11月に入り肌寒い上に生ゴミにまみれては病気に罹るに違いない。尻餅をついたまま頭を後ろに倒すと飲食店が立ち並ぶ通りが逆さまに見える。通行人もそれなりなのに、特撮ヒーローみたいな星人と無関係な人達を巻き添えにしつつ殺し合う私にはお似合いかもしれないが、被害者方からすれば宙に浮かぶドロドロの臭うゴミの怪物に殺される位なら私達、清潔な透明人間にやられる方がマシかもしれない。
泣き叫ぶ声が呻き声やかすれた助けを呼ぶ声をかき消してしまう現状は多分ちょっとした地獄だろう。未だ死後に私が行くかもしれない地獄よりは良い環境だろうが、重力爆弾で星人を仕留め切れていなければもっと酷い場所に私は直ぐ行く事になるだろうな…飛行バイクの加速じゃなければ星人の動きが見えないし。
2体のややくすんだ発色の星人が瓦礫を搔き分けながら近付いて来ている__全然駄目じゃないか、いや、速度は落ちているのか?
星人達が破片をまき散らして眼前に出現した__背中に付いた壁を押し壊しながら室内に逃げ込む_速度も落ちて無いじゃ_壁が薄くて良かった_下がるだけじゃあっという間に死ぬだろ_柄を握りベルトを引きちぎる様に取り外してトリガーを絞り_キッチンの壁全面が此方側に吹き飛んで来た___
星人の長い6指が両肩から突き出している。頭を持ち上げる。目の前に居る鋭角が目立つ造形のヒーローの両腕は脇に垂らされている…この星人が両手で掴んでいる強化スーツの靴は、わた、しの…
「_っぁぁぁああああああ…」
喉が、苦しい__無い筈の足先が熱を持っている__両肩もだ__
私の前後にヤツラが立っている。眼の前の仮面が下がった。普通の顔、いや鼻が無いし我々日本人よりも遥にのっぺりだな。
「たろたろ、くれはすめやなまもじ…」
耳のすぐ後ろで聞こえた__後ろのヤツも仮面を外したのか?腕が動けば今なら殺せるんじゃないか?黒球の用意した強化スーツよりコイツラの方が高性能だ__少なくとも防御性能は。
「あー、こんばんは!君の装備に予備があれば買い取りたいんだが…おっと!12分前に壊した飛行ユニットとレーザーガン、それとさっきの重力兵器の事さ、念の為。宇宙環境下でも使えるよね?君等の生命のこの場での保証と、支払いは円でイイかな、かちっ、で、どーお?」
額が小さく破裂した__は?狙撃されてるのに商談?__やっぱりスーツをしていなければ銃で直接狙えるのか?いや素の肉体強度も星人の中でも高めだ_腕が裂かれ始め_熱い_
「せらえれぱらまーれ」
暗闇は始めてではないが、雨の日の野外キャンプのテント内より暗いのは始めてだ。
いつもの黒球が鎮座する部屋で全身の感覚が戻った。両手は空なのは初だが、覆面越しだが周囲はいつも通り良く見える__女性が1人座っていてこちらを振り返っている。それだけ。
ラッキー 0てん けい97てん あと3てん へんたい(笑)
チカサマ 100てん 100てんめにゅーへ
「3番?」
「1番よ__貴方最近0ばっかりよ?1番を選べるといいわね」
記憶を消されたら死んだようなものだろ。
「サヨナラ」
「うん…それじゃあ」