正直こんなに見てくれる人がいるなんて夢にも思わなかったので、目から汗が止まりません…
今回は翔ちゃん視点の語り部が多くなります。本当は最初の部分だけにしようと思ったのですが、何故か止められなくなってしまいました(汗
あと今回も自分の悪い癖が出てしまい、前回よりも長文になっています。では、第二話をお楽しみください。
仮面ライダーW! 今回の依頼は、
依頼人「重い病気になって入院したんです。なのにある日突然退院して…刀使の仕事をしていて、結芽ちゃんを助けてください!」
探偵「いきなり退院したって言うのは…何か引っかかるな。」
相棒「直接会って見るのも悪くないかもしれない。」
想い人「…」
──────────────────────
あれから俺達はドーパントを倒した後、鎌倉署の警察が来る前に退散する事にした。
ここは風都とは勝手が違う。
照井や刃野さん、マッキーと知り合いだからこそ向こうでは融通が利くが、ここで目を付けられたらドーパントや闇の商人の仲間と勘違いされて余計身動きが取れなくなる。
幸い誰も変身前の姿には気づいていないみたいだ。
密かに変身を解き、その場を離れた。
「ここまで来れば大丈夫だな…じゃあ、まず宿泊先を探して一息ついたら調査を始めるか。」
当初、すぐに照井から頼まれた調査に取りかかる予定だったが、いきなりドーパントが現れた為にそれどころではなくなり騒ぎが収まるまで宿泊先を手配してから、調査を開始する。
そしてホテルを見つけ、暫くしたら俺は市内を廻り闇の商人に関する情報を探していた。(フィリップと昇は喫茶店で待機している。)
「…これだけ調べりゃ、上等か。」
市民から聞くには闇の商人は常に一人で行動していて、神出鬼没だと言う事。決まった場所や時間などは無く、個人や集団に複製品のメモリを売り廻って足取りが掴めない様にしているみたいだ。
「他に分かった事はそんな形でメモリを買った不特定多数の奴らが、一人または複数人で昨日と同じドーパントになって市内の人々に襲いかかる…それぐらいか。」
俺は二人の所へ戻り、風都の皆への土産を買いつつホテルに向かう。
そして、一日は終わった。
───
「結芽ちゃん、あそぼー!」
「うん!いいよー、いっぱいあそぼー!」
「結芽ちゃん、その本なーに?」
「これはね、『青い鳥』っていう絵本だよー」
「チルチルとミチルっていう兄妹(きょうだい)が魔法使いのおばあさんに青い鳥を見つけてほしいって頼まれて、それを探しにいくんだけどねー」
「うん」
「色んな世界をまわって青い鳥を捕まえるんだけど、その鳥が黒い鳥だったり、死んじゃったり、持って帰れないまま『夢』からさめるの」
「それで朝起きたら、家の鳥籠の中に青い羽根があってね、それを見つけたの!」
「…青い鳥はどうしたの?」
「青い鳥は実は自分たちが飼っている鳩でね、本当の幸せは自分たちのすぐ近くあったんだっていうお話なの!」
「青い鳥かぁ…結芽ちゃんみたいにキラキラしてるのかなぁ」
「もう、昇くんってばおませなんだからー///」ゴッ!!
「結芽ちゃん、いたい!いたいって!」
「結芽ちゃん、大人になったら僕と一緒に本当の青い鳥捕まえにいこー」
「うん!いいよー!」
…… ハッ!「青い鳥…」
昇は幼き頃の夢を見て、起床した。
───
「…」
「…と結芽は会場の警備に、夜見は紫様の自衛を」
「!……(そろそろ行かなきゃ。)」
折神紫親衛隊第四席、燕結芽は上の空だったが真希の話が聞こえて我に帰り、任務に移る。
─折神家・御前試合会場─
「ここが会場か…」
「…(結芽ちゃん、どこにいるの?)」
俺達は開始の時間まで、燕結芽がどこにいるか刀使達に色々聞いて探し廻った。
しかし、なかなか見つからず、聞くのは彼女の悪い話ばかりだ。確かに刀使の中でも飛び抜けた実力を持つらしいが何やら親衛隊の権限を振りかざして部下を困らせたり、任務中に隊長でありながら一人で勝手に行動するという、相当我が儘なおてんば娘の様だ。
「おい、大丈夫か昇。顔色が悪くなってるぞ?」
「…いえ、大丈夫です…」
無理もねぇ、好きな娘がそんな風に変わり果てた事を聞いたらそりゃ、暗い顔にもなる。俺も風都で色んな女に会って来たが昇の場合はまだ小学生だ。こんな苦い経験をするのは酷って物だぜ。
「聞いたかい?翔太郎。刀使の歴史、御刀を通じて『隠世(かくりよ)』から引き出される様々な能力、それぞれが習っている剣術の流派、実に興味深い。何で僕は今までこれ程魅力的な事に興味を持たなかったのか、不思議で仕方ないよ。」
「お前はこんな時に何調べてんだぁ!」
そうしてる内にまもなく大会が始まる。アナウンスが終わった後、俺達は一旦客席に座り試合が終わるまで観戦する事になった。また探すのはそれからだ。
「第一試合、…平城学館、『十条姫和(じゅうじょうひより)』。」
最初の試合は綾小路武芸学舎の刀使と平城学館のロングヘアでどこか冷たい顔をした刀使の対決だ。ただ、あの十条って娘の顔を見ると初めて会った頃の照井を思い出す。
俺の思い過ごしならそれで良いが、まさか後になってその勘が当たるとは思ってもいなかった。
「礼…双方、構え、『写シ(うつし)』、始め!」
刀使は基本、写シという御刀の力によってその体に張られるバリアみたいな物を纏い、『迅移(じんい)』という超スピードで荒魂を斬ると言う超常的な戦い方だ。他にも色々、能力があるらしいがこの先は難し過ぎて俺にも分からない。
あの少女達が人々を守る為に次元が違う世界で戦ってると思うと頭が上がらねぇ。
フィリップは刀使の事に夢中で、彼女達に聞いて廻り密かに地球の本棚で調べて知識を吸収していた。それで今、こいつは試合を食い入る様に見ている。
ザンッ!「それまで! 礼。」
「! おい、相手痛がってるぞ!」
「大丈夫、肉体にダメージは受けない。だが写シを切られた事よってある程度、精神を消耗するみたいだ。」
「十条姫和…彼女の迅移による素早い戦法は圧倒的だ。さらにそれを活かす鹿島新當流という流派、彼女はかなり強い。」
「第二試合、鎌府女学院、『糸見沙耶香(いとみさやか)』。美濃関学院、『衛藤可奈美(えとうかなみ)』。」
(? 攻撃が当たらない…)
(良く視る、良く聴く、良く感じ取る!)キィン!
「それまで!」
「彼女達も凄い、一方は無表情でどの様な手で来るのか分からない。その一方で相手は迅移による追撃を防ぎつつ、最後には逆転する。」
「勝ったのは柳生新陰流の使い手か…あの美濃関の刀使にはもっと凄い才能があるのかもしれない。」
─
「キエー」ドスン!「何だ、あの御刀!? でっけぇ!」
「山金造波文蛭巻大太刀(やまがねづくりはもんひるまきのおおだち)号 袮々切丸(ねねきりまる) 実物は重要文化財として扱われ、退魔の剣と言われる程の逸話があるらしい。」
「あんな小さな娘が持てるって、どんだけ馬鹿力なんだよ…」
「はっ!」ザンッ! 「それまで!」
─
「負けたー」「やる気無しデスねー。」
「…俺達の本業は荒魂を倒す…だ。」
「これはこれで大事デース。」
─
「ハッ!」カキィン!
「柄で防いだ!?すげぇなあの金髪の美人。」
「タイ捨流だね…様々な地形での戦闘を想定した実践剣法で、体術を取り入れた技もあるという。」
「what!?」 ザンッ!「やられたぁ~」
姫和が勝った。
(凄い…昨日感じたのは錯覚じゃなかったんだ…)
それぞれが勝ち進み、準決勝に同じ学校の刀使同士での一戦がこれから行われる。
「礼、」
(可奈美ちゃん、今まで何百回も打ち合って来た。お互いに手の内は…)
(舞衣ちゃんの正眼は簡単には崩せない。技を誘って…!?)
「この準決勝、まさか同じ学院で揃うとは…!?」
会場の殆どがどよめき始めた。フィリップも少し驚いている。
「居合いだって!?」
「膝付いて構えてんぞ…」
(私は、私のやり方で…可奈美ちゃんに追い着くんだ!)
『柳瀬舞衣(やなせまい)』という刀使が居合いの体制に入り、相手の衛藤可奈美はすかさず迅移を使って後ろに回り込み彼女もそれに反応して、後ろを振り向く。
そして、舞衣が御刀の柄を握る手を可奈美は手で抑えて止めた。
「…っ!?」
通路にいる結芽も見てはいないが、会場の雰囲気で何かを感じ取っていた。
(舞衣ちゃん、私、勝ちたい…勝って、あの子と戦ってみたい!)ザンッ!「それまで!」
勝者は可奈美だった。倒れた舞衣に手を差し伸べて起こし、互いに健闘を称え合う。そして、客席からの喝采に包まれた。
「決勝、頑張ってね。」「うん!」
─折神家・本殿─
俺達は決勝の舞台である本殿の白州に移動した。
「決勝はここで行われるのか…雰囲気からしてまるで聖域の様だ。」
「正に時代劇でいう、殿様の御前で試合みてぇな物だな。」
昇は本殿の方を見ると、
「あっ! ………結芽ちゃ…」「待て、昇!」
警備をしている親衛隊の中にようやく燕結芽を見つけた。彼女は年相応の外見でありながらも、どこか儚げで神秘的な別の世界から来た様な美しさだった。
成る程、昇が惚れるのも納得がいく。だがもうすぐ時間だ、試合が終わるまで待つしかない。俺は昇にこう言い聞かせた。
「昇、試合が終わったら会いに行こう。そんで今まで溜め込んでいた、思いの丈をぶつけて来い。」
「…はい! やっと、やっと結芽ちゃんに会える…」
そして本殿の奥から折神紫が現れ、席に着いた。
「いよいよ御当主の登場か…今まで何をしていたんだろうね。」
「さあな。」
「まもなく決勝を始めます。選手は前へ!」
「礼、双方、構え、写シ、始め!」
(何だろう…わくわくするのに震えが止まらない。)
(車の構え…?) 姫和の視線は別の方に向いていた。そして、一瞬で消えた ─刹那、
キイン!
「…それがお前の一つの太刀か」「…っ!」
姫和は目にも止まらぬ速さで、紫に刃を向けた。だがそれは本人によって容易く防がれた。
「あれは…一体、何だ!?」
「どうやら十条姫和は迅移を三段階に加速させたみたいだ。 …そして、折神紫に向けて攻撃した。」
すぐに追撃を仕掛けようとしたが親衛隊の一人に背後を突かれ、阻まれた。
「くっ…」写シが消え、粛清されると思ったその時、
キィン!「迅移!」可奈美がその一撃を防いだ。
姫和に迅移を促し、二人は逃げ始めた。
「お任せください。」「良い、追うな。」
(あのおねーさんなら、きっと…)
「にゃはっ!」「結芽!」結芽が嬉々として後を追う。
「私も混~ぜてっ!」
キイン!「にひっ、アハハッ!」「…っ、姫和ちゃん!」
可奈美は姫和の手を引いて迅移を使い、逃走した。
「ずるい!」
「…もー」結芽は残念そうに見つめていた。
会場の全員が動揺している中、俺は密かにメモリガジェットの一つであるバットショットを起動し、二人の追跡を命じて飛ばした。
(今の騒動もだけど、もう一つ気になるのは…)
フィリップは何かを考えていた。
─
「さぁて、紫様の所へ戻ろうっと…」
「結芽ちゃん!」「!?」
昇は結芽の名前を呼び、彼女に話しかける。
「結芽ちゃん、やっと会えた… 心配したんだよ。」
「何があったの?まさか、誰かに脅されてるとか…」
「もしそれで無理をさせられてるなら、僕が…」
「あのさ、」「えっ?」
「だーれ?君、」
「え…」「「!?」」静観していた俺達も驚く。
「…嘘…だよね?結芽ちゃん、僕の事「知らない」
昇は結芽の手を握り、
「そんな…「触らないでっ!!」
彼女に突き離された。
「おい、いくら何でもそれはねぇだろ!」
「おにーさん達、この子の保護者?だったら早く連れて帰ってよ。」「昇の事覚えてねぇのか!」
「しつこいなぁ、だから知らないって言ってるじゃん!」
「妙だね…記憶喪失でない限り、君はこの少年を知っているはずだ。」
「結芽!」「どうかなさいまして?」
他の親衛隊員がやって来た。まずい、事態が悪化しそうだ。
「これ以上、私に変な言いがかりつけるなら公務執行妨害になるよ!それでも良いの?」
「くっ…仕方ねぇ。行くぞ、二人共。」
「待って、結芽ちゃん! うあああああああああぁっ、嘘だ!嘘だそんな事!!」
─翌日・鳴海探偵事務所─
あれから俺達は事情聴取を受けたが照井の紹介という事もあってかすぐに解放された。その代わりこの件の事は口外しない様にと言われ、それで難なく風都に帰って来た。
スパーン!!「いってぇ!何すんだ亜樹子ぉ!」
「何すんだじゃないわよ、どうして私を置いてったのよ!私も鎌倉行きたかったのにぃ~」
「仕方ねぇだろ!フィリップが試合の観戦に行きたがって、事務所を留守にする訳にも行かねぇんだからよ。」
「それに、お前まで連れてったら春奈ちゃんの面倒誰が見るんだ?」
春奈とは照井夫妻の娘である。
「うっ、それは…昼間は保育園で…一日位竜君に任せても…」
「亜樹子ぉ!」「じょ、冗談よ!冗談!」
「とにかく、土産に鳩サブレー買って来たからこれで機嫌でも直せ。」
「は、鳩サブレ…ってそれで済む訳ないでしょー!大体、誰のお陰で「所長、そこまでにしてくれないか?」
亜樹子の話を遮ったのはこいつの夫であり、風都署超常犯罪捜査課の刑事である照井竜という正にハードボイルドを体現した様な男だ。
俺は照井に昨日までの事を全て話した。口外するなとは言われたが、警察官であるこいつなら昨日の騒動はある程度知ってるはずだ。
「そうか。話には聞いていたが、事件の裏でそんな出来事があったとは…」
「ああ…昇にとっては辛い結果になっちまった。」
「あの親衛隊の三人…出会った時から凄まじい殺気を感じたよ。ゾクゾクする位にね。」
「一人は荘厳、一人は薔薇の刺、そして、燕結芽からはまるで血に飢えた獣の様な。仕事柄とは言え、あんな少女達が普通では有り得ない殺気を放つのはあまりにもおかしい。」
「それと…十条姫和という刀使が折神紫に攻撃した時、折神紫の背後に何か嫌な気配を感じた。」
「それは…ドーパントが背後に居ると言う事か?」
「これから地球の本棚で調べる所だ。早速検索して見よう。」
フィリップは地球の本棚で検索を始めた。
「キーワードは『衛藤可奈美』、『十条姫和』、『折神紫』」
「…この三人、どうやら意外な接点があるみたいだ。だが、これだけではまだ…!」
「何か分かったのか?」照井が問いかける。
「読めた。追加キーワード『荒魂』」
追加キーワードによって再び検索が始まり、新たな本が現れた。
「…見つけたか?フィリップ。」
「…大荒魂という名前の施錠された本が出て来た。」
一同は驚愕した。
「えっ?それって…」
「閲覧出来ない以上、情報は分からない。けど、大体分かった。折神紫…いや、折神家は荒魂に関する重大な『何か』を隠している。」
「一体どう言う事だ!?折神家は荒魂を倒す為に刀使を仕切ってんだろ?」
「翔太郎、荒魂はどこから生まれるか分かるかい?」
「突然出て来るんじゃないのか?」
「言うと思った…」呆れた顔をする亜樹子。
「御刀を作る材料である『珠鋼(たまはがね)』という神聖な希少金属があり、それを精製する際に砂鉄から出来る不純物、『ノロ』と呼ばれる物から荒魂に変化し、刀使によって倒された後、またノロに戻る。」
「そして、荒魂の元であるノロを回収するのが折神家だ。」
「!?まさか…」事務所の電話が鳴る。
「はい、昇君のお母さん?いいえ、居ませんが…えっ!」
「どうした?」「大変!昇君が行方不明になったって!」
「何だって!?皆で手分けして探すぞ!」
─東京・台東区─
昇は、行く当ても無いまま家出をしていた。
「…僕はこれから、どうしたらいいんだろう」
「あの人達、どこかで…」『翔太郎、見てくれ。…まるでギターケースを…』
「!」 二人の少女達の後を追う。
─
「昇は見つかったか?」「駄目、どこにも居ない!」
スタッグフォンが鳴り「フィリップ、どうした?」
「翔太郎、昇君を見つけた。彼は今、原宿方面に向かっている。」
「原宿!?どうして分かったんだ?」
「今、スタッグフォンを通して昨日の二人を追跡しているバットショットの映像を見ていたら、彼女達の近くにいる彼を発見した。画像を送るよ。」
送られた画像には紺色のパーカーを着て、ギターケースを背負っている逃走した刀使二名とその後を追う昇の姿があった。
「あいつ、二人を尾行してんのか!?」
「恐らく、捕まえれば燕結芽の助けになると思っているんだろうね…」
「亜樹子、フィリップと一緒にあいつの所に行って来る。お前は待ってろ!」
「ちょっと!また留守番なんて私、聞いてない!」
「フィリップもあの二人に聞きたい事があるらしい。悪いが任せたぞ!」
─
「ノロの回収はどうする?」「ええっと…」
「私が要請します。」「「!?」」
可奈美と姫和は荒魂を倒し、その残骸を集めていた。
後ろから刀使らしき声が聞こえ、振り向くと…
「舞衣ちゃん…?」「美濃関の追っ手か…」
「待って、姫和ちゃん。舞衣ちゃんは私の親友で…舞衣ちゃん、どうしてここに?」
「スペクトラムファインダーに荒魂の反応があったから。荒魂はもう退治してくれたみたいだけど、そのお陰で会えた。」
「親友だと言うなら、何故御刀を向けている…」
「私は可奈美ちゃんの親友です。だから、私が可奈美ちゃんを助けます。」
「ちょっと…二人共、一度御刀を収めて「向こうにその気は無い様だ。」
「舞衣ちゃん!」「聞いて、可奈美ちゃん!」
「羽島学長が約束してくれたの。私と一緒に帰ってくれば、罪が軽くなる様、全力で助けてくれるって…」
「可奈美、良い機会だ。お前は帰れ。」
「そんな、姫和ちゃん…「でも、一つ条件があるの。」
「十条さん、貴方も一緒に折神家へ投降してもらいます。」
「残念だが、それに協力は出来ない。」
「協力しなくて良いです。私が力ずくでねじ伏せますから。」
「やって見ろ。」二人は刃を交えようとした。その時、
キイン! 「!?」変形したスタッグフォンが双方の剣を受け止める。
「お嬢さん方、刃物で喧嘩とは穏やかじゃないな…」
「誰だ!?お前達は…」
「僕達は探偵さ。君達の敵ではない、とだけ言って置こうかな…」
翔太郎、フィリップ、昇の三人がやって来た。
「そんな事、信用できると思ってるのか?」
「十条姫和。僕は折神紫の正体が知りたくて、ここに来た。教えてくれないかい?」「お前…」
「舞衣ちゃん、お願い!聞いて?」「可奈美ちゃん?」
「ごめんね、舞衣ちゃん…私も姫和ちゃんも、まだ捕まる訳には行かないの!」
「どうして…?」
「私、見たの…御当主様が姫和ちゃんの技を受け止めた時、何も無い空間から二本の御刀を取り出して…その時後ろに良くない物が見えたの。」
「良くない物…?」「やはり、お前には見えていたのか…」
可奈美は頷き、「一瞬だったし、見間違いかと思ったけど、やっぱりあれは…荒魂だった。」
「やっぱり、そういう事だったんだね…」
フィリップは可奈美の発言に驚きながらも察する。
「荒魂!?そんなはず…あの人は御当主様で、大荒魂討伐の大英雄で「違う!!」
「奴は、折神紫の姿をした…大荒魂だ!」
「「!?」」翔太郎と昇は衝撃を受ける。
「じゃあ、折神家も…刀剣類管理局も…伍箇伝も…」
「その全てを、荒魂が支配している。」
「とにかく、私は姫和ちゃんを一人には出来ない。だからお願い、舞衣ちゃん!」
「…本気…なんだね?」
「…うん」可奈美は静かに頷く。
「…分かった。」「舞衣ちゃん…」
舞衣は写シを解き、御刀を鞘に収める。
「分かってるよ。可奈美ちゃんがする事はいつも本気なんだって事…」
「これ、忘れ物。」
舞衣は可奈美に自分が作ったクッキーを渡す。
「他の荷物は押収されちゃって、返して貰えなかったんだ。」
「ありがとう…じゃあ、行くね。」「うん、またね。」
「あっ、十条さん。」「?」
「可奈美ちゃんを、よろしくお願いします。」
舞衣は姫和に対し、頭を下げる。
「…私は自分のすべき事を果たすだけだ。」
「これからどうする?よかったら、うちの事務所にでも…」
翔太郎は二人にこう提案するが、
「断る。まだお前達を信用できない…それに、その方が色々とまずいだろう///」二人は迅移を使い、その場を去る。
「っ!…おいおい、そりゃねぇだろ…」
「…翔太郎、君は女心を分かっていない。」
「んだとぉ!?」
「…」(荒魂が…じゃあ、結芽ちゃんは…)ギリッ!
昇は俯きながら、歯を噛みしめた。
─翌日・風都─
「照井、もう行くのか?」「俺に質問をするな。」
照井竜は闇の商人がメモリをばらまき、人々をドーパントに変える事件を捜査する為に鎌倉へ向かおうとしていた。
翔太郎、フィリップ、亜樹子は見送りに来ていた。
「照井竜、気を付けた方が良い。これは僕の予想に過ぎないが…今後、あの場所で何か大変な事が起こるかもしれない。」
フィリップは照井に忠告するが、
「…フィリップ、知っているだろう?」
「俺は死なない。」
照井は自身のバイクに乗る。そして、亜樹子に
「所長、行って来る…」「竜君…」
照井は風都を後にする。
─
そして、昇は…
「…もう一度、結芽ちゃんを助けに行くんだ。」
再び、鎌倉へと向かう。
─
「フフッ、さて…次は誰に売るか…」
ビルの屋上から鎌倉市内を見下ろす怪しげな男が手にしていたのは、『Y』の文字が刻まれたショッキングピンクの色をしたガイアメモリだった。
ギュィィィィン!(続く)
──────────────────────
仮面ライダー W!!
「おねーさんじゃ、そもそもあの人達には勝てないよ」
「そんな魂の籠もってない剣じゃ、何も斬れない!」
「おにーさん、退屈しのぎに遊んでよ」
「全て…振り切るぜ!」
これで決まりだ!
第三話「退屈なY/全てを振り切れ!」
ご感想・ご意見・アドバイス等、励みになります。
オリジナルガイアメモリ設定:ヤーニングメモリ
「憧れ」の記憶を内包したガイアメモリ。
ショッキングピンクの色をした外装でまきびしの様なYの文字に炎のオーラを纏ったディスプレイマークが中央に描かれている。
オリジナルドーパント設定:ヤーニング・ドーパント
ヤーニングメモリを差す事で、その力を得て変身するドーパント。西洋の騎士が装備する様な甲冑に左上半身にフリージア、右上半身にシクラメン、それぞれの花が数カ所に咲いており、花の色が意味する花言葉に憧れがある事から使用者の憧れをエネルギーに変換して能力を向上させる力を持つ。花言葉が意味する色次第で適合率が決まり、能力の上昇によっては一度のマキシマムドライブではメモリブレイクできない可能性も秘めている。