テストかゲームか戦争か   作:シューズ

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リザルト:O点

 

リュックサックから新しい紙を取り出して傾けた体を戻して座り直し、ノートに加える。

 

????年7月?日、と。

 

 

「ねえ、ラッキーさん、覆面辞めたら?前回は脱いでたじゃん」

 

顔を上げる。モチノか。

 

「用心してるんだ」

 

この前の女とか。もう顔見られているけど。

 

「転送でここに戻って来たら電話番号を交換しないか?後、私の点取りに協力する気はあるか?」

 

あの女子の顔覚えて無いから、壁際で小さくなる羽目になってるんだ、こいつなら顔判る筈だ、私に好意的なら聞こう。

 

「いいよ、約束は守ります。空飛ぶ乗り物には乗せてよ、止めは譲るから、銃も持たせてー?」

 

今の笑い顔は媚びてるだけだろうが、最初の真剣な顔はまあまあ良かった。

 

「有り難う。勿論武器は携帯してくれ」

 

日付を書き切ってから__年まで書かなくても良かったかな、月と日も点でいいかも__立ち上がり、彼女に軽く頭を下げる。覆面も取った方が良かったかな....

 

「ごめん、覆面付けたままで」

 

「謝んなくていいって」

 

 

「そうか、助かる」

 

シャーペンの芯をしまい、ルーズリーフノートの表紙にクリップで付けて丸ごとリュックに入れ、チャックを閉じる。

 

 

「....覆面、捨ててきてなかった?」

 

「あの後でまた買った」

 

覆面の話はもういい。それよりも聞きたいことがある。__まだ始まらないのか?首だけ振って部屋を見渡す、20人ぐらい居るな、際立って多いって訳ではない?

 

「前回、錯乱していた女性はどうだ?未だ根に持って居るのか?」

 

ソウも先輩も来ているな。床に銃口を付けて壁に立てかけた重力銃を持ち上げる。

 

「いや、落ち着いてる。あれ、まだ謝って来て無い?おーい、きふっち!気まずいし、その、怖いじゃん?ラッキーさん。許したげて?」

 

攻撃して来なければいい。モチノさんという協力者が居れば点も稼ぎ易いだろうから、悪く思われない方がいい。

 

 

「あ、あの、すいませんでした…恋人がし、死んじゃって…本当にごめんなさい!!」

 

「ラッキー、仲間割れはヤバイぜ、許しとけよ、俺も許したし」

 

ヤマダ先輩に言われずとも。__先輩には仲間割れの経験、人間同士の殺し合いで勝った事があるのか?

 

「謝罪は受け入れます。もう気にしないで下さい」

 

今回100点取った時にまさか又3番ー、とか言い出さないよな。99点あるし、100点は確実に取れる。次の兵器も使えないやつなら、1、3番も視野に入れないと__

 

 

タイミングが良い、のか?見飽きたルーティンだな。

 

 

「えーっと!!ここにあるケースから自分の分のスーツに着替えて下さい!!安全のためです!!」

 

「___」「___」

 

「__!_」

 

「___?!___、_」

 

ソウの大声などを意識から外す。リュックを左肩に担ぎ上げ、黒球の画面に近付く。

 

 

そこまで期待してはいなかったが、碌な情報が無いな。

 

 

「モチノさん、行こう」

 

追加兵器の部屋に向かい、ドアを開けてヤマダ先輩とモチノさんが通るまで押さえる。

 

「サンキュ」「アリガトウございます」

 

 

強化スーツを着用した2人に頷きかけて、部屋に入る。

 

 

床に転がる武器の内、刀身がまだ生えていない柄は右太腿に、三角に並んだ3つの銃口がある拘束用のハンドガンは爆弾と共に腰に巻いたバックに入れてある。先輩の重力銃も、湊さんのも入れて2つ同じ物を持っている。私が最高戦力、というやつだな、妙な高揚がある。

 

 

床の武器と先輩を避けながら1つだけ立った選択画面のある機械に近付く。肩からリュックサックを下ろし、飛行バイクとロケットランチャーを選択する。

 

 

振り向いて、話し掛ける。左手をライフル型の長い銃を持つモチノさんへ伸ばす。

 

「モチノさん、手を。先輩、強敵なら一緒にやりましょう」

 

我ながら身勝手に聞こえるな。まあ危険だが、制限時間1時間以内のターゲットの殲滅をする為には分散が効率的だし…

 

「___」

 

「モチノさん、足があるヤツならそこを狙ってくれ」

 

ずっと考えていた事だ、重力銃だとタイムラグと取り回しの悪さで飛行バイクからの狙撃は連習しないと難しいから、今回は彼女に私の分の重力銃を持たすのはよそう。

 

「動きを止めれば良いんだしょ、りょ~かい」

 

へえ。…あれ、顔は少し強張っている?

 

 

「あとでな、ラッキー」

 

「ええ」「あっ、あたしらが先じゃん。じゃあね、ヤマダさん」

 

 

おっ。反射的に目を瞑る。

 

直ぐに目を開き、ああ、レーダー図を見るには繋ぐ手を右手にしとかないといけなかった、右手の重力銃を構えながら周囲を確認する。

 

 

近くに配置された、追加された横の輪が元のドーナツバイクの縦の輪より3回り以上大きい飛行バイクと、1本のミサイルが搭載されているロケットランチャー。

 

転送が完了されていたから、左手を離す。

 

「モチノは座席の後ろに座ってくれ」

 

ロケットランチャーを入れる袋、重力銃とは別にあった方が戦闘中に持ち替えられたな…まあいいや。重力銃を仕舞って先ずは新兵器を試してみるか。使ったら投げ捨てればいい。

 

「背もたれの後ろから抱きつくの?銃が撃ちにくいよ」

 

言えてる。それじゃあ__飛行バイクに乗り込みながら提案する。

 

「私が前にずれて座るから座席との間に背中合わせで座るのはどうだ?」

 

スーツの強化があれば私に圧迫されても苦しくないだろうから、良さそうに思えるが、どう言うかな?

 

 

「ちょっと苦しそう…うん、とりあえず試しまーす」

 

スーツ越しで柔らかさはよく分からないが背中に彼女の体が密着する。

 

「どうだ?というか、他に貴女が私にアシストする方法思いつかないんだけども」

 

一緒に高速で移動しながら振り落としたりはぐれない様するやり方、何かあるのかな?私が馬鹿な訳は無いと思うけど、どうかな。

 

「ウ~~ン」

 

飛行バイクの複数の画面に触れて起動と設定を行いながら、左手についた機器に映る敵味方まで表示される地図を見る。

 

「行くぞ」

 

発進、離陸する。

 

「げえ、ま__わかったわよぉ!」

 

ぐっ、わざわざ振り向いて耳元で叫ぶなよ?!

 

 

軽く首を左右に振る__今回のヤツは飛べるのかよ__あ、透明化忘れてた、そりゃ目立つよな__

 

「モチノ!私の代わりにボタン押して透明化してくれ!」

 

 

加速して上空へ__

 

「うわ、ナニアレ!!」

 

 

「何だ!?」

 

旋回する。視界に、ぼやけて見えるが飛行する敵達から伸びた長い棘が入る。それぞれの飛行体から複数ずつ、それぞれの一点に向かって数十メートルは伸びた細長い線が、各々の飛行体へと引っ込んで行く。

 

あれが攻撃方法か。飛び道具の一種にカウントしていいのか?肉体の一部か?

 

3体の内、1体をロケットランチャーの照準画面に映し上トリガーを押してロックオン__ちぃ、くそっ。

 

 

 

 

ハンドルを右手1本で捻ったり傾けたり、意外に重労働だな__

 

 

 

 

十数分も空中で複雑に動き回って、吐きそうだ。相手も高速で、画面に捉えられ無い__あの棘、バラバラに射出まで出来るのかよ、うおっと__

 

「モチノ、何とか当てろ!1体でも減らしてくれ!」

 

「そっちは全然撃ってないじゃんか!ラッキーも撃ってよ!」

 

ミサイルは多分1発きりなんだよ__

 

「やった当たったあ!」

 

よっし!

 

「当たったのはちょい前にぎょーんて撃った奴だけどな!ラグがあるからッ!」

 

動きが遅くなった敵2体__同じ方向に飛行バイクを飛ばして併走に近いかっこうにして__。これで、ほぼ止まって見える。画面に表示された3角形の平べったい物体と中にあるごちゃごちゃした小さい骨格、上のトリガーだけを左手人差し指で引く__両方のトリガーを引き絞る__

 

 

今までの銃には無かった反動があった__ロックオンしてからじゃないと外しそうだな、冴えているじゃないか私。左手を開いてL字型の砲身をポイっと、座席に掛けたバッグから重力銃を引き抜く__

 

 

眩しい球体が3角の飛行物体を飲み込んだ。

 

凄い威力がありそうだ、余波で飛行バイクが揺れ動くし。

 

「やっば!」

 

うん、確かにより強力な兵器は伊達じゃないよ_な__体に衝撃、右胸が熱い、太い何かが引き抜かれてゆく。

 

 

歯を食いしばる。

 

__飛行バイクが操作に応えない?

 

「離だ、ゴフッ、っつしろ!」

 

「痛ったい!あ、足が__」

 

風景が目まぐるしく変化していく__数瞬、空中に浮かぶ薄い緑に発光する敵が__左手のトリガーを連続して引く__全身に衝撃が奔る。

 

 

 

…ごはぁっ。

 

口を押さえる。鉄錆みたいな、生温いものが鼻腔まで満たす。

 

__血か。右手は動かない。

 

火花が所々散っている、飛行バイクの中に居るのか…モチノはいない、足がどうとか呻いていたが墜落前に離脱したのか、右胸に穴、恐らく貫通してる、重力銃、左手を伸ばして、掴む。

 

 

くっついたままの右手は、痛むだけで碌に動かないな…左手の方を目に引き寄せる。付属の白く丸い機器から、光沢のある、水銀のようなモノが流れ出ている。ダメージはでかいな…まあ、判り切っている事だが。気を取り直す。地図に映る私は……これ、か?近くに赤い光点が1つ、近寄って来てる、のかな。うげえ。

 

 

真上に来られると、重力銃では私ごと潰しかねない。腰のバッグ、良かったよ巻きついてあるままで、そこから拘束用の銃を__爆弾も起爆して無いな、冷や冷やするなもう__

 

 

きた。頭から3つの体が生えてんのか、あれって?

 

右に向けた顔を思い切り顰めてしまう。曲げた左手の銃の後ろにある画面にその生物は映っ__トリガーを上、下の順に引き絞る__ている。

 

 

_明滅する私の灰色の視界に、こちらに突き出される円形に並んだ何本もの線が映る。体を捩り、くねらせて飛行バイクから抜け出て__

 

右胸と右足に衝撃。左膝を立てて敵に正対しもう一度引き金を引く。

 

 

光る線で拘束された敵の、1つしか無い頭が転送の光に変わって空に伸びていく__ふざけんなよ。

 

壊れた飛行バイクの中に潜り込み、右足は平気だな、重力銃を拾い上げ、消えつつあるそいつに前かがみの姿勢のままで何度も撃つ。

 

 

光る線とそれが繋がる3つの地面に食い込んだアンカーらしきものごと、地面に向かって押し潰され、少しずつずれて重なる、だいだい円形の窪みが出来る。ぶちまけられた液体がそれを浅く満たしてる…

 

 

ふうー、少量のこみ上げる血を吐く、右胸が痛い、呼吸がしづらい。

 

激しい痛みをこらえつつ、前進して飛行バイクから這い出る。深呼吸、はやめとこう…。

 

起き上がって、重力銃ごと左手を少し持ち上げる。残り42分、味方も敵も残ってる__青い光点が近付いて来てるな。

 

 

最寄りの赤い光点の位置、動いているが、そこに向かって歩き出す。__周りがよく見えない。早く終わらせないと死ぬなこれは…ぐぅ。

 

 

立ち止まり、重力銃を左上腕に引っ掛けて腰のバッグを漁る。錠剤の入ったケースを探り当て、取り出す。強心剤と鎮痛剤__ケースを開けて口に流し入れる_苦…鞄をまさぐって止血ろうを取り出す。こみ上げる生温かいものごと何とか薬を飲み込む。軟膏、薬を傷口にべったりと掬って塗りたくる…胸に穴が空いてる…私って物凄く恵まれた肉体なのか…?背骨と心臓は無事で、片肺がやられただけなら普通に助かるか…?…くるしい…

 

 

頭は血が出ていない筈なのに、クラクラしてきた…膝に力を入れる。

 

 

 

「ラッキー、ってダイジョブなの!!?」

 

そんなわけあるか。

 

「モチノ、さん…止血、とか頼める…?お願いします…」

 

取り出してあった包帯の束を見せる。

 

「うわ…」

 

 

 

「胸の所はあれだけど、まあスーツの切れ端とかラッキーがバックに用意してた包帯で縛ったから出血は抑えられたと思うけど、無理しない方がいいんじゃないかな」

 

ありがと、モチノ。…声に出てるか?

 

 

 

 

敵、強化を高めて…堕とす。

 

 

「ラッキー、それでソード振って空飛ぶ相手を落とすとか、ちょっとヒくなあ」

 

顔に湿った覆面がくっついて気持ち悪い____右手は上がらない、左手は武器を持っている……

 

「ラッキー、はいこれ」

 

君が持ってろ、今の私には重いんだ。

 

 

 

 

 

「おいおいおい、そいつ生きてんのかよ?」

 

「やめといた方がいいっすよお。その人、ヤバイくらい強いっすから」

 

 

 

 

「それ、貸してくれません?ラッキーさん」

 

あ…私?…爆弾を、か?気付いたら右手で球体を弄んでた…

 

「いや…使う……私…つもりだ…」

 

碌に喋れない…畜生、まだなのか…?

 

 

 

 

青い光__転送の光。陳腐な、文字通り足腰から力が抜ける感覚。頭がすっきりした。

 

 

おっとお。まだ部屋に戻って来ていない4つの手足に意識を集め、湊さんの銃を抱えて持ち帰れるように、と。

 

 

変な姿勢で転送されてしまったな、恥ずかしい。真っ直ぐ立ち直して、顔を下にさげ、重力銃をいじる。

 

このコード抜いたらどうなるかな…

 

 

 

「__採点_」「_____」

 

「先輩は?」「ここ。いるぞ、ちゃんと」

 

漸くか。

 

「ラッキー、わたしが点取ってても怒んないでくださいよお?」

 

彼女の笑顔を見る。

 

「怒らない。助かった、ありがとう」

 

よく覚えてないがモチノがいなきゃ死んでただろうし。

 

「ふぅーん。これからもよろしく、ね?」

 

まだ点を譲ってくれる気があるのか…?いいや、そういう意味じゃないだろうが別にいいか。

 

「こっちこそ宜しく頼む」

 

 

黒球の画面に私の情報が出ている。ラッキーくん__字の向きが逆だな__41点。合わせて140点。40点の持ち越しか、次は100行かないかもな。

 

「ら__」

 

「より強力な兵器を、今直ぐに出してくれ」

 

あのヒト、何か云おうとしたよな?

 

「どうしました?」

 

「いえ…3番選んでくれたっていいじゃない」

 

まさかまだそんなこと…小声だし聞こえなきゃ良かったよ…げえだな、ウンザリする…さっさと離れよう。私なら、貴奈美が死んだ時彼女みたいになるだろうか__?

 

 

扉を開けて、追加兵器の部屋で、3つの銃口がある、穴は空いてないが、拘束用の銃を1丁拾い、チャックを開けて腰鞄に入れる。後でライフル型じゃ無い方の銃も入れとこう。ああ、爆弾とは離して入れてと。

 

兵器選択の機械に近付き、その脚元には私のリュックサックがちゃんと残っている、画面に表示された新しい兵器、ライフル型の銃にも似たそれより遥に強力だろう銃の図に触れる。

 

 

振り返って数秒待つ。

 

「番号交換しましょ__」

 

モチノか、そういえば私から聞いたんだったな。ソウと先輩、他にも何人か来たな?げ、あの女性までいるぞ…。

 

 

ガトリング砲だなこれ。滅茶苦茶強そうだ。

 

 

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