は言い過ぎだろ?」
どんな毒か解ったもんじゃない、これは直ぐ脱ぎ捨てる__息も止めとかないと危険か?
「ねえ!」
叫びを聞き流し飛行バイクを動かし、大きく旋回して向きを変え、引き返す。
両脇の風景が流れていく__