今、前回の生き残り6人で最後の赤い光点の敵と戦っているけど、1人が、あ。
「くそ、スーツがおしゃかだ!」
叫びながら離脱した。
まあ残り時間は30分程ある。クリアは確実だろう。いくら相手が巨大で棘と鰐顔が無数に突き出た怪物とはいえ。
しかし今戦いは競争の模様を呈している。いいや、これはもう狩りだろう。味方を巻き込みそうな円形に押し潰す攻撃、狙いの甘い銃撃、大振りの伸ばした刀身での斬撃がくりかえされている。化け物はもう傷だらけだ。味方同士の妨害は、殺し合いまでとは行かないものの他の味方が避難する程だ。
「1体15点はあるんじゃないかあっ!譲れー!」
これだよ。冗談めかした明るい声を挙げてる味方数人に斬りつけてやりたい。あ、2人目の脱落者だ。スーツが壊れたみたいで白い付属品から光沢のある液体を流しながら後退して行く。
「おっつー」
余裕かよ。刀を両手で持ちながら斬り上げつつ跳躍する。上に跳ぶと身動きが碌に取れないから危険だが、怪物が直立しつつあるこの状況__接近しての戦いのみ、意図的なフレンドリーファイア無しという暗黙の了解が出来てる__なら正面のこいつを仕留めきれる……なぁっ!?
ドドン!!
…伸ばした刀身諸共怪物の体の大半が円形に潰れた。私の刀は刀身の中程で折れてしまい、衝撃で地面に落ちて行く。バランスを崩した体を何とか立て直し足から着地する。
すぐさま地図を見て赤い点を探す。青く光る点しかない…
「9匹しか倒してないのに…っ」
大丈夫だろうとは思うけども…!
「いや十分だろ。オレぁ12」
「あたしは6」
「9」
「LAだれー?」
「当然わたし」
「「やっぱり」」「だろうね」
前回の4人がぞろぞろやって来る。
「……点数計算どうなってるんですか?」
私は座り込みながら聞いた。
「トドメを刺した個人が総取り」
「そうそう、今回は多分頭1つごと。ばらしても襲ってきたし」
なら私は18か?あ、やっぱり強いんだな、へへっ。
「ミナトさん100点行ったんじゃないですか?」
前回組1人こっちに来てないな__
結論、私はツヨイ。得点90点。
「あれ、ラッキーが倒したの9じゃないっけ」
「ああ、そう言ってたな。止めがミナトさんじゃなかったってか」
「いえ、頭で数えると18匹殺しました」
感心の反応を無視しつつ切り替わった表示を見詰める。
みなとサン、110点、いじをみせた(笑)、100てんめにゅーへ。
100点メニュー?
「2番」
彼女の即答が遠く聴こえる。1、記憶を消されて解放される。2、より強力な武器。
3、メモリーから1人再生。
結局今回の生き残りは前回の6人を入れて__因みに順に20点、30点、45点、60点、90点(私だ)、110点で、20点だったクラタさんは安堵した様子だった__10人。初参加で、スーツを着させられた人達の半数程が生き残ったそうだ。銃も刀も持たされなかったらしいのに点を取った人が居て、先輩方がやや驚いていた。私もそれを聞いて驚いたが、前回ならスーツだけだと死んでたに違いないなと、其の幸運に妬ましさを強く覚える。
ミナトさん、湊と書くらしいが、彼女にあの黒い球の強いるルールと兵器について一緒に徒歩で帰りながら詳しく教えて貰っている。小声で肩を寄せ合って__ばれないようにするためだが、間違いない湊さんに気に入られているんだ、きっと私が強いから__線路沿いにC駅へ向かいゆっくり歩く。雨は降り続けている。
「あの湊さん、そろそろ、その」
「そう。じゃあね」
彼女はくるっと回れ右してスタスタと歩いて行く。…送ってくれてたんだな。
家に向かって歩き出す。携帯電話が欲しい。帰るのが遅くなった時の為に、買って貰おう。パソコンもあると調べ物に便利だよな…というか独り暮らしじゃ無いと黒い球ルールを守り難いよな。転送は夜だから、部活はやめないといけないのだろうか。幽霊部員か?次の転送は正月じゃ無いといいな…傘をクルクル回転させて水滴を飛ばす。下に着たこのスーツ、衣類としても優秀だよな、濡れてるけど風邪ひかなそうである。