TS転生だとしても、絶対に諦めない。   作:聖@ひじりん

7 / 19
指摘が合ったので、5話を28日のUPより数時間後に修正しました。良かったら見て下さい。


天空闘技場編
6話『到着からの帰宅』


 

 天空闘技場。勝者のみが上の階に行ける……とか何とか。説明は聞いたけど、知っているので無視した。

 

 ただ、受付の子が可愛かった。メンチとの約束があったので我慢したけど……いつか、爆発する前にメンチ並の女の子を探しましょう。そうそういないけど。

 

 現在、ここに降り立って2日目。

 

 初日はメンチと別れた後。ライセンスを貰った2日後の夜に到着した為に、ホテルでそのまま休む事にした。ハンターライセンスで無料になったので、なんか得した気分。

 

 何となくで取ったとはいえ、確かに便利と言える。

 

 そして、今日は受付用紙にサインして参加を決めた。貰った番号札は4444番。なんか不吉だったので交換して貰おうと思ったら、人が並んでいるの諦めた。

 

 本当に、なんでこんな番号に。

 

 まあ不吉だけど問題はないはず。念能力者と当たったりしたら大変だけど、200階まで武器もないので問題ない。純粋な体術や念技術なら負ける事はないだろうし。

 

 なんて考えながら暗いトンネルの様な道を抜け、視界に飛び込んできたのは原作で見た光景。

 

 男、男、男、男、一つ飛んでも男…………なんて地獄絵図。華やかさなんて一つも存在していない。

 

 階段を降りた先に、アルファベットが振られている正方形のリングが16個、均等な間隔で並んでいる。そして、それを囲む様に観客と対戦者が待つ、大きく見て正方形になっている一辺一辺、4つの座席場所。

 

 私が夕方に来た事もあり人は少ない様に感じるけど、ざっと見でも1000人はいると思う。それにこの内の何百は観客だと思うし、私の順番は割と早く来そう。

 

『4444番。4480番の方。Hのリングへどうぞ』

 

 思っていた通り早く呼ばれた。座ってから10分も経ってない。

 

 ただ、そのアルファベットは私に対しての当てつけなのかしら。きっと他意や私の気にし過ぎだろうけど……何か少し運命を感じる。

 

「4444番。ローブを取って貰えるかな?」

 

 リングに着いたので、早速上がろうとした所で審判にそう止められる。

 

「……」

 

 やっぱり、止められたわね。何となく無理かなと思ってた。

 

 でも、私は取りたくない。

 

 取ったら、かなりというか確実に注目される事になる。別に問題はないのだけれど、むざむざ私の美貌を晒すのはどうかと考えたから。主にハンター試験で。

 

 それまでは視線とか気にして無かったけど、そう言えばこうすれば隠れると思った。それに、視線を感じててもちょっと前なら学校に通っていた時期。流石にフード付きローブで姿を隠すなんて発想は浮かばなかった。

 

 まあ、あんまり人が住んでなかったので視線を感じるも何も、ほぼ見知った顔。それに、学校なんて一学年60人くらいだった。

 

「だんまりだと、流石に試合を認める訳には行かなくなる」

 

 うーん、確かにその通りなのよね。、出来るだけ女だとばれないで上に行きたいけど……。

 

「いや、俺はいいぜ。そんな舐めた格好してる奴に負ける気しねえからな!!」

 

 恐らく、私の対戦相手。2mあるゴリラの様な男が、ちょうどいいタイミングでやって来てくれた。そしてナイス援護。絶対に勝てないだろうけど。

 

「そうはいいましても……胸の辺りの妙な膨らみを見て、武器が無いとも判断できませんから」

 

 ……あ、忘れてた。いくらローブで隠しても、シルエットは私じゃない。確かにこれは駄目そうね。一回、男装しようと考えた時に邪魔になったのを忘れてた。

 

「これでいいかしら?」

 

 バサッと大げさに取ると、視線と言う視線が突き刺さった。そして同時に、リングで戦っていて私を見てしまった男たちがノックアウトしていた。物理的な意味で。

 

 今日の恰好は白のロングワンピース。ハンター試験が終わってからここに来たので、特に買い物に行ってない。他に着衣はあったけど、試験で着ていた短い丈の白ワンピースが3着。今のを合わせてロングが4着だけ。

 

 これ以外に家から持ってきていないのには理由があって、ハンデになるかなと思っていたから。実際にはなんのハンデにもならずに、この考えが無駄に終わったのだけど。

 

 そろそろ違う色か、真面目に動きやすい服装買わないといけないわね……。

 

「も、問題ありません」

 

「まさか女だったなんてな……これはラッキーだ。しかも上玉と来た。どうだ、俺の女になるか?」

 

「……」

 

 心の中でお断りと言っておく。

 

「ちっ、つれねえな。それじゃ、ぶっ倒してやるよ!!」

 

 実際、女に振られたからって、直ぐにその思考になるのはかなり問題よね。こういう男が女の敵になるんでしょう。

 

「ここ一階のリングでは入場者のレベルを判断します。制限時間3分以内に実力を発揮して下さい」

 

 説明を受けている間にリング内の指定されている位置に着いた。

 

 相手は手をボキボキと鳴らして、私を睨んでいる。

 

「それでは、始め!!」

 

 そして審判の合図が響く。

 

「試合中に手籠めにしてやらあ!! ……あ?」

 

 試験の豚より遅い速度で突っ込んで来た相手をかわして、相手の背後。リング一辺の端に移動する。

 

 そう言えば、どうやって倒すか決めて無かったわね。

 

 腕を組んで考えてみる。

 

「今の一瞬で避けた? いや、そんな事ある訳ねえ!!」

 

 再び突っ込んで来る相手を同じ様に回避して、まだ考える。

 

「こ、こいつ……ふざけんなよぉぉぉ!!」

 

 また回避。

 

 でも、もう一度来られるのは労力の無駄になるだろうし、素直に言いましょうか。

 

「ちょっと待って。アンタを倒す方法考えてるから時間ギリギリまで待って」

 

 キルアは手刀。ゴンは押し出し。ズシは武術。

 

「もういい、徹底的にやってやる!!」 

 

「だから、待ってと言ってるでしょ。せっかちよ」

 

 面倒で無駄な労力を使うけど、相手が止めないのでそのお粗末な攻撃をかわし続けながら考える事にする。

 

 ただ、答えが一向に出て来ない。

 

「ねえアンタ。どうやって倒されたい?」

 

「ちょ、調子に乗るなよクソアマ!!」

 

 どうやら、答えてくれないらしい。クズでせっかちで、それでいて心が狭いとか……本当にゴミね。

 

 なんて思いながら腕時計を見ると、2分が経過していた。

 

 うーん、悩んでても仕方ないし、そろそろ終わらせましょうか……と思ったけど、触るの嫌ね。

 

 "剣"があればジョネスの時みたいに触らずに倒せるんだけど、武器は禁止。リングを砕いて、その石で相手を倒そうとかも考えたけど、それも禁止だと困るし。

 

 うーん……あ、そっか。普通は見えないんだった。それなら、これで倒せるわ。

 

「アンタは神を信じてる?」

 

「信じてる訳ねえだろボケ!!」

 

「じゃ、断罪ね」

 

 リングの端に移り、右手を相手に向ける。 

 

「さようなら」

 

 オーラを相手の顔の大きさほど、密度を最少で溜めてそのまま発射した。それっぽく反動も付けておく。

 

 そして、一瞬で相手の顔面に直撃した念弾は、相手の顔を吹き飛ばした。遠くに離れていたので、飛び血などは一切ないけど、審判の服にべったりと色々付着していた。

 

 そこまで強くない威力だったんだけど……貫通してどっかにぶつからないだけましだったかしら。

 

 ハンター試験前の船では上手く気絶させられたから、あの時の威力じゃないと駄目なのね。

 

「これが神の裁きよ……」

 

 とりあえず、殺してしまったのはしょうがない。いつもの様に剣はないけど、右手に地面に向けて振る。

 

 自分で言ってて胡散臭いけど、神様はいると思ってる……というか知ってるし、この場合はあの女神になるのかしら。

 

「え?」

 

 そして、今やっと審判や周りの人たちがこの状況に気付いたみたいで、わっ!! っと騒ぎ出した。

 

 当然ね。対戦していた相手の頭が吹き飛んでいて、恐らくそれをやったのが私ときた。なのに道具を使ってなかったり、神の裁きとか言っていたら流石に驚く。

 

 騒いでる声の中には、呪術だとか魔法だとか奇跡だとかその他もろもろ。とにかく色々なヤジと、期待や恐怖等の様々な視線を感じた。

 

「ぶ、武器の不正使用ではないだろうね」

 

「見えない武器がどこに存在するのよ」

 

 残念ながら念という、一般人には見る事の出来ない武器が存在するけど。

 

「それとも何? 神の裁きを疑うの?」

 

 これ以上の追及は面倒だったので、少しだけ睨んで脅しておく。

 

「い、いえ。50階へどうぞ!!」

 

「どうも」

 

 チケットを受け取り、ローブを拾ってまずエレベーターに向かう。

 

 私の事を知ったのか、ただ偶然なのかは知らないけどエレベーターに乗り込むと誰一人入って来なかった。

 

 これで後は15試合で200階ね……今日は後何回組まされるかしら。ゴンたちは2回だったけど、出来ればもうちょっと多目が良いわね。     

 

 50階に到着し、次に受付に向かう。

 

「い、いらっしゃいませ。リナ様ですね。チケットをお願いしても、よ、よろしいでしょうか?」

 

 ……あれ、予想以上にビビられてる。伝えたのね、あの審判。怯えた顔が可愛いから、全然気にならないけど。

 

「こ、こ、こちらが、先程のファイトマネーでしゅ!!」 

 

 一階で貰ったチケットを渡すと、代わりに封筒を貰う。

 

 それにしてもビビり過ぎよね。なんか、怖いオーラでも……あ、ゴンが言ってたオーラになってるのね。

 

 これ以上は可哀想なので、メンチとの約束を思い出して落ち着く。

 

「きょ、今日はもう一試合あると思いますので、控室にどうぞ」

 

「うん、ありがとう」

 

 一応、最高の笑顔で答える。これで緊張が和らいで欲しいなと思うけど……うん、駄目だった。

 

 少し落ち込んだけど、気持ちを切り替えて控え室に。

 

 部屋に入った瞬間、人が離れていき、椅子に座っていた人たちが熱心に椅子を磨き始める。

 

『ささ、こちらへどうぞ!!』

 

 どうやら、私の為に椅子を磨いておいてくれたらしい。

 

「ありがとう」

 

 素直に甘えて、お礼を言うとその人たちも離れていった。

 

 うーん、これはこれで楽だけど……なんか嫌だわ。200階までの辛抱なんだけど。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 なんて、思っていた二日前の自分を恨みたい。

 

『リナ選手!! またしても不戦勝で、ついに200階への切符を掴みましたぁぁぁ!!』

 

 あれから一度も戦う事なく、私の200階到達が決定した。

 

 確かに嬉しいけど、なんか、なんか嫌だ。どうも腑に落ちない。

 

 ……そうね、異変に気付いたのは50階クラスからね。うん、一番初め。

 

 私のレートがそもそも0倍とかいう、おかしな数字を見た時点で察した。

 

 相手の倍率が100倍なのに、賭けてる人間が誰一人いない時点で更に察した。

 

 リングに呼ばれた後、数分待っても相手が現れない時点でもう諦めた。

 

 恐らくは早く200階にあげる為の、念の分かるお偉いさんによるもの何だろうけど……一戦ぐらいさせて欲しかった。男に触りたくはないけど。

 

 そう考えながら、200階受付に到着。

 

「200階クラスへようこそ。こちらに登録の署名をお願いします」

 

「了解だわ」

 

 ……ん? ビビられてない気がする。

 

 顔を再度確認すると、ゴンたちの時の黒髪の女性ではなく茶髪の女性だった。

 

 もしかして、念を知ってるんじゃないかしら。

 

「私の顔に何か?」

 

「ううん、なんでもないわ。これで良いかしら?」

 

 とりあえず、気にする前に署名を済ませて提出する。

 

「はい、オッケーですよ。早速参戦の申し込みをしますか?」

 

 うん、知ってるわね、この人。というか、念使いだし。

 

 完璧な"絶"じゃないので、"凝"で見たらすぐに分かった。

 

「ええ」

 

 謎もすっきりしたので、紙をさらさらっと書いて提出する。

 

「了承しました。戦闘日は決定次第お知らせしますので、2222号室をお使い下さい」

 

 なんだろう、私ってゾロ目かキリの良い数字に好かれるのかしら。

 

 そう言えば今までもそうだったような……偶然よね。

 

 鍵を受け取り、2222号室に向かう。

 

「ここね」

 

 意外と広かったので、ここまで少し時間が掛った。

 

 そして鍵を使い部屋に入る。

 

 ゴンが言ってた通り、かなり広い……けど、落ち着かないわね。狭い方が好きだし。

 

「住めば都かしら」

 

 でもこの言葉って、少し意味違ったかしら?

 

「まあいっか」

 

 と、荷物を降ろした所でテレビが映り、対戦日が表示された。

 

『戦闘日決定!! 222階闘技場にて、2月2日午後2:00スタート!!』

 

 絶対、誰かの嫌がらせじゃないかしら? 示し合わせたかの様に一緒じゃない。

 

 まあ? 2時ちょうどな所を考えると、単なる偶然なんでしょうけど、ここまで来たら合ってて欲しかった。

 

 でも、今から一週間は丸々あるわね。もしかしなくても、これは家に帰れるかしら。

 

 気になったのでパソコンを付けて飛行船と船を調べる。

 

 どうやら、ここからなら日を跨いだ頃に家に着ける。飛行船からジャポンの首都、そこから船にて私の故郷の星運島のコース。

 

 早速携帯を取り出して家に電話……しようとして止めた。いきなり帰って驚かせてやりましょう。

 

 こうなったらやる事が限られるので、直ぐにチケットを購入。荷物は開けてないので、そのままバッグを持って受付に鍵を返却しようとしたら、無しでいいらしいので鍵をバッグに入れて空港へ。

 

 最終便が21時。現在が20時なのでそのまま待つことにした。

 

「待ってなさいよーママ、パパ」

 

 そして最終便に乗り込み、着くまでの時間を睡眠に使って有効活用。到着した所で急いで船乗り場にダッシュし、最終便に間に合った。

 

 どうやら津波の影響などもない様で無事、普通に運行した。

 

「お嬢ちゃんは里帰りかい?」

 

 で、最終便には私しか乗客がいないので、運賃は船長と喋ればタダでいいとの事。

 

 流石にハンター試験の時の船長じゃなかったけど、このおじさんもなかなかダンディーなおじさんだ。昔はかなりモテたんじゃないかしら。

 

「ええ。1ヶ月ほど旅に出てました」

 

「そうかいそうかい。何を見てきたよ?」

 

「長いトンネルに階段。湿原地帯。森林公園。デカい塔。デカいタワー……ですね」

 

 素直に伝えたらポカンとされた。船長さんの顔にそう書いてあった。

 

「つまり、たいした所には行ってませんよ」

 

「そ、そうだったか。楽しかったかい?」

 

「ええ、それはもちろん」

 

 これは、普通の答えで即答出来た。

 

 思い返すと、何だかんだ楽しい思い出が多く、自分でも少しびっくりだ。

 

 最後の方は暇で死に掛けたより、メンチと遊んだ事の方が印象が強い。

 

 というか、そんな忌まわしい過去なんて私の脳には1バイトすら残っていなくていい。メンチの事と、ゴンたちの事だけでいい。

 

「……嬢ちゃん、男にモテモテだろう?」

 

「とても、嬉しくないけど……船長さんの言う通りだわ」

 

 モテるなら、女の子が良い。残念な事に、私の性別が女だし普通に考えてモテないのだけど。

 

「だろうな。俺がもう少し若けりゃ、間違いなく声を掛けちまったな」

 

「船長さんなら大丈夫だと思うわ。私以外なら」

 

 恐らく60はあると思うけど、全然大丈夫な範囲だ。男前とか以前に嫌悪感レーダーが反応していない。

 

 原作キャラには反応しない様子だけど、モブには視線や話しかけられる。気がこちらに向いてるとずっと反応しっぱなしだし。そう考えると、本当にいい男なんだと思う。

 

 最近は気を無視出来る様になったから別に問題はないけど。

 

「20年前も、そう言って俺を断った美女がいたもんだ。とても嬢ちゃんに似てたな」

 

 どこか遠くを見て、船長は少し笑いながらそう言う。

 

 ……もしかして、突っ込んだ方がいいのかしら。

 

「その女性は私より綺麗?」

 

 なんか、言葉が違う気もするけど……まあ、いいわ。

 

「同じくらいだな……もっとも、そいつにゃ男がいたからだったけどな」

 

「ふーん。そっか」

 

 もしかしなくても、母かな。20年前だと、18歳……くらいだから、あり得ない事ないし。 それに、同じ髪色だし。身長は同じくらいだけど、胸が私より小さいだけだ。

 

 そこからほどなくて、島に到着。

 

 本当に料金はタダで良くて驚いたけど、素直に甘える事にした。

 

「ありがとう」

 

「おう」

 

 そして、あっさりと別れて船長さんは船を出した。視界から消えるまで見送り、私は家に向かう。船場からそんなに距離はないので、言っている間に着く。

 

 ……まあ、懐かしさはないわね。三週間くらいだし、母ともちょくちょく連絡を取ってたので久し振りでもない。

 

 それに、三週間以上家にいない事も多くあったので、本当に懐かしくはない。もちろん、帰って来て嬉しくない事はない。

 

「さてと。どんな反応するのかしら」

 

 家に到着したので、鍵を開けて家に入る。

 

「ただいまー」

 

 少し大きい声で挨拶し、反応を待ってみる。……が、何も返って来ない。

 

 もしかして、寝てるのかしら?

 

 そう思って、"円"を使って家の中を調べてみる。

 

 ただ、二人はおろか、虫の一匹すら発見できなかった。 

 

 二人がいない理由を考えながら、置き手紙らしき物が机にあるのを確認したので、リビングに行って内容を確認する。

 

『旅行』

 

「……なんで、連絡取った時に言わなかったのよ」

 

 具体的に言うと、天空闘技場に着いた日。

 

 わざわざ手紙を残した所を考えると、何の考えも無かったのか、私が帰って来ると思ってなかったから……だと、手紙なんて用意しないわね。

 

 恐らく、ただの嫌がらせね。

 

 こうなると私の目的の一つが無くなったので、他の目的をさっさと終わらせることにする。

 

 他の目的は、荷物の交換。友達と会う。倉庫の資料確認の3つ。

 

 時間はかなりある事だし、ゆっくり消化してもいい。

 

「とりあえず、お風呂に入ってから順番とか考えましょうか」

 

 荷物などはそのままリビングに置き、脱衣所兼洗面所で服をぱぱっと脱いで浴室に入る。

 

 本当は風呂が沸いてからの方がいいのだけど、そこまで浴槽が好きでもないので別に問題ない。体を洗うだけならシャワーだけで十分だ。 

 

 赤い栓を回してお湯を出し、全身をしっかりと濡らす。

 

 私は先に身体を洗う派で、一番最初に洗うのは胸だ。この大きさだと良く蒸れてしまうので、しっかりと洗っておく必要がある。

 

 そういえば、男の我が強かった時は一々ビビってたなあ……どうやって洗えばいいのかとか、自分の体みて恥ずかしいとか。実際、女の子の裸なんてまじまじ見た事はなかったし。

 

「ん……ぅん、ふぁ」

 

 で、この体、中々敏感で困る。

 

 自分で洗っているにも関わらず、そういう所を洗うと自然と声が出る。

 

 我慢しようにも、特に我慢する意味がなさすぎてしないけど、いい加減慣れて欲しい。

 

 それに、軽く昂るので女の子との色々を思い出して、止まらなくなるし。

 

 基本的に私はSだけど、身体は間違いなくMだ。場を踏んでるから慣れと余裕等から相手よりは長く持つけど、本気で攻められたら一瞬で陥落……は、したくないけど、上手かったらしそうで怖い。

 

 まあ、満足する事とは別なので、攻める側じゃないと駄目なんだけど。

 

 体を洗い終え、次に頭。髪ゴムを外し、ポニーテールを解く。

 

 ロングになると私の髪は大体腰の辺りまである。邪魔だなと思って一度切っていいか訊ねたら、母に全力で止められたのでそれ以降は切らずにいい感じで置いとく事にした。

 

 そもそも、その頃は男の方が強かったからだけど。

 

 そして全て洗い終えたので、シャワーをぼーっと浴びながら、私は今後の予定を考える事にした。

 




お気に入りが700を越えました。皆さん、ありがとうございます!!

活動報告を挙げましたので、良かったら見て下さい。(3月31日)


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。