君と繋ぐ未来 作:つぼみ
お久しぶりです。
「よし、ギターのチューニングはバッチリだな。」
バンドの練習が終わり家に帰ってギターのチューニングをしていた玄治。自身の赤と白のギターを見直すとそのままベットに座り個人練習の体制に入った。
「玄治さん!」
これからというタイミングで
「真央…お前人の部屋入る前はノックしろってあれほど…。」
「少し…お話良いですか?」
「ん?」
玄治は真剣な顔でこっちを見る真央を見て何かあることはわかった。とりあえず真央を座らせてホットココアを作り、話をすることに。
◆ ◇ ◆ ◇
「ってことなんですけど…。」
真央が話したのは今度行うライブのメンバーについてだった。どうやら彼女が元々組んでいたグループのメンバーが彼女についていけずに真央のもとを去っていったらしい。その際に『楽しくやれたらそれでいいんじゃないの…?』と言われた事から本気でアイドルを目指していた真央と楽しくやりたかった彼女達の思いの行き違いというものが起きてしまったのだ。
「なるほどな。つまりまたお前の生真面目さが周りを振り回したってところか。」
「振り回したってなんですか!真央は本気でアイドルをやりたくて始めたんです!他のみんなだってそれをわかってチームになった筈なんです!なのに…。」
そう語る真央の顔には悔しさと寂しさが混じったような思いがあるように思えた。
確かに真央の夢はトップアイドルと大きく、そのためにスクールアイドルで有名な五凌館学園に進学してる程だ。彼女の性格からしても夢の為にやっていることに中途半端や妥協は許さない。常に一生懸命にやっていたのだろう。逆に周りはそれについていけずに彼女から離れてしまう、そんなことは昔からザラだった。彼女が真面目過ぎたが故の話だ。この度に真央は平気な顔をしてしたが内心では寂しい思いもしていたことも知っている。
「真央、お前の気持ちはよくわかった。だがトップアイドルになりたいからといってもお前少し焦りすぎてるんじゃないか?」
「別に…真央は焦ってなんか…。」
「だったら仲間になってくれた人のこと信じてみろ。そうしないとまたいつもの繰り返しだ。」
「…でも解散は決定したんです。」
「そうか。」
そう言うと真央は悔しそうな表情をしていた。まあ自分のやり方を信じていたからこそこの言葉は効くのかもしれない。だがこの事を認めない限りこいつの夢は遠ざかる一方だ。
「でも真央は決めたんです。今度のステージは絶対に成功させるって。だから…」
真央は言葉を飲むと更に続けた。
「たとえ一人きりでも…真央はステージに立って見せます!」
彼女の言葉は本気だった。今度、五凌館学園でライブをやる予定だったみたいだが他のメンバーがグループを止めてしまった以上、真央は一人で出るしかないと思っている。
「でもな真央、いきなり一人で立つなんて無理があるんじゃないのか?今までグループで立つためのパフォーマンスもやって来たのに…。」
「真央はもう決めたんです!それに自分の都合でステージに穴を開けるような意識の人たちとはやっていけません!」
「それでも無茶があるだろ。チームプレーをやっていたやつがぶっつけ本番で個人戦に挑むのは危険すぎる!それこそ失敗して舞台に穴を開けるかもしれないんだぞ!せめて元のメンバーともう一度話合うかしないと」
「もう決めたんです!!!」
俺の言葉に真央は声を荒げた。
「だから真央は一人でもやって見せます!」
そう言うと真央は部屋から出ていった。
「はあ…。」
またか…。
結局俺はまたあいつの力になれなかった。あいつが本気で取り組んでるのはわかるし、だからこそ無茶でも自分がやらなきゃいけないことを成し遂げようとする。そんなことはわかってた。だけど俺はそれを考えずに発言してしまった。その結果いつも真央と反りが会わずにこうなってしまう。
「……どうしたものか。」
そう呟きながら俺は部屋で一人、静かにギターを鳴らした。