第60話
カーテンから入る光が弱くなっている。日が陰ってきたし、念の為借家に戻るか。
「母さん父さん、私もう帰るよ」
「ん?おう」
「えーもう!今度くるときカノジョさん連れて来なさいよ」
厭だよ。にやついてるし尚更イヤだよ。湊、愛想良くするかわからないし。
姉さんがドアを開けて居間に入って来る。
「太二帰るよ一歌。送っていって貰えばどうだい」
「そうよ、どお?」
「えー住んでるのここだしぃ、彼氏もいないし?」
楽しそうだな…。姉さんはこっちに流し目送ってくんなよ。
「そういう仕草を、私以外の男にすればいいだろ」
「照れないでよ太二~」「そうよぉ」
「揶揄うならハルにしてくれよ…」
私にはやめてくれ!
「普段から家に居ないただ1人の家族はお前だろう。帰り際ぐらいちょっかいださせろって」
父さんまで?
「父さん達だって遅くに帰って来てすれ違うだろ。じゃあ、またね!」
居間を出て、階段に顔を向け上階の弟に声を投げる。
「ハルー、私、行くからー、じゃーなー!」
廊下を歩き、玄関で白地に赤いストライプのスニーカーを履いてドアを開け、外に出る。家族の返事を聞きながら、ドアを閉める。
次はいつ帰って来るかな。ん、電話だ。ズボンの右ポケットからガラケー__その内トヨカに給料を貰ってからスマートフォンに替えてやる__トヨカ?
「もしもし、雷木です。トヨカさん?何の御_」
「緊急だ、よく聞いて。今夜“呼ばれ”たら、気を付けて、詳細は_」
殺し合いに転送されて良く時はいつも注意してるに決まっているだろう!ハードスーツはかなり良い兵器だけど_
「_ついてきてる?ボクの言った事は繰り返さないでよ、要点は、相手の”アタック”がヤバい、世界中の
”プレイヤー”がかなり”てこずっている”、かな」
黒球の”合同ミッション”が前のより急に大規模になったカンジか?時差がある国は、ああ、時間制限も無くなってきていたか。最初に転送されたトコは、何時間戦っているんだ?
「”合同ミッション”だよな?開始はどれぐらい前?」
「10時間ちょう、だね。君が”呼ばれ”ないといいけど、生きてたらまた会おう、そろそろマズイ」
切られた_聞いておくべき事はまだあっただろうに、まあ盗聴を警戒したボカした会話にも限界はあるだろうが、あー早く帰らないと!?
走り出す_強化スーツも着てない、湊に電話して装備を持って貰えるか?バイトで家に居ないかも_携帯電話を操作する。湊の携帯に電話を掛ける_呼び出し音。
電車に乗って行く?車内で転送が始まったら拙いか__前回から1ヶ月経ってないのに!
「ああもう!」