明るく照らされた大広間には、幾つもの丸テーブルの間を縫いながら移動する人々が、立ち止まっている者も僅かにいるが、グラスや料理を摘み、談笑していても、壁や天井から吊るされた複数の3メートル強の幅がある大画面を見比べている。液晶画面に見惚れない者は、摘みやグラスを盆にのせて運んで動き回るウェイターやウェイトレス達ぐらいだ。10メートルはありそうな高い天井から吊るされた画面はどれも6面で、そろぞれ別の人や怪物が複数、そして違う風景が映っている。壁に掛けられた画面には、近未来的な兵器や、それらを纏ったり手に持ったり乗ったりした人の姿が拡大され映し出され、焦点が移動したり映像が切り替わったりしている。
実物に近い大きさの人間のキャラクター達の上には基本的に2種類の字が浮かぶ。片方は【波長0】や【波長1】、【波長2】で、もう一種は【クリア0】から少なくとも6まである。スーツについた白く小さい円型の機器が青く光り黒い生地に複雑に筋が励起しているキャラクターの上には更に【集中】の字も付いている。敵キャラ、人間を襲ったり殺されたりしているリアルな怪物や人型の上には様々な数字が表示されている。特に大きい数字の付いたそれらが倒されると騒めきが観客から起こる。極稀に数字が変更されると、どよめきが....。
液晶の一面上で、高速で追いかけっこを演じていた一方の鮮やかな紫の怪物が動きを止め、もう片方の【波長1】【クリア4】【集中】が頭上に浮かぶ人間が向きを変えて長刀で斬りかかった。人間は2つに割かれた怪物から離れた地点に着地し、崩れ落ちたが、怪物の上の表示が【100】から【69】へ激減すると共に青い光と共に体が徐々に消えていき、その生存を確定させた。
タキシードやドレス姿の人々は優雅に、僅かに熱に浮かされた様に交流している。会場にはカジノのようにチップを遣り取りする台と座席もあり、その近くの壁際にはバーが併設されている。バーで薄緑色に満たされたグラスを傾けていた人物がその魅力的な顔、通った鼻筋は変わらないが、奥二重の大きな目と薄い桃色の唇と血色のいい頬を、軽く歪めた。
「ちょっと、それはないなー」
思わず漏らした様に小さい日本語の呟きは吐き捨てるようで、冷たい響きを伴っていた。
「トヨカ様、入れ込むべきではありませんよ」
斜め横から、柔らかく声がその人物にかけられる。
「....ああ、いや、点数をあそこまで引き下げるのは珍しいだろう?管理側を気にしているのかも知れないよ」
言語を合わせてなされた返答はすぐさま切り返され__
「転送直前に4から5に変わるかの方を注視してらしたでしょう。それにね、ダメージの累積で波長が1に戻ったときなど顔色を悪くしてらしたわ」
「はは、あなたのような淑女に気にかけて貰えるとは光栄です」
「フフッ、嫌味かしら?」
「とんでもない、あは」
......違う場所でも、同じ催しが開催されていた。
少し仄暗い、オレンジの灯りに照らされた木造風の広間には3つの長机に並んで十数人が泡立った飲み物をジョッキでがぶ飲みしながら、大声を上げている。剥製などもあるが、調度品にそぐわない6つの大画面が机の短辺に平行に掲げられている。
【波長1】【クリア2】と表示されたキャラクターが【28】が頭上に浮かぶ巨大な双頭の蟻に乗り込んでいた円状の乗り物ごと地面に押し付けられている。その右隣の画面では人型のキャラクター達が入り混じっている水際の森か林を、俯瞰するように映し出されている。左隣では【クリア0】【波長2】のキャラクター6体が【84】が浮かぶドラゴンの彫像を半包囲するようにゆっくり動き__突如首を動かした生きた怪物が羽ばたいて宙に浮き__その巨体の部分部分が液体を撒き散らすように小さく破裂した。机の反対側に並ぶ画面には、それれぞれ【波長1】【クリア1】【集中】が浮かぶキャラクターと【23】が浮かぶ虎のような獣2匹との睨み合い、巨大なヤドカリに似たグロテスクな怪物、その【54】と示されたバケモノに引き摺られる様々な表示の人型キャラクター達、そして、両脇に建物が並ぶ道で、表示の出ていない人型のキャラクター達を巻き込んでぐちゃぐちゃにしながら跳躍している、コの字の機械を振り回す【波長1】【クリア6】の文字を頭上に引き連れたキャラクター1体と馬鹿に長い刀を振り乱す【波長1】【クリア3】のキャラクター3体と【39】を浮かべた3本腕の案山子みたいな危険生物7体が、地面に倒れた【波長0】【クリア0】のキャラクターと共に映っている。
観戦者共の陽気な笑い声が室内を木霊する....
......開催者側と観客側では受け取り方が違う。娯楽。勧誘。示威。営業....。
黒や紺、水色のスーツ姿の人々が綺麗な列に並べられたクッションがきいた肘掛けと背もたれもしっかりとした椅子に座って正面の大画面に注視している。【100】と表示された十字のようなウニのような物体が、多様な表示の人型キャラを蹂躙していく。並んだ背の低い建物も突き崩しながら暴れ回り、不自然に長い刀の斬撃や空間を奔る長短の光条がその奇妙な標的を追って破壊を拡大していき、更に円形の窪みが複数忽然と出現する。
映像を見守っている男女はそれぞれが無言で視線を固定していたり隣に囁きかけたり様々な反応を見せるが、画面から眼を逸らす者は僅かだ。
画面上では暗い舞台に上げられたキャラクター達と街を形作るオブジェクト群が破壊され続けている。タタカイ、は更なる激化を呈してゆく__【波長2】【クリア7】の表示を引き連れて上半身が大きい人型の黒く鈍い光沢のある機械が、【100】を浮かべた存在にその肘から刀身を生やした巨大な両腕で掴みかかり、そして破壊がそれらの周囲に集中した__。
本編の続きも急いで投稿します。
すいません、加筆しました。