プロローグ
空が赤い。青空の方が好きだ。雨でも曇りでもこの赤より遥かにいい。
「すごいね!コレ!」
「まあそうですね」
もう昼だしな。朝焼けでも夕焼けでもない上に、全天が暗い赤に染まっているのは、スゴイで済ませていいと思えないんだけど。
「雷木クン、ハードスーツ着てきた方がいいんじゃないかなー」
え、やだよ。
「まだ必要ないでしょう。指示があるなら着ますが、危険は感じ取れません」
嫌な気分ではあるけど。
__『あなたはスーツに依存してるわ』
いいやしていない。今だってワイシャツとスラックスの下の強化スーツは部分的なものだ。
必要で無いだろう時まで過剰な強化に頼ったりはしない。
「そう?まっ、ここに上がってこれを見られるだけでも働いている甲斐があるよねえ」
「今は休憩中ですけど…まあ、同感です。そういえばここって関係者以外上がって来れないんですか?」
「このビルはそうだね。高層ビルはどこもその方がいいと思わない?風強いし」
確かにうるさいな。
「風の音凄いですもんね」
「いやいや、危ないって意味だよ」
何が?
「君には関係ない、のか?突風でバランスを崩しやすいだろぉ?」
「ああ、そうですね」
下手すると落ちるのかな?柵が見えるけれど。
寒いけど見晴らしがとても良いから下を覗き込むと怖そうだ。飛行バイクだと機体の隙間から見る感じだったな。この辺まで上がっててもいい景色と思った事無いけど、見通しのせいか?夜だったからかもしれないか。
「俺は降りて待機に戻るけど、雷木クンは?」
「私は時間まで此処に居るつもりです。いえ、休憩時間の終わりには戻りますが、その5分前ぐらいまでなら此処に居ても大丈夫でしょう?」
「呼び出しがあったら直ぐ来いよ?んじゃ、ごゆっくりー」
先輩が出入口へ歩み去って行く__1人で居たいから走って行ってくれないかな。休日なのにやり方をよく知らない勤労をして。その同僚は年上の男ばかりで。カノジョもいなくなって。家では1人で気楽だけど…アポカリプスがもうきてるかもなのだよなあ、この空の異常からすると。あのテストだかなんだかの関係企業の所にいた方が情報が直ぐに解るに決まってるし。
星人との殺し合いは終わったけど、なんだかなぁ。
悪寒がある。
背後で重い扉の開閉音がした気がする。右肩越しに頭を回し目やる。先輩は屋上から居なくなった。
刀を振ってようかな。人前でやると危なそうだし、ひかれそうでもある。1人でやってもそうだろうけど。下トリガーを押したり中指を外したりで刀身を伸縮させながら振るの、一部の星人や殆どの人間に有効だろうなあ、私が間合いの変化を把握し続けられれば。強化スーツの強化を強くすると切っ先が追えなくなるんだよなー。装甲服でも動体視力の強化は得られないみたいだし目を馴らすべきだよな。3、4年は強化状態での振りの切っ先を見ようとしてるんだけど…肉体の全盛期って今ぐらいだよな…