足して2で割ると丁度いい…何てことはない 作:幸運のたい焼き屋
日も暮れ僅かに気温が下がり始めた町の中、人の熱と活気で日中よりも暑く感じるこの空気。賑やかな声と囃子の音。僕はお祭りの雰囲気が昔から好きだった。ここにいるだけで体の奥の方から沸き上がるものがある。それにこの町の祭りも遠い過去の記憶のものだけだから。
今日は…夏祭りに来ていまーす。もう、7月も終わりだもんね!まぁ、一人寂しく回るわけだけど。友達がいない訳じゃないよ!?みんなもう予定が入ってただけだよ。たぶん…。
それにしても…この町の人はみんな髪色カラフルなのかな?入り口にはピンク、赤、白、茶色、赤メッシュの子達いたしさっき水色の子もいるしお花畑かな?
「あ!琉杏先輩!」
「ん?香澄ちゃんと有咲ちゃんじゃん。2人でお祭り?」
「どうも。残りの3人はあとで合流です」
お祭りも5人でか~、ほんとに仲良しだね。僕のなんてぼっ…ごほん、一人で探検なのにさ。
「先輩も一緒に行きませんか!ね、有咲もいいでしょ?」
「私はいいけど…」
女神…女神が二人もいる…。でも、嬉しいけど5人の邪魔をするのも申し訳ないし気も使わせちゃうしだめかな。
「気にしないで5人で回りなよ」
「…いいんですか?」
「気にせず回れるしね。いろいろ見てみたいからさ!」
「わかりました!それじゃあ、また!」
「気を付けてねー」
お祭り来るとついお金を使いすぎちゃうんだよね。食べ物美味しいし、射的とか金魚すくいとか遊べるものも多いし子供心くすぐられちゃう。確かまだ今月は大丈夫なはずだしたくさん遊ぼーっと!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「りんりん、リサ姉いくよー!」
「あはは!あこ、落ち着きなよ」
「ま、まってあこちゃん…」
今日はあこちゃんのお願いでお祭りにきたんだけど…。やっぱり人がたくさん…。
それに…
「やっぱり燐子の浴衣姿は絵になるよね~!」
「そ、そんなことありません…。今井さんやあこちゃんの方が…」
「そんなことないよ!りんりん似合ってるよ!」
「そうそう、燐子には勝てないって」
そう、今日は今井さんに言われて浴衣で来たんだけど…動きにくい…。
「はぁー、友希那さんも最初からこれば良かったのになー」
「まぁまぁ、そんなに言わないであげなよ。友希那もすぐ来ると思うからさ」
「あこちゃん…。友希那さんならちゃんと来てくれるよ…」
今日、あこはRoselia5人で回ろうと練習終わりに声をかけていた。しかし、紗夜は妹に予定を入れられており友希那は曲が中途半端な状態なので仕上げてからということでリサと燐子とあこの3人で回ることになっていた。
その時あこは納得はしたものの不満そうだったのである。
あこちゃん、元気だなぁ…。あんなに走り回ってるのに全然疲れてない…。私も頑張らなきゃ…。
「りんりーん!はやくー!」
「う、うん。すぐ行くね」
あこちゃんを見てるとあの子のことを思い出しちゃうな…。もう10年はあってない。いつも元気で私を引っ張ってくれた、人見知りな私に楽しいことをたくさん教えてくれた子。
((燐ちゃん!いこ!))
懐かしいなぁ…。ずっと昔のことだけど今も鮮明に覚えてるよ…。だって…
「りんりん?」
「え…。ど、どうしたの…?」
「呼んでも返事なかったしぼーっとしてたから体調悪いのかなーって」
「燐子、疲れちゃった?」
「だ、大丈夫です…。行きましょう…」
「辛くなったら言ってね?」
「うん…。ありがと、あこちゃん」
今考えてたらまたぼーっとして心配かけちゃう。今はお祭りを楽しまないと…。
(いつかまた…。会えるよね…)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「っくしゅん!」
「…琉杏。風邪なら、移さないで頂戴」
「誰かが噂してるんだよ!友希那も、酷いなぁ…。せっかく一緒に探してあげてるのに」
「一人だから一緒に行くって言ったのはどこの誰かしら」
「…そんな人もいるんだねー」
あ、そんな冷たい目で僕のことみないでー!だってこんな祭の中一人で回るの寂しいじゃん!?最初は良かったけどむなしくなってくるじゃん!
「それで、リサと…誰を探すの?」
「あこと燐子よ。紫色の髪の子と黒髪の子」
「燐子…?それって白金燐子?」
「えぇ、そうよ。知っていたかしら?」
「そりゃ知ってるよ!だって…「あー友希那さんだ!」ん?」
「やっと見つけましたよ!…と、知り合いですか?」
「琉杏じゃん。一人で…って燐子?」
「う…そ…。ぇ…琉杏…ちゃん…?」
そんな泣きそうな顔しないでよ。昔とほんとに変わらないなぁ…。
「久しぶり。燐ちゃん」
そう声をかけると燐ちゃんは走りだしそのまま抱きついてきた。恥ずかしがり屋なのにどうしたのかなって、僕のせいだね。
ねぇ、燐ちゃん。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あー友希那さんだ!」
どうやらあこちゃんが友希那さんを見つけたようだ。こんな人混みの中でよく見つけられるなぁ…。
そこには友希那さんともう一人いた。その人を見た瞬間、まるで時間が止まったかのような感じがした。
「琉杏じゃん。一人で…って燐子?」
今井さんが何か言っている…。でも聞き取れない。それほど今の私には余裕なんてない。
だって…その子は…
「う…そ…。ぇ…琉杏…ちゃん…?」
間違えるはずない。私の大切な大切な従妹、ついさっきまで私の頭の中心に居続けた…。
「久しぶり。燐ちゃん」
その声もその呼び方も何もかもが懐かしい。あの頃のまま、まるで時が戻ったかのように…。
人目なんて気にしない。どれだけ人がいようともこの喜びを押さえることなんてできなかった。駆け出しその勢いのままだきつくと琉杏ちゃんは優しく抱き止めてくれた。
ねぇ、琉杏ちゃん。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(るあちゃん…いっちゃうの…?)
(りんちゃん、だいじょうぶだよ!またあえるって!)
(ほんと…?)
(ほんとだよ。だからなかないで?)
(…やくそく…だよ?)
(うん、やくそく!)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「やっと会えたね…」」
とある町のとある夏祭り。人の声と囃子の音が混ざりあうそんな普通の景色の中、10年の時を越え再会した少女達がいた。それは、純白の薔薇と幸運の僕っ娘でした。
なんか書けたので…
平成の終わりに置き土産
そして平和に令和を迎えます
それではまた