首筋に奇妙な感覚が走る。これか…?
本を机に放置して勢い良く椅子を引き、人の殆ど居ない閉館時間が近い図書館から、夜、雨が降っている中、傘を差さず飛び出す。電灯の殆ど届いていない暗がりを見つけてそこに走る。左手のパーカーの袖に手を突っ込み、機器に触れてそのボタンを押す。荷物ごと透明化している事を祈りながら,手早くリュックを下ろして開け、2つのビニール袋の中の複数の白い小円盤がアクセントの変わった手袋と靴を取り出して、普通の靴下と靴を脱ぎ捨て、代わりに身に着ける。落とした普通の靴下と靴を別々の袋にしまいリュックに入れ、ジャージのズボンも脱いで押し込み、口を閉める。リュックを背負う。
黒い全身スーツの右太腿に手を遣り、刀をベルトから外す。
転送を待つ。
…まだ?
結構合図から余裕があるんだな。
…もしかして勘違いか?恥ずかしいな、もう。
傘を差す。濡れた服どうしようかな、ベルトで刀を留め直しながら思う。どこで着替えよう。
「!」
視界が青い光と共に切り替わる。黒い球、人々、白い壁と天井、茶色の床板。まだこちらに来ていない両手で傘を閉じる。
服の兵器を身に着けている人が3人。それ以外が数人。
ヤマダさん達は片方しか居ない。目が合い、フードを取りマスクを外す。目礼する。リュックにマスクを突っ込みながら歩く。
「他人行儀ね…まっ、しょーがないわね」
彼女は苦笑する。
「すいません」
壁際に寄ってリュックと傘を置きながら呟く。
順番に2人現れ始める。どちらも兵器『全身スーツ』を纏っている。最初に現れたのはヤマダさんで、彼は朗らかに挨拶して来る、が目礼を返すに留める。つい目線を下げ、刀、というか柄に触れる。
音楽が流れ出す。顔を挙げて玉を見る。近付いて浮かび上がってきた間違いだらけの文字を見る。私は周りの話し声を流しながら前回見ていなかったそれを読む。
おい。
ボールが勢い良く広がる。私別に死んだ覚えないけど…一人ごちる。
敵の情報がボール表面に浮かんで来た。
だんご星人、好きなものぶんしん?小さい粗い映像もあり、鰐みたいな顔が映っている。やっぱ毎回前回の怪物と戦ってはいないんだな。
「俺たちも見るんだけど」
「どいて?」
確かに邪魔になってるかも。玉の前から右側に回り、開いた玉から大小の銃を取る。後ろのドアに振り向き、開ける。幾つもの柄と見慣れない小さい銃と同じ位の先端が3つある銃が床に転がり、2つの重力兵器っぽい銃、ドーナツ型の近未来的バイクがある。