テストかゲームか戦争か   作:シューズ

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ながら勉強は悪!ー2

 三本あるレポートやりかけなのに、提出が遅れても教授に言い訳も出来ない、まったく!

「「きた?」」 

 湊も__確定だ。

 黄緑のカバーをかけ直していた4人掛けのソファから離れ、ドアを開けて居間から出て自室に向かう。さっさと帰る為に電車代、いや電子マネーの方が安いか、持って行く…駄目だ、装甲服着ていたら乗れない。ああ、専門書なんか読むのに疲れて時間かかるのに…!

 

 スーツケースを開く。部屋着を脱ぎ捨て、下着も脱ぎ、丸い白の留め具をとめつつ強化スーツを身に纏う。刀の柄もベルトに留めっ放しでついている。部屋の中心に支えもなしに直立する装甲服の方は、頭部も覆っている。初めから使える強化スーツもヘルメットぐらいあってもいいのに。

 マスク内が明るくなり、視界が自室の中だけど開ける。目を凝らすと、装甲服が反応して視野内が色褪せして壁や家具が透け、外の道路と畑が見える。足元のハンドガンは、内部の接続部からコードが左のノートパソコンに繋がっている。腰巻きカバンの中身を一瞥し、身につける。また上体を倒し銃とPCを両手で拾い上げる。

 

 青い光の後、白い壁紙の広い部屋__転送されつつある。カタ、ハル、ミツモト達はもう連れて来られているな。

「ばんわー」

「ちーっす。新庄さんは?」

 

「今回は一緒じゃない」

 透明からの解除で驚かすのはやり過ぎとカギンに言われたし。カギンは、いないか。

 

「ラッキーさん!」

 うわ頭部だけで喋るなよ…

「ハードスーツ、あ、装甲服でしたっけ、分解させて下さい!」

「やだよ」

 

 初参加の人は、強化スーツ未着用者は今の所9人と、多いな。

「もう説明はしたのか?」

 おとなしく静かにしているけど。

「いや?おまえのそれ見せての方がわかりやすくね?」

 じゃあ今回は偶々やりやすいだけか。

 

 耳障りな音楽が、黒球から流れている。湊は、ああ居るな。

「そこの球体に出る文字の通りだ!これから星人という怪物と殺し合いに送られる!死にたくなかったら、各自に用意されたケースの中の強化スーツに着替えろ!」

 長大な両腕を操作してみせる。

「私が着ているこの装甲服と同じ、兵器だ。身体能力が上がる。銃は持たなくとも、スーツは持って貰う」

 

 両脇が開き銃と中身の無毛の裸の男が見える黒球の前を通り、星人情報を流し読んで、追加兵器の部屋に向かう。

 

「あの説明だけでワカルわけない」

 知ってる。

「強化スーツを持たせるだけでも充分な位だろう」

「ラッキーさんの、ぶ、武器使えばここのルール…納得するまで守れるでしょ」

 兵器選択端末から目を離す。

「ハルは、格上の星人に当たった事が無かったのか」

 殺されかけ、再戦も未だの星人は、今回の相手じゃないが、ハルはあれ位の星人に当たる前に1番を選んで逃げるべきだろう。高得点星人でも私が湊とかと協力して殺すまで待てばいい場合しか知らないのは、問題だよなあ。

 

「あのお何点から格上なんです?」

 振り返る_キタミか__ここの機械を弄ってくれてるし__

「70点とか」

 このパソコンで表示されたのだと54点が最大だけど。

「100とかいるらしいじゃん?」

 他の場所で出たって意味だな?

「ここでも多分2回は出た」

 見えない星人と、攻撃が通らない星人。もしかしたら私とは違う強化スーツを着た星人も。

「ま_」

 転送__始まった。

 

 私の周りには、黒い強化スーツの人々が、なんか多くないか?

 

 青い光の通るあとに装甲服と腰のカバンが現れる。飛行バイクと、ガトリングガンと、ロケットランチャーと、重力銃も来る。

 

「あんたら、だれ?」

 こっちも聞きたいけど__

「地図を見る限り敵じゃないし、どうでもいいだろう。私は星人を殺しに行く」

 どうせいつも連携なんてしていないし、機器が正常に地図を映している内に_

「まて、おまえサトウじゃないの!?」

 は?

「ラッキーと同じの着たヤツいんの?どこ?」

「え、ちょ、あれ…」

「__えーと__」「い__」「____あれ!」

 轟音_

 右か_

 

 川に落ちる前にコンクリートに指を突き込んで止まる。左腕を装甲服から出して機器を操作__周波数変更__星人は近くにいない?遠距離攻撃とか、珍しい。

 飛行バイクは、乗ってられないか。

 

 走りながら腰を確認する。包帯、止血剤、ハンドガン、柄、テープ、三角銃、爆弾、落ちてない。

 

 トラックの様な生物達が、何かを飛ばしている__見付けた。あれ、象?牙を飛ばしてる、のか?

 毛深いゾウって、あれマンモスみたいだ_掌を向け、光弾を放つ。

 

 毛皮に隠れた沢山の目が、此方を_

 

 建物の壁を壊しながら屋内に避ける。点数を測れれば…避けなくともいいのかも知れないが。

 ここ、美容室かな__壁が倒壊する_怪物が突っ込んで来る_殴る、止められない_右後ろに飛びながら左腕を畳むように肘の刀身を当てる、深く斬れない_前面に衝撃_背面にも衝撃_

 両目を凝らす__瓦礫を崩しながら道路に出る_手をついて体勢を整え、こっちに突進するゾウ共に光弾を連射_道なりに後退する。

 

 牙は飛ばしても直ぐ生えるのかよ_肩が吹き飛びそう__腕で避け切れない3本を弾く。

 

 しまっ!?装甲服ごと抉られて__重い装甲服だが全力で高く跳躍__痛い__

 ゾウ達が沈む__重力銃か__距離を置いて止血をしよう__

 

 血、出てないな、打ち身か。装甲服の肩が壊されてはいるが、視界は正常、腕部分は傷だらけだが未だ動く。

 兵器を回収して来るか。あ、あの人_近寄る。

「どうも」

「おおっ?」

 知らない人だ。

「サトウ、さんじゃないか。えっとラッキー?なに?」

「その、協力して戦わないか、と」

 重力銃を持ち上げながら彼は首を振る。

「Zガンでも足止めだけだし…数が足りてない」

 星人の周りに居る筈だ。貴方も含めて。近くの青い光点の幾つかは私の兵器を持っている筈。

 連携すると、味方を巻き込まない様、貫通する光弾は撃てないが、重力銃、Zガン?の方が向いてるし。

「一か所に誘導するから、星人の近くに留まっていて欲しい」

 咄嗟にしてはいい案が出せたな。

 


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