テストかゲームか戦争か   作:シューズ

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カップルなら赤点回避はマスト

 

 

直ぐ近くに続々と転送されて来ている。味方がまとまっているのはいい、が。

 

 

補習も部活もないのに夏休み中に死んでたまるかよ、何だこの場所?配管が床、壁、天井に疎らに這っている。正面戦闘を強制してるのか?

 

 

「オイオイ、ラッキーこりゃ持ってきた武器ほぼ使えないんじゃねーか?」

 

先輩こそ。モチノから右手を離して彼を見据える。

 

「他人事じゃないでしょう、重力銃をここで使ったら生き埋めになりかねませんよ?他の武器を使ってくださいね」

 

視線を切って送られて来た私の強力な兵器達に歩み寄る。

 

 

飛行バイクの座席にもう1つかけた、新しい大きいバッグにロケットランチャーをしっかりとジッパーを引いて固定する。

 

「それ、置いてくんですか?」

 

振り向く__誰?

 

「いや、持って行くつもりだ、一応は」

 

「そ、そっすか」

 

初参加か?銃を抱えてスーツも着てるし前回からいたのか。

 

「モチノ、どうする、乗るか?降りてた方がいいかもしれないぞ」

 

丸みを帯びたトンネルの中のようだし、速度を上げて飛行は出来ないからな。_!車みたいなケダモノがカーブ、真っ直ぐな一本道からこっちに__

 

 

「おい、来てるぞ!?撃て撃て!」「止めろ!」「来てる来てる!」「わあわあーッ」「うっせえ!」「きゃああ」

 

ぎょ~ぎょぎょ~んという間の抜けたような銃声が連続し重なり合う。私は表面が僅かに剥がれた怪物、短足の獣、カバみたいな感じ、それから目は離さず急いで飛行バイクを起動していく。

 

「止まらないッ」「下がれえ!」

 

結構強いのか、刀ならやれるだろうか__時間さえ掛ければ表皮を剥がして内側なら銃も通るな__

 

正面の大き目の画面に獣の骨格が透けた図が映る__両手のハンドルを一気に捻る__

 

「脇に避けろぉ!!まきこ_」

 

衝撃、が、全身を走る__画面にノイズ__加速が足りなかった、いやそれよりも強度が負けてる__?

 

左腕でハンドルを傾け車体を横にする__突進を始めそうな獣_後ろからもう2匹来てる!?膝の上のガトリング砲のトリガー2つを右手で引き絞って握り続ける__

 

 

手前の殻にひびの入ったヤツはすぐ穴だらけになったが、後ろの新手、トンネルの先から合流してどんどん増えていく群れは殻だか表皮だかをすぐには貫けない__昆虫みたいな、チキン質の下に肉塊があってそこはまだ効くのに、全身を覆う殻、その鎧は1点の周りに集中して当てないと砕けない__減速させたままにするには全体に当てないと__撃ちながら飛行バイクを斜め横向きに後退させる。

 

 

____追いついた。

 

「下がりながらでいいから撃ってくれ!!足とか、内臓を潰して先頭を止めてくれ!!」

 

ハンドルの捻りを緩め、飛行バイクの速度を合わせる。

 

「どうやって内臓を!?」

 

もう撃ち始めた人達を見習えよ!

 

「銃の後ろにレントゲン図みたいなものが映るだろ!?上トリガーを引いてロックオン、下も絞って発射だ!!」

 

カーブを曲がる。獣共が一時的だが見えなくなり、圧迫感が__銃声や叫び、足音が聞こえるな__弱くなる。

 

「トンネルの壁を撃って崩しましょう!」

 

うーん?ガトリングの照準画面に怪物の骨格を映す__4足歩行、いや疾駆か__

 

「やめとこう!?行き止まりまで下がるかも、トンネル全体が崩れ落ちて逃げ場が無くなりかねないよ!!!」

 

「っ、じゃあどうすんのよ!?」

 

「この図だと、ちゃんと敵は減ってる、味方も欠けてない__」

 

強化スーツを着てないやつは死んだだろうがな?

 

「__転ばないようにすれば削り切れるかも!数が減ったら、ラッキーさんに突っ込んで貰って押し返して、囲んで撃ち殺しましょう!!」

 

「良さそうじゃないかラッキー!?」

 

「私はその案にのる!」

 

まあ良さそうだし。

 

「のったぁ!」

 

「私も賛成!」「ああオレも!」

 

「オッケー!」「___!__!」

 

私は左手で飛行バイクの変則飛行、右手でタフな化け物全体に光弾を当て、銃の画面と背中側の進行方向を繰り返し確認して__くそっさっさと突っ込みたいな!?左手についた機器の画面の地図は見てられないし操作も無理だし、もし見れても頭の処理が間に合いそうもない、となると_

 

「誰か地図はどうなってるか教えてくれ!もう転進してもいけそうか!?」

 

「もうちょっと待って___」

 

「ヤバイ、制限範囲がもうすぐそこまでんトコだ!」

 

はあ!?越えたら頭が爆発するんだろう!?後どれくらい__

 

「敵はどれだけ残っている!?」

 

「ぽつぽつトンネルに置き去りの表示があるけど__」

 

「大体10匹!!いける!?ラッキーさん!?」

 

「いきたいが、まだ無理だ!!」

 

数分前は怪我を負わせたヤツ1匹で飛行バイクも勢いを殺されたんだ。もっと加速するにしてもな…。

 

 

「うわっやば!!」

 

「なにこれ!?」「これが警告音だよ!」

 

スーツで走っていた味方と同様に、急制動をかける。

 

 

ピンポロ_高い機械音_ガトリングガンを膝に置き_

 

「ヤバイってぇ!」「うひゃあー_」

 

両腕で飛行バイクを操作する_

 

「ヤツラを飛び越え_」

 

飛行バイクに振動が通り抜ける__私はコイツラを押し返さないと上を抜けたり出来ないのに、良いご身分だよ他の人達は__また衝撃_横に持ち上げたガトリングを見もせずに撃つ。

 

反対の横からも衝撃_画面に触れてホバリングモードに_ガトリングと刀の柄を両手に持って斜め上に飛行バイクから飛び出す_宙で前転_両足をつけ_飛び出しながら両手の人差し指と中指に力を入れる。

 

 

刀には重い手応え、体のバランスが崩れ、怪物の体を蹴りつけて持ち直す。

 

壁か天井か床かにガトリングから射出される光弾が当たっているが構ってられるか__腕を集中しながら外殻が剥がれたりひびがある箇所に向けて振るう。連撃は狙い通りに決まり続ける_壁を蹴る_ガトリングも左右に振る_大きい顔を踏む_抜けた、7人の味方と合流だ__よしっ。

 

 

「さすが、ラッキーさん」「だな」

 

「ま、まだ来てない人が…」

 

死んだんじゃないか?下がりながら、ガトリングを取り敢えず構えてみる。

 

「死んだと思うけど、撃つのはまだにするか?」

 

おっ、待って正解だったな、1人抜けて来た。

 

 

「撃ってぇ~~!」

 

近くの3人と目を見交わす。

 

「…撃つ?」

 

如何する?

 

「まあ__」

 

「俺が行きます!」

 

 

………あいつ、やるな…スーツも強化がより高い状態だし、刀であそこまで立ち回るの、スグル以外で見た事ないな__。そういえば…左手を武器ごと持ち上げて地図を見る。背後のトンネルに、赤い輝点が、5つ離れて並んでいる。

 

 

「俺もいくか…」

 

「え、あ、ラッキーさんは?」

 

左手の機器を見せる。

 

「後ろにもまだ残っている」

 

ここまできて油断してやられたんじゃ、補習を受けるより更にバカバカしい。____貴奈美とのセックス、前よりも気持ち良くなってきてるし、死んでられない。いや、今考える事じゃ無いな__モチノと、恋人再生を目指す女子から顔を逸らす。

 

 

周囲に、全体に意識を分散しようとする。

 

飛行バイクとか、強い兵器回収に戻った方がいいかな…。爆弾は腰のバックに入っているが…。

 

 

「はあ、はあ、終わ、った…」

 

「死んでたの、気にすんなよ?ありゃ手遅れだ」

 

「まだ後ろに残ってるっすよ。そっすよね、ラッキー先輩?」

 

自分の地図見れば判るだろう。ソウも左腕がまだついてるじゃないか。今回の星人は体当たりだけだから、潰されたり折れることはあっても切断はないだろう。

 

「ああ、死にかけだと思うが」

 

「…それじゃあ、いき、ますか?」

 

「おう」「はあ」「うーっす」「ええ」

 

私も返事をした__「ああ」

 

どうせトンネル内だと崩落が怖くて使えないし兵器は手持ちのガトリングガンと刀、それと強化スーツで充分だろう、取りに戻らなくていいな。

 

 

 

臭いな…トンネルの中に臭気というか死臭が充満してるのか。

 

 

 

「なあラッキー、トンネルへのダメージ考えると、その光線銃?やめといた方がよくない?」

 

ガトリング強いのに…

 

「刀だけでやるんですか?」

 

スーツに頼った素手の格闘も、頑丈な外殻剥がすのに役には立ちそうだが、どう考えても危険過ぎて、誰も、特に女性は見目も考えて積極的にやらないだろうな…

 

「ああ。オレとラッキーと、お前でいけるだろ」

 

先輩が、未だに肩を上下させる勇気ある新人クンを見据える。ソウは刀持って来てないのか…。

 

 

ガトリングガンをモチノに。

 

「預かっておいて」

 

「わっかりました、危なくなったらわたしたちも銃で援護しますからねーヤマダさん!」

 

渡す。

 

「おっも!?」

 

まあ最初から与えられている銃と比べたらな。ロケットランチャーの方がやや重いが。

 

 

「__あんまり接近戦はやりたくないんですけど?死にかけのヤツの止めは全て私がやっていいですか?」

 

点数をもっと稼ぎたい。より強力な兵器が欲しい、それに死者蘇生の権利も。

 

「ちっ、お前剣術得意だろーが?」

 

_いた。低く駆け出しながら叫ぶ__

 

「じゃあ取り敢えずコイツは私が前衛でやりますよ!」

 

__声が木霊する__刺突して斬り下ろし、足を止めて斬り上げ__殻が割れて大分露出した__大上段から斬り付ける_肉から刀身を引き抜いてもう1度。

 

「Buoohyoooo…」

 

血を吹き出しながら呻き声を怪物が上げる__露出させた肉塊に刀身を伸ばして差し込み、抉る。

 

 

「すげえ…」

 

「動き見てると、刀振り回すなら1人の方がよさげだな」

 

交代制でいくのか?私は刀を引き抜く__私を越える体高の、死にかけの怪物が起き上がった。

 

__飛びずさる。口を開けて__

 

怪物の頭が膨れ、2つの目玉が破裂した。私はそっと刀をおろす。

 

「銃で中身をロックして殺す方が良さそうですね」

 

…恋人亡くしたひと、腹を括って自分で100点取る気になったのかな。

 

「前に出てる味方は撃たないでくれよ」

 

あっ冗談になってないな、言ってて気付いたが。気まずい…。

 

 

「次のは誰が出る?前にって事だけどさ」

 

先輩…。

 

「私は点が貰えないなら遠慮したいです。小さい銃も持ってきてるし、止め役に回りたい」

 

刀の柄のトリガー両方から指を浮かし、右太腿の帯で留める。そして腰のバックに手をやり、ハンドガン型の銃を出す。

 

「早いもん勝ちが基本だろ、誰がトドメでも文句なしな。剣でもラストアタック取れるかもだぜ」

 

銃の方が安全だろ。

 

「なら前はよろしく」

 

私は後ろで。先輩と新人に頷きかけ、ソウの隣まで下がる__ガトリングガンは預けたままの方が楽そうだな。

 

 

「ラッキーさん前でないんっすか」

 

「ソウだって後ろから撃つだろう、前出たいなら刀を貸そうか?」

 

「いや~いらないっす」

 

ふん…

 

「2人とも前向いてー」

 

左腕を持ち上げて地図を確認する。少し先か…歩き始める。

 

 

「おっいたっ」

 

私には未だ見えてない__

 

「おおおッ!」

 

叫びと湿った音__もう終わったのか?

 

 

薄暗いトンネルの壁際に寄りかかるカバみたいな獣に2人の黒い体に張り付くスーツを着た男が長い刀を突き刺している。目線を落とす__赤い光点は未だ映っている。右手の銃を向け、照準画面を見る__骨格と、内臓が映し出される__内臓の脈動が止まった?腕の地図を見ると、光点が消えている。点取り損ねた…

 

 

「もう死にかけしか残ってないね、やっぱり」

 

点の稼ぎ時、ボーナスタイムみたいなものだな。…先行するか?

 

 

「Ahhhaaaaaaaaaaa……」

 

 

まだ元気なのが残ってるっぽいな、コイツラ頑丈だし先行は止めとこう。__激しい足音が響いてくる。

 

「来るぞ!」

 

「わかってる!」

 

「構えろ!」

 

 

通路の先から大きい獣と_その上に跨る人型?

 

先頭の2人が刀身を伸ばした刀で斬りかかる_獣の上の人型が長い腕で刀を2本とも弾く_1人が左に飛び退く_獣が左に頭を振りながら追いかけ壁へと押し潰した_トンネルが揺れる。

 

銃の画面に動きが止まった獣の方を映す。外殻_獣が動き出す_骨_漸く臓物が映る。上トリガーを引く。よしっ取り敢えず距離を取るぞ__

 

 

振り向いて走り出し、中指も曲げて下トリガーを引き絞る。

 

「Gyaaaaa!!」

 

効いているが殺し切れたかな__そもそも上に乗った人型は、少なくとも私は未だ攻撃してない__肩越しに振り返る__獣とその乗り手が追って来ている_足りてないのか__

 

「どうするの!?」「ラッキーやばいよ!?」

 

隣で叫ぶなよ!頭がキンキンするだろう!というか、如何するって攻撃するしかないだろ!?

 

「後ろに撃ちながら走るしか無いだろ!?」

 

 

転がる死体を飛び越えていく___

 

 

「制限範囲までに終わらなかったらどうします!!」

 

あっ_

 

「そうじゃん!?ヤバイっすねえ!?」

 

「止まって迎えうつ!?」

 

それしかないか?_叫ぶ__

 

「モチノの他に案は!」

 

 

「やるっすか!」「ないわ!」「いっせーのでとまろっか!?」

 

 

誰が言うの?

 

「いっせーぇのぉ!!」

 

これ誰の声?裏返っているけど。

 

軽く膝を曲げて両足を地面につける__敵に向き直りつつ銃のトリガーを引き続ける。ここじゃ充分な幅が無いから避け切れないよな__刀は_右手は銃を持っている_行くしかないか、くそっ。

 

 

上に乗っている人型__腕が体の前後に3本、背中側に2。足は三脚。もしかして尻尾か?

 

 

獣の外殻が割れて肉が剥き出している所__左手で殴りつける__私の左腕、スーツの表面には複雑に筋が励起し、付属する丸い部品は青く輝いている__肉にめり込んだ腕を引き抜き、走り抜ける。

 

 

銃を撃ちながら4人で怪物達の前後を回る__トンネルなら壁と天井を蹴って立体的にも動けるが獣の上に1体小さいのが乗ってるんだよなあ。

 

 

____獣が五月蝿い咆哮を上げ__膝を折って崩れ落ちた。断末魔か__残りは上のヤツだけ_叫びながら飛び降りた、こっちに向かって_

 

 

銃を放し右太腿の帯を外し柄を右手で持ち上げる__両手で刀を握って_連撃する_四角いウロコが沢山、全身に付いている_刀がまともに通らない_左足で蹴って、よし効いた、距離を取る。

 

 

敵から小さい破片が飛び散った。私の攻撃の影響か銃の効果か__近付くのは止めだ。刀の下トリガーだけを解放し刀身を伸ばす__全身を右に捻り左足を踏み出し_串刺しにする。

 

少しずれた、反応されたが貫いた__

 

 

「ナイスよラッキー!!」

 

「ここで決めましょう!」

 

私もチャンスだと思う。片手を柄から離して腰の鞄に残る拘束用の銃で撃ってもいいのか__徐々に崩壊していくヤツの身じろぎが刀から伝わってくる__両足に力を込める。

 

 

刀に自分から刺さって来た__近付いて来るなよ!?

 

「早く仕留めてくれ!!」

 

我ながら情けない声だな____眼前で怪物が破裂、四散した。

 

 

「…助かった…ペッ」

 

口に入った血を吐き出す__コイツ毒は無いだろうな。

 

「はは…やったわ…」

 

「ふうー。おつかれ~って解散したいっすね」

 

ああ、まだ終わりじゃないよな。

 

「コイツが毒持ちなら今直ぐ転送して欲しい所だ」

 

顔を左腕で拭う。

 

「ま、まあダイジョブじゃない?」

 

「真剣に取るなよモチノ。黒球の表示に今回は毒なんて無かったし、私も未だ生きているし」

 

 

「残りは少しよ。時間も敵も。行きましょうか、向こうの2人も生き残ってるみたい」

 

ああ、2人とも生きているのか。地図を見て、操作する。残り11分26秒、青い光点が2つ、あれ離れている?1つは遠くで赤い光点の近くで動いている、もう1つはトンネルの壁際で動いていない。さっきの壁に叩きつけられた方か。未だ生きてはいるみたいだが、どっちがこの負傷者かな。

 

「私は止血剤とか包帯とか持ってるし、動いてない方まで先行するよ」

 

残りの光点とは逆の方向に踏み出す。

 

「え、そっちじゃなくないすか?」

 

「飛行バイクの方が多分早い!追い越す時は脇に避けてくれ!」

 

「あー、あたしも行くべきかな__」

 

 

刀身を消した柄を右手で持ち、両腕を振りながら疾走する。

 

 

死体の塊が先に見える。その向こうには私の飛行バイク。

 

 

この外側の円環、壊れている…?柄を腿の帯で固定する。中に乗り込んで、正面の画面に触れる__起動はするが。よし____後付けの輪を外して、元のドーナツバイクで走行する。

 

 

死体に乗り上げて弾みながら、バイクを制御する__

 

 

体を左右に傾け、トンネルを道なりに進む__

 

 

3人を追い越す__

 

「____」「_」

 

 

正面の大き目の画面の左端に人間の骨格が映る_レバーを握ってドーナツ型バイクを停車。

 

足を上げてバイクから降りる。

 

カーブした通路の先から声や衝撃音が聞こえる。別に近付いて来てはいないよな?

 

目を壁に向ける。壁に寄りかかる彼は全身が血塗れで、強化スーツからは鈍い光沢のある水銀のような液体が流れ出していて、ああ、ヤマダ先輩か、この人?!

 

 

傷口は何処だ?胸?顔?腰?意識はあるのか?

 

「先輩?聞こえますか?傷が何処か把握していますか?」

 

「…うう…」

 

意識ははっきりとしていない、と。薬は飲めないかな。傷口を直接止血するとして、胸部か、スーツが裂けている。内臓は出てないし、助かるかな…

 

「…キンナ…どうして…」

 

うわっ血を吐くな!?手がぬるりとして、血の匂いが鼻腔に広がる。未だ血を流しているなら、口を閉じた方が良いんじゃないか?

 

「先輩、喋るのはよして下さい…」

 

意識を保つには喋っててもらった方がいいのかな?

 

「…恋人に…セ…クス…忘れて…」

 

薄目を開けた先輩と目が合う。はあ?何が言いたいんだ?キンナさんと付き合ってたのか?自慢?

 

「…自慢ですか?」

 

「…いや…いち…記憶…」

 

__100点メニュー1番の記憶消去か。恋人との情事も忘れる、それを知らなかったのだから先輩はキンナさんにとってストーカーか変態の類だな。悲惨だな。

 

「そ、そういう…」

 

もしかして、キンナさんと先輩の関係って気まずいものだったのか?初回以降は先輩同伴で会ったりはしなかったな、そういえば。

 

 

取り敢えず、手当はこんなものかな?包帯にもう血が滲んでいるが…。

 

死んだら生き残りと接触していても共に転送はされないのは湊さんの時に分かった。先輩はここに置いて残りの星人を片付けた方がましだ。というか点数をもっと稼ぎたいしな。

 

「先輩、私は残りの星人の方に行きますよ。…何とか生きて戻れる事を祈っておきます」

 

「…ああ…ま…」

 

”またな”か”待って”か。ま、どちらにせよ私は行くだけだ。

 

立ち上がり、バイクに歩み寄る。

 

追い抜かした3人、追いついて来ないな。バイクに跨りながら、左腕とコードで繋がった機器に表示された地図を見る__数少ない赤い点が1つ減った__残り4分12秒、敵が1体、その側に青い輝点、あの新人がいる。急がないともう終わるな__

 

 

ドーナツバイクを走らせて直ぐに大きい獣と比較して小さい人型が見えた__あの人型は味方か、今回の人型の敵は1体だけか__転がる獣の死体の前でバイクをとめる。降りて、右太腿から柄を取り、刀身を伸ばしながら駆け寄り、強く踏み込んで突きを繰り出す__刺さった。青年が素早い動きで振り返る。

 

「っ!?」

 

「文字通りの助太刀だ、時間が無い!」

 

制限時間は後数分だ__

 

「あの人は!?」

 

力を込めて刀を回し、抉る__

 

「ヤマダ先輩なら止血はした!いいからあんたも攻撃を続けろ!」

 

獣が体を大きく捩る_柄を離す__スーツの付属品を青く光らせた青年が長い刀身で肉を深く切り裂く。__倒れた。死んだか?__地図を見る_赤い光点は無い___残り2分ちょい。

 

「間に合った…お疲れー」

 

返り血を浴びた青年に笑いかける。

 

__きょとんとしてる。吹き出しそうになり、笑いをこらえる

 

 

青い光__転送だ。

 

周りを見渡す。私が最初か。

 

 

次々に体が青い光と共に現れてくる。___ジリリリリ、と黒球が音を出す。ヤマダ先輩は、居ない、か。

 

「え、でも止血したんじゃ…」

 

こっち見るなよ。

 

「したさ。既に血を流し過ぎていたって事だろう、5分足らずも生きていられなかったんだろう。手当した時は未だ生きていた」

 

「そう…なんだ…」

 

 

「採点っすよ…えっ」

 

「うん?うわっ」

 

0点?私が?

 

「はああっ!?何でだっ!?」

 

 

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