残り30分。重力兵器らしき武器をもっていた先達が息を引き取ったのを見た後、残っている赤い光点3つの塊の内の1つにやって来た。状況を客観視しようとしていないと、また吐きそうだ__来る途中で円形の窪みや、白い付属部品から金属光沢のある液体を出す壊れたスーツ姿の死体、グズグズになったあの怪物の死体を見た。ここにもそれらが散らばっている。しかし、まだ動いて殺し合っている音が響いている。ギョーンという銃声や重いものが叩きつけられる低い音__
室内だからここの方がでかい彼奴等と戦うには有利かもしれない、と思う。オフィスビルと思しき高いビルの外から高層の割れている窓を通って忍び込む。2体の怪物と1人の味方がいた。硬い柄を柔らかく握り、自分でも惚れ惚れする右手一本突きを片方の怪物に決め、刀を振り回して天井と床にたたきつけながら同時に左手で機器の1つだけあるボタンを押して透明化を解く。
「もう片方に集中してくれ!」
だが、文字通り助太刀に入った相手はこちらを一瞥した後窓を割ってビル外に逃げていく。
「はあっ!?」
腕が片方ない__そんなのはいい、もう一体が這うようにしてこちらに向かって来てる!
両方のトリガーから指を外しながら右手を引く。左手を柄に添えつつ時間差をつけて上下のトリガーを絞る。壁と柱にだけ当たらないように注意して刀身を伸ばし__横一文字に振り切った。重い粘り気のある手応えだったが…切断出来ている。最初に突き刺したヤツに向き直って大きく踏み込みながらもう一度横一閃__半ば以上切り込んだが両断は出来ていない。まあこんなもんか__少し気落ちするが、刀身を縮めて引き抜き、2体と距離を取る。さっきの味方に大分やられたみたいだ、もう動いていない。
便利な敵味方確認装置を手に取り生死を確認。上下階に居るのだろう他の光点のせいで分かり難いが、動かない赤い光点は無いので殺せたのだろう。さて、残りは上か下どっちに行けばいいのだろう。ま、上かな。
残り2分強。2人の味方と協力して__助太刀したのに逃げ出した隻腕の御仁ではない__ビル内の敵を殺し切った。左手の機器を見れば殺し切れた事は分かるが、離れた場所にまだ赤い光点がある。私は疲れ切っていて、その場に座り込む。軽く機器を掲げて2人に、
「どうします?」
と聞いてみる。
2人はゆっくり近付いてきて、1人は肩を竦め、もう1人はなんとも言えない顔で笑った。
「今回はクリア無理っぽいな。俺らめっちゃダメージ受けてるし、もう間に合わないっしー」
転送で顔が見切れている。笑ってしまう。
もう1人が、
「あはっ。君、名前は?私はキンナ」
太二、と答えかけるが、思い直して、
「ラッキー…って呼んでください」
「そっ。とりあえず…よろしく?」
「宜しくお願いします」
座ったまま軽く頭を下げる。
直ぐに私達も転送__瞬間移動ってほどじゃないな__され、私は正面右に黒い玉を確認する。軽く見渡し__5人居る、内2人は転送中__さっきの2人と話してみる。
「よ、オレはヤマダ。ラッキーて、プッ」
顔に血が昇るのが分かる。そういえば疲労も汗もなくなってる、それにこのスーツ汗掻いてもベタついてなかったな、思っていたよりも高性能だ。
短いフレーズが流れ、タイミングはマチマチだが皆黒い玉を見る。
それではサイテンをハジめる?
文字が変だが、採点を始める、か?