テストかゲームか戦争か   作:シューズ

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戦力「O」

道路を車と共に疾走する。重々しいトラックや車をすり抜けてくるバイクをかわしながらの激走は、怖いが興奮する…っ。

 

気を付けろ、と上げそうになる声を飲み込む。私は透明人間なんだ、配慮なんかされない__こっちも強化スーツのお陰で周りに然程気を付け無くても安全だが。

 

 

高速道路の料金所も素通り出来る__それって犯罪なのか?自分の脚で走っているのだけど。

 

 

息が切れる。心臓の鼓動が少し煩わしい。1歩が長い跳躍に変わっている。

 

 

看板の表示を見る。右肩に担いだガトリングを左肩に持ち直す。

 

 

あ、着いた。少し低くで日光が輝いて、海面に照り返しがあって眩しい…鳥が4匹程飛んでいるのが見える。道路の脇に避け、体を縮め、そして全身を一気に伸ばす。

 

高い視点に、顔に打ち付ける切るような寒さ、そして全身の自由さ!!!さいっこうだ!!体が落ちていく。自分でバンジージャンプしてるみたいなものだな__大声を上げたくなる。手足を振ってバランスを取る。

 

 

足から全身に大きな衝撃。足元が抉れ、石や砂が飛び散っている。

 

よし。海ならこのガトリングガンをぶっ放してもニュースになったりしないだろう…あわよくば魚も取れるかもしれない。

 

ガトリングガンを片手で___結構重いな、両手の方が動かし易いか。右手で引き金のついた普通の持ち手を握り、左手で上部に突き出たもう1つの持ち手を掴む。銃口を打ち寄せる波と砂浜に向け、2つのトリガーを同時に引く。_銃が駆動し銃身に電流が複数枝分かれしつつ奔る__眼前を点滅する輝きが蹂躙する__音が響き、揺れが肩まで伝わる。

 

足元も少し揺れてる…?怖くなり引き金から人差し指と中指を離す。

 

 

SFでゆう所のエネルギー兵器って奴だな。眩しい光弾が連射されると、穴だらけになるってか。砂浜の所々が焦げたようで黒ずみ、海からも薄っすらと煙が上がっていた様に見えた…凄いな…

 

 

反動は多分ロケットランチャーより小さいが、今までで最強の兵器の筈だ。光弾一発の威力はロケットランチャーで発射したミサイルのあの激しい輝きより小さく思えるが、貫通力はどうだろうか?連射性だけでも、十二分に使えそうだ。

 

 

左手でガトリングを肩に担ぎ上げ、腰に付けたバッグを開けて、中から小さい方の銃を取り出し構える。…照準を右にずらしてトリガーを絞る。愉快な音がする___ガトリング砲の方が重々しくて格好いいかもな。前に歩き、砂が右で弾ける、焼きついた砂の穴の1つをスーツの手袋で覆われた手で掘り返す。結構深くまで黒ずんでるな…別の穴も確かめるか…隣に空いた、表面が少しはじけ飛んだのだろう黒い窪みも掘ってみる__

 

 

 

…うむ、なんとなくスゴイことは理解した。

 

 

立ち上がり、小さい銃で吹き飛ばした砂浜の穴に近付く。

 

窪みはこっちの方が大きいけど、奥まで続く黒ずみのようには深くまで届いてはいない__でも照準画面を利用すれば、別に深くまで直接狙える。

 

小さな方の銃を鞄に仕舞う。肩からガトリングを下ろし、右手、左手で持ってみる。ガトリングガンは素早く狙いも付けずに攻撃出来る、遮蔽物も貫通するだろうし。だが重いから、服の強化を上げないと簡単には片手で取り回せない__

 

 

遠くの水面に肉片が浮いている様に見えるぞ__持って帰る気にならないな。

 

 

腰の鞄から音が__電話が掛かって来た、誰からだ?

 

携帯電話を銃を避けながら取り出し、パカっと開く。昼から走って、腹が減った__少し荒い息を整え、通話ボタンを押す。

 

「もしもし?」

 

なんて名乗ろう__誰だか確認するの忘れてた…

 

「あ、ラッキーさん?ソウっす。どーも、4日ぶりっすね」

 

「ああうん」

 

電話番号教えたっけ?モチノに教えた後、明日の夜会う予定を立てて…コイツには教えてないよな。

 

「番号交換したっけ?」

 

「いえ、して無いっす。センパイから聞きました。それで用なんですけどね、__」

 

センパイ…ヤマダ先輩か。

 

「__でえ、結構揉めてて。てなわけで次のミッション前に会えません?」

 

しまった聞いてなかった。__ミッションって、面白い表現だな、殺し合いに過ぎないのに。

 

「もっと簡単に言ってくれないか?」

 

「…ならいいっすよ、じゃあまた、あの部屋で…」

 

プツン__日程も場所も決めず切ったな、会わなくていいのか?

 

 

釈然としない。が、気にしないぞ。

 

なんとなく電話帳のページを出してポチポチとスクロールする。滝川家、姉さん、母、モチノ(旧ビーノ)、ヤマダ先輩。

 

…先輩にかけてみるか?別にいいか。もう帰ろうかな、だが、来るのにかけた時間を考えると早すぎるかな。

 

 

波打ち際まで行って、ステップを踏んでみる。この靴部分、洗えるのか?

 

電話を二つ折りにして、腰にある鞄に放り込む。引く波を追うように進み、打ち寄せる波に合わせて下がる。進み、後ろにジャンプ。前にジャンプ__やば_海水に着水。ウォータ―プルーフかよ、このスーツ本当に高性能だな。海水を蹴散らしながら歩く。

 

 

あ、着信。歩みを止めて鞄から携帯を取り出す。表示は、ヤマダ先輩。男だと嬉しくない…

 

「ラッキー?俺、ヤマダだ。今ちょっといいか」

 

「先輩、今電話しようと思ってた所です、そちらは何の御用ですか?」

 

「うん…キンナさんの話でさ、まだお前連絡って取ってる?」

 

なんだこの人?

 

「取ってますよ。記憶の抹消は結構雑っていうのが暫定の結論の儘です。其の事ですか?」

 

「…記憶、戻ると思うか?__いや、いい。あのさ、俺のバイト先で人が足りてなくてさ、接客用員でラッキーとキンナさん誘おうと思ってさ。夏休み、暇だろ?」

 

キンナさんも仕事にまだ就けてないから暇、と。成程。__記憶はある程度まで戻ったなら、戦力になるんじゃないか、利用できるのではとか思っているからこそ、偶に連絡取っているけど。おっぱい大きい若い美人だし、話して楽しいのもあるが。

 

 

「私はバイトする気はありませんよ、先輩。悪いですけど。キンナさんはもう誘ったんですか?」

 

「いやまだだ。ちょっと最近話してなくてさ」

 

それで私から話を通して貰おうと思ったのか?自分でやれよ。

 

「そうですか、私の方の用事も良いですか?」

 

「ん、おう、いいぞ」

 

「ソウにこの番号教えたみたいですけど、他のあの部屋に来た人達にまで広めて無いですよね?」

 

ソウにも念押ししとけば良かったか、さっき。

 

「ああ、してない。ソウにも伝えない方がよかったのか?」

 

「いえ、まあ大丈夫です。私からはこれだけですけど、他にまだ話さないと拙い事でもあります?」

 

「や、ないだろ。んじゃ、切るか。またな」

 

「ええ、また、あの部屋ででも」

 

他の所で出くわす可能性もそれなりにあるよな。

 

 

耳から携帯を離す。手を止める。

 

貴奈美とも電話しようかな、こっちから掛けて。

 

 

…携帯電話のボタンを押して画面を操作する。

 

電話を耳に当てる。

 

「……」

 

「…はい、ヒノです」

 

「こんにちは____こんばんは?ちょっと声聞きたくてさ」

 

「うえ、カッコつけすぎだよ」

 

何だってえ__?肩のガトリング、続けて今は活性化していないがテカテカの生地に丸い機器が大量についた、体に張り付くスーツを見やる。__確かに…顔と耳が火照る。

 

「うん…そうかも…」

 

「ふふ、そんなに真に受けないで?太二クン、格好良いよ?運動神経もいいしさ、わたし運動音痴だから羨ましいぐらいだよ」

 

「謙遜?運動出来るでしょ。私は男だし、君には負けないけど」

 

「あはは…どうかしら、週末会わない?わたし勉強の息抜きしたいな」

 

約束さえなければな…

 

「ごめん、先約が__」

 

いや、いけるか?

 

「でも、朝からなら大丈夫なんだ、昼ご飯、私が作ろうか?朝も作ってもいいけど」

 

「家に誘ってるの?家族がいるんじゃないの?」

 

「来た時にも言ってただろう、ウチは広いから、そこまでお互いに気にならないと思うよ」

 

「今夜会いに来て欲しかったりするの?」

 

ぐうっ魅力的だ。__彼女の息遣いを意識してしまう。

 

「ああ、来て欲しい、かな」

 

「うん、また今度ね」

 

何だよ、ちぇっ。

 

「明後日、午前中にお邪魔するね?わかるかなあ、あの本屋さん、あそこまで迎えに来てくれる?」

 

本屋か、開くのは10時からだったな。見たい本でもあるんだろう。

 

「10時半に行けばいいか?」

 

「ええ、ありがと」

 

「昼食は私に是非作らせてくれ。私の部屋ででも待ってて、小説がそれなりにあるから、興味があれば読んで暇潰ししてみてくれ」

 

「えへ、楽しみ!じゃあね!」

 

「うん、ちょっと早いけどおやすみ、かな」

 

「まだ寝ないよ~、ふふっ」

 

 

鞄にまた携帯電話を仕舞い、チャックが閉まっている事を確認する。軽く屈伸して、ガトリングガンを持ち替えて片手ずつ大きく回す。ようし、行くか、というか帰るか。砂を蹴って低く遠くに跳躍__着地、すぐさま上に高く跳び上がり、来た道の道路へ__左手でも体を支え押し上げて、来るときとは反対車線へと車を飛び越えて避けながら入り、家へと走り出す。

 

 

 

まばらに走る車を抜かしたりすれ違ったりしていると、もう手足が重くなってきた…。呼吸はまだ余裕があるけれど、今日は疲れたな…トラックにでも貼り付いて楽したいな、トラックないかな、家の近くまで行くってハッキリと判別出来る奴__そんなもの無いか。

 

 

車とバイクとの接触に注意しつつ、大きな跳躍を繰り返す。

 




連続投稿はとりあえずここまでにします。
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