有澤重工×アイアンサーガ 〜アリサガ〜   作:人類種の天敵

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主人公の相棒の名前を雲雀に変えさせていただきました。


アフリカor日ノ丸

 

ヘリにしては驚くほどに静寂とした音で改造輸送ヘリの飛燕がゆっくりと格納庫に着陸する。

そして、飛燕の後部ハッチが開いて、雲雀の指示に従い、改造BMギリーフォックスを動かす。

 

俺と雲雀以外に誰もいないガレージは閑散としていて、ギリーフォックスの駆動音と輸送ヘリの飛燕が別の格納庫に収納される音だけが響いている。

 

「それで?次の依頼はどんなのがあるんだ」

 

マニュピレーターを動かして直接ビーム狙撃銃のレーザースコープを外したり武装を格納庫にぶち込んでいく間に次の依頼の詳細を雲雀に聞くと、彼女は可愛らしくも言葉少なめに話し始める。

 

『アフリカまで飛んでアンデット小隊と合流して戦争に参加するか、日ノ丸でテストパイロットをするか』

 

「アンデット小隊と言えばベカスの野郎とカルシェンかぁ…それはそれで魅力的なんだけど、あそこの隊長はおっかねえからパスで」

 

アンデット小隊と呼ばれるOATHカンパニーの傭兵部隊のやたら運の良いベカスとナンパ男のカルシェンの2人とは仕事をやってく中で知り合った仲で、あの2人とアフリカで馬鹿するのも面白そうではあるが、あそこの隊長を務めるフリーズって女がこれまたおっかないんだ。

 

男よりも男勝りな女とでも言うべきか、あいつの愛用してる散弾銃を向けられたら幾ら俺でもちびっちゃうね。

 

「日ノ丸の方は?」

 

『近々護衛機の開発コンペがある。それのテストパイロット。依頼主は有澤重工』

 

有澤重工……あまり聞かない名前だ。

それに日ノ丸と言えば高橋重工と言われるほど、あそこの国内シェアは高橋一択だった筈だ。

なるほどなるほど、新進気鋭の新興企業が日ノ丸にとっては一大事業とも言える護衛機の開発コンペで正式採用されるがために不安のある自社のパイロットではなく、実力のある傭兵を金で雇う訳ね。

 

『違う。有澤重工は古くから続く日ノ丸の軍事企業。でも今は落ちぶれた』

 

「は?」

 

『元は有澤重工の幹部だった社員がBMの登場と共に独立起業した結果、流行も戦車じゃなくてBMに傾いて、社員の殆ども引き抜かれた。今居るのは頭でっかちの熟練工ばかり』

 

あらら、社内クーデター喰らうよりもタチの悪いことだねぇ?

社外秘の技術を丸々持ってかれた挙句、BM開発に必要な人員も丸ごと持ってかれて虫の息っていうことか。

 

『ただ、老舗なだけに繋がりもある。OATHの社長とか。それも、実はミドリのお得意先というか、お気に入り中の贔屓先らしい』

 

「武器マニアだもんな。あいつのコレクション性癖ははっきりいって病的だと思うぞ」

 

闇市から仕入れるプラズマ弾やらチェーンソーやら、社長亡き今(長期旅行中)荒くれ共ひしめくOATHカンパニーの一切を取り仕切るメガネがチャーミーなあの秘書は日々のストレスを発散するかの如く東西南北様々な武器を仕入れていることで有名だ。

 

『それをいうなら私たちもそう。偏屈な改造マニアと変態BMマニア』

 

「へっ、俺は実用性や汎用性も考えてるんですー。それに比べてお前のBMの魔改造はパイロットを殺すことを前提に弄ってんじゃねーか。つーか誰が変態か」

 

『でもレイヴンは死なないから平気。だから私も本気で弄られる』

 

狂った設計者(クレイジーアーキテクト)の異名で知られるこの相棒は、BM弄りを手伝ってくれることもあって重宝しているが、目を離すと要求していない機能を付けたり、当初予定していたエンジンとは別物を取り付けていたりと中々愉快な奴である。

 

「まあいいや。テストパイロットって事はコンペまでの拘束だろ?BMは何を持って行こうか、それかいっそ日ノ丸にガレージを買うか」

 

『飛燕じゃなくて大型輸送機の伽藍鳥を使うから今回は多目に入るよ』

 

伽藍鳥は個人が所有する輸送機では最大BM容量を持つと言われる輸送機だ。

というのも、元々の輸送機を改造したので雲雀以外にこいつを持ってる個人など見た事ないし容量も出会った傭兵の中じゃこいつのが1番多かった。

だから個人最大。

 

「ふんふふん♪ナイトレイヴンにボールス、未完成のモンスターマシーンはこの際日ノ丸で弄るとして、メタルウォードッグに……悩むなぁ」

 

2個小隊分(8機)+1機のBMを詰め込むことができる伽藍鳥は雲雀がOATHカンパニーに所属している性質上、傭兵部隊展開のための貸し出しで使われることがあったが、こういう時にこそ便利である。

 

「ギリーフォックスと……」

 

『ダメ、レイヴン。私もチュートンと毒鳥を持っていくから、それで終わり』

 

「マジか」

 

残念だがこいつの機嫌を損ねると更に俺のBM狂気度が加速するのでこの辺でやめとこう。

 

「それで、コンペで俺が乗る予定のBMの詳細は?」

 

やはり心踊ると言えば未知なるBMを操縦することだろうか。

古今東西南北のBMを乗り回した俺と言えど、開発中のBMのテストパイロットをやった事は数える程だ。

日ノ丸のBMと言えば近接戦を重視したものが多いし侍ごっこするのがとても楽しみである。

 

『………………タンク脚のBM』

 

「………はい?」

 

期待に胸ふくらませていた俺は、相棒が告げた残酷な真実につい首を傾げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の依頼主は日ノ丸の老舗軍事企業有澤重工です。

社長令嬢とは私の趣味で知り合った仲で、今回の開発コンペが社運を分けると言われましたので、私の方から是非レイヴン君を推薦させて頂きました。

レイヴン君の最近の実績を見ても高橋重工に引けを取らないと思います。

頑張ってくれたら私の方からもご褒美を差し上げますので頑張って下さいね♡

 

OATHカンパニー秘書 ミドリ

 

「この仕事が終わったら、俺あのメガネのおっぱいに顔を埋めてパフパフしながら、眠ってやるんだ」

 

「死亡フラグ?」

 

「なわけあるか」

 

日ノ丸のOATHカンパニー支部の滑走路に伽藍鳥で乗り付け、とりあえず支部の格納庫に愛しの改造BM達を収納する。

日ノ丸支部所属の傭兵たちの様々な視線を晴れやかな気分で一身に受けながら雲雀と冗談を言い合う。

 

「その令嬢様は?」

 

「もうそろそろ、らしい」

 

時刻は午後1時30分。

傭兵たちの視線の中、手持ち無沙汰に突っ立っていると、視線の向こうに男性と女性がこちらへ向かってくる。

 

「君が噂のレイヴンか。OATH日ノ丸支部の支部長の虎徹だ。よろしく頼む」

 

大柄でスキンヘッドの男がにこやかな笑顔を浮かべるが、はっきり言って気色が悪い。

しかし、この虎徹という男は元は日ノ丸を戦場にA級傭兵として活躍した腕利きでもあるった。

軍曹メカを長年愛用し、武士や月影のテストパイロットを務めた実績も持っているため、日ノ丸の企業から信頼されている程の安定感を持っていたのだろう。

 

「レイヴンだ。BMなら余程悪趣味じゃない限り何でも乗るしその辺の奴を乗せるよりかは動かせる」

 

「知っているさ。ありとあらゆる戦場を渡り、数多のBMで駆け巡った、全てを焼き尽くす渡り鳥……とな。ソロモン海戦での戦果は今でも語り草だよ。かくいう私も、その時居合わせたがね。軽く一蹴されたよ」

 

ソロモン海戦……懐かしい名前だ。

戦術支援用の戦闘機で空を飛びまくっては日ノ丸のBMを落として回った。

ちょうどあの時にベガスと、あと2人の友人と出会ったもんだが、今でも元気にしてるのやら。

 

「それで、そこのお嬢さんが?」

 

「ああ、今回の依頼主。有澤重工のご令嬢だ。本社から聞いているだろうが、今回の依頼は有澤重工の戦sh……BMである〝山城〟のテスト及び開発コンペでのパイロットだ。これ以上はクライアントから聞いてくれ」

 

「こほん。初めまして、レイヴンさん。私は有澤重工の山城計画の責任者を務める有澤斑鳩です。今回の計画を纏めていますのでこちらをどうぞ」

 

斑鳩から渡された端末画面から有澤重工製BM山城についての情報が飛んでくる。

 

BM山城

有澤の技術を集めて作られた装甲はいかなる重火器重火砲を物ともせず、キャタピラによる逆転の発想によって他の追随を許さぬ安定感を持っている。

更にキャタピラの採用によって多種多様な装備を積むことが出来る上に、主砲を射撃した場合の射撃硬直を無くすことに成功。

 

正に護衛対象を守る護送BMに向いていると言えます!

 

そしてこの山城に搭載する武器は、グレネードライフル、グレネードガトリング、グレネードキャノン、グレネードパイル、ロケットグレネード、グレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネード

 

「いや怖いわ!なんだこれ!?お前ら護衛の意味分かってんのか!?逆に自分の攻撃で護衛対象ぶっ殺すわ!武器のグレネード率にドン引くわ!何なの!?グレネード付けないと死ぬの?生きていけないの!?」

 

ああ、こいつら頭おかしい。

見ろ、支部長も茫然自失してるし雲雀も呆れた目で見ている。

それもそうだろうさ、何せ護衛型というからにはどんな環境、どんな相手にも即座に対応できる性能と武装が好まれる。

 

例えばチュートン、アイツは良い機体だ。

可もなく不可もないライフル持って性能バランスも良好、そんで自分の装甲値も高く防御に重点を置いてる。

 

なのにこいつはキャタピラ脚ときた。

そうなれば……例えば速度一点型のBMには速度で追いつけず護衛対象がそれだけ危機に陥るし、武器のグレネードから察するに火力は高いものの弾速は低いと見て然るべきだ。

 

見敵先制必殺ならまだしも追いかけて戦うのには向いてねえ。

 

……ていうかこいつの火力で護衛対象が死ぬ方が可能性としては高い。

 

誰だこんなBM考え込んだの、明らかに戦闘用じゃねーか寧ろ拠点殲滅型だぞこの装甲値なら相手が格闘もしくは実弾部隊だったら中隊規模ならいざ知らず大隊まで相手どれるんじゃね?ってレベルで火力と装甲がありすぎる。

 

ーーー結論、こいつは護衛に使うBMじゃあねえ。

 

「だがそれが良い!!」

 

「分かってくれますか!」

 

「「!?」」

 

「こんな頭の悪いBMで護衛BMのコンペに殴り込もうっていう頭の悪い所が好きだ!矛盾した運用思想が好きだ!護衛対象を護るどころかそっちのけで敵をぶっ殺そうって考え方が好きだ!大好きだ!最早愛してる!」

 

ぶっちゃけ護るより先に相手を殺す方が楽だし簡単だよねって話なんだよ、逆にね。

そもそもこいつに護られてる奴を暗殺するのは無理だって相手に思わせるのが目的としたらこいつを作ったやつは中々考えてるんじゃね?逆に。

 

「やってやる!俺が!こいつを!使って!高橋の……なんだ、最新鋭BMだかなんだか知らんがコンペに参加するBMを片っ端からぶっ壊してぶっ壊してぶっ壊して!俺がこいつを正式採用させてやるよ!!」

 

「………本音は?」

 

「この火力で思うがままに焼き尽くしたい」

 

きっと楽しいだろう。

だって全身の至る所にでっけえ花火背負い込んでんだぜ?火薬庫の癖して要塞BMなんだぜ?それはそれは面白いだろう、楽しいだろう。

 

「レイヴンさん!貴方に我が社の社運を賭けます!」

 

「ああ、戦艦大和に乗ったつもりでいろ!俺が高橋重工をぶっ潰してやる!」

 

「「フハハハハハハハハハハハ!!!」」

 

俺と有澤文は肩を抱き合って笑いあった。

 

「………高橋重工は地獄を見る」

 

「……これが本社の傭兵……全てを焼き尽くす渡り鳥か」

 

雲雀と支部長が何か言ってるが、今の俺には関係ねえ!これで開発コンペを地獄に叩き込んでやんよ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!

 

 

 

 

 

この時俺たちはまだ知らなかった。

最近の高橋重工の最新型BMは実弾よりもビームとかそんなものを採用しはじめていたって事に………。




遥「遥こっわーいwwwwww」ドローン発sh

レイヴン「Nice joke」ドッカンドッカンドッカン

遥「遥……こっわーい(白目)」
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