仮面ライダージオウは救世主、または魔王である 作:我が魔王
それでは、どうぞ!
今、思い返せばあの日、後に7・30惨劇と名付けられた、惨劇の予兆は朝から起きていた。
人間が神の怒りに触れて、天におわす神々が人間という種の絶滅を決定した運命の日。
その時、まだ小学生だった私達は修学旅行で島根を訪れていた。
神々による粛清が始まった時、無力に打ちひしがれる自分に天ではなく、地におわす神が私に”声”を聴く力を与えてくれた。
私はその力を使い、大切な幼馴染の窮地を救い、残された人々の希望の灯たる「巫女」となる運命が決まった夜。
そこで私は、もう一つ、いや、先ほどの決断を上回る運命に出逢ったのです。
「若葉ちゃん!!こっちです!皆さんと逃げますよ!!」
後にバーテックスと呼ばれる白いオタマジャクシのような口のみが存在する怪物を、人に味方した神より賜った日本刀、生大刀で切り捨てていた少女こと、乃木若葉は、自分にこの日本刀の存在を教えてくれた自分とは違うが同じタイミングで特殊な力に目覚めた幼馴染の少女、上里ひなたの言葉に振り返る。
一体であれば問題なかったバーテックスが合体し、進化したことで今の自分では太刀打ちできないと判断した若葉は、ひなたの元へ撤退しようとする。
だが、人を滅ぼす命を受けた怪物は、その一瞬の逡巡した隙を逃さなかった。
「後ろです、若葉ちゃん!!」
「なッ!?」
気が付いたひなたが警告するが、時すでに遅しでバーテックスは若葉を葬らんと巨体を叩きつける。
二人が永遠の別れを想像した時だった。
『フィニッシュタイム!タイムブレーク!!』
どこからか電子音が鳴り響くと、バーテックスの周りに現れたある物が若葉を守った。
「なに、あれ?」
「カタカナの、キック?」
それは、マゼンタ色をした等身大ほどの大きさの「キック」という文字だった。
バーテックスを囲むように現れた文字は、やがて一つとなって上空へ浮かび上がる。
釣られて視線を向けた二人には、右足を突き出して跳び蹴りの姿勢で降下する人影が映った。
「ハアアアァァァァァァッ!!」
その人影の右足に文字は収束し、勢いのままバーテックスに蹴りを叩きこんで貫いた。
「…すごい」
「ひなた、今のうちに。ひなた?」
窮地を脱した若葉は、今度こそ撤退しようとひなたに声を掛けるが、肝心のひなたは突然現れた人影に目が釘付けになっていた。
そうこうしていると、再び進化前だがバーテックスが集まってきたことに若葉は気付いた。
「ひなた、どうした!?早く逃げるぞ!」
『フォーゼ!』
キックで進化体のバーテックスを爆破した人物は、今度は腕のホルダーから時計のようなデバイスを取り出して起動し、いつの間にか持っていた銃のような機械に装填した。
『フィニッシュタイム‼️フォーゼ!スレスレシューティング!!』
腕を掲げてトリガーを引くと、数多の小型ミサイルが銃口から発射されて次々とバーテックスに命中して掃討していく。
「やらねばッ!」
「ひ、ひなたぁあ!?」
若葉が圧倒的な光景に呆けているのと対照的に、ひなたは駆けだすと謎の人物の傍らへ行き若葉や生き残った人々へと視線を向けた。
「祝え!!」
そして、不思議と誰もが頭に直接響くような錯覚を覚えるほど澄み渡った声で祝言を述べるのだった。
「時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者。その名も武神ジオウ改め、仮面ライダージオウ。まさに再誕の瞬間である!!」
絶え間なく起こる爆炎によって照らされ、ひなたとジオウはまるで絶望の中の救世主のようでいて、破滅をもたらす魔王のようにも映し出された。
少なくとも、若葉やこの場にいた人々の眼にはそう焼き付ていた。
ここまでお付き合いいただき、皆々様には平らに感謝を。
今お話し致しましたあの瞬間こそが、私が彼の王を知ろしめす「預言者」となる運命を選んだ夜でありました。
彼の王は、救世主なのか魔王なのか。これこそ、正しく神のみぞ知る、ということです。
続きは、近い内に出せたらいいなぁ