有澤重工×アイアンサーガ 〜アリサガ〜   作:人類種の天敵

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ギリーフォックス設計図?

【挿絵表示】



AMIDAに惹かれて〜めぐりあい変態〜

 

 

 

「ふふ、森へお帰り」

 

「アミィ〜」

 

有澤重工近くの公園でペットのAMIDA(♂)を放してやると、AMIDAは背中の羽をパタパタ羽ばたかせて機嫌良く周囲をグルグルと飛び回ったあとに昨日遭遇した少女の残り香を頼りに空を飛んでいく。

 

「いい天気だ。散歩日和だな」

 

「アミィ〜」

 

周りを見れば何処かの学園の生徒達だろうか?俺とAMIDAをギョッとした表情で凝視し、目が合えばサッと顔を伏せて全速力で駆け抜けていく。

 

「失礼な奴らだ」

 

「アミィ」

 

「ママー。あのお兄ちゃんへんなの飼ってるよー?私も欲しいー」

 

「こ、コラ!辞めなさい!ペットなら他に色々居るでしょ!アレはダメよ!あ、アレだけはダメ!」

 

幼女と母親のやり取りを聞いたAMIDAがしょんぼりと高度を落とし、地面スレスレを飛ぶ。

 

AMIDAは並みの生物と違い、培養液の中で産み出された智庫ーーーもとい鴉特製のペットで、本来なら大君のあほ間抜けが飼う予定だった生き物だ。

 

しかし俺が北境を飛び出す際に戦闘機にしがみつき、以後は雲雀を含め、二人と一匹で行動してきた……俺にとっては家族のようなものだ。

 

「偶にBMの装甲をかじったり、くしゃみで酸を飛ばすことを除けば可愛い奴なんだが」

 

やはり北境と北境以外の人間の感性は少し違うのだろうか?鴉に教えてやれば喜ぶだろうなぁ。

 

「アミアミ!アミー!」

 

と、AMIDAが突然キョロキョロし出すと、一目散に飛び出していった。

 

その先にはオレンジ色の髪の毛の少女がいる。

 

見た感じで分かるが、何処かの令嬢だろうか?しかも有澤重工のあのーーー火薬にまみれてグレネード兵器が爆発する度に狂気の笑みを浮かべる有澤斑鳩とは違う、正真正銘のお嬢様…と言った感じだ。

 

「んー?全然昨日の娘じゃねーけど……姉妹かなんかか?」

 

一度高度を取り、一転して急降下を敢行したAMIDAは、少女に激突する寸前でポゥッ、と燃え上がりそのまま黒焦げの姿で墜落した。

 

「あら、羽虫かしら?」

 

「日ノ丸の諺に飛んで火に入る夏の虫……なんて言葉があるらしいけど、実際に目にするとは思わねえわな。おい、大丈夫か?」

 

お嬢様は派手な音を立てて墜落したAMIDAを気にすることなく歩いていく。

 

また、AMIDAはピクピク痙攣していたが数秒後には立ち上がり、焦げ付きと煤を羽を動かして払うと、また飛び上がって今度は別の方向へ飛んで行った。

 

「最初から正しい方向に行けよ」

 

「アミ!!」

 

どうやらあのお嬢様が纏う雰囲気?に惹かれて暴走していたようだ。

 

実はAMIDAは天才と凡人とを嗅ぎ分ける嗅覚を持っていて、天才に出会ってしまうととりあえず引っ付こうとするので大抵の人間はビビって泣き出すのだ。

 

「それにしてもACE学園かー。面白い奴らがゴロゴロしてそうだ」

 

ちらほら見かける通行人は、実力を隠してる奴や堂々としている奴も含め、OATHカンパニーのC、Bランク相当が多く在籍しているようだ。

流石は日の丸随一の名門校といったところか。

 

「さて、寄り道してないでとっとと雲雀を探……あれ?AMIDAがいない」

 

さっきまでパタパタ飛んでいたAMIDAが姿を消した?

 

「AMIDAはどこにーーー」

 

「見てくれエディ!新種の生き物を見つけたんだ!この可愛いフォルムにこの体表!さらにつぶらな赤い瞳に肌触りもGOOOOOOOO OOD!!!!!早速家の研究所で隅から隅まで研究し尽くしたいよォ!!僕はッ、ハァッ!!」

 

「うわっ……如月くん。なんだい?その生き物は。僕には見た者の精神を汚染する生物に見えますよ。そんなことより僕は最新作の爆薬を実験してくるから」

 

「アミィ!?」

 

ボサボサ髪の眼鏡と長髪で前髪の隠れた眼鏡がAMIDAを抱えて話し込んでいた。

 

ボサボサ眼鏡は明らかにAMIDAに対して嫌悪感を持ち、長髪眼鏡は恍惚とした笑顔でAMIDAの全身を残像が見える程高速で撫で回している。

 

「ふふふふふふ。この艶かしい脚、ご飯は何を食べるんだろう?生態はどうなのかな?それにこの様子だと人と言葉を理解する知性も持ち合わせてるよね?」

 

AMIDAと目を合わせ独り言を呟き続ける如月に彼の友達であるエディはいつのまにか姿を消していた。

 

恐らく如月がこうなったら話が長引くだろうと予測して逃げ出したのだろう。

 

レイヴンは紛れも無い〝変人〟又は〝変態〟という言葉がしっくりくるだろう如月を前に「ちょっとアレに話しかけるのは嫌だ」と思ったものの、肝心のAMIDAから強烈なSOSを受け取ったので、仕方無しと覚悟を決めて話しかけるのだった。

 

「もしもし?お兄さん。そいつ、俺のペットなんだわ」

 

「この子は渡さんッッッ!!!!」

 

「ふぁー」

 

即答だった。

こちらを振り返り、鬼の形相で睨み付けると、その懐からリモコンを取り出して操作すること数十秒ーーー何処からか高橋重工製の戦車が3機飛び出して来た。

 

「僕の家は高橋重工で戦車の火炎放射器開発を担当する如月家だ!邪魔するなら燃やし尽くしてやる!!行けっ!黒羽・火炎!旋風・火炎!突撃戦車・火炎!」

 

「えー」

 

「うわー!!またキサラギ社のボンボンが戦車を持ち出してるぞー!」

 

「火炎放射を撒き散らすんじゃねえ!ボケ!」

 

「誰か夏美様を呼んでー!!」

 

何がどうなって戦闘に発展するのか意味が分からなかったレイヴンだが、売られた喧嘩は喜んで叩き潰すのがOATHカンパニーの流儀である。

こちらも適当なBMを呼び出すことにした。

 

「戦車相手なら武器もいらねえわな」

 

如月と呼ばれた生徒の戦車がレイヴンを踏み潰そうかという時、レイヴンが呼び出したBMーーーボールスが目にも留まらぬ速度で出現し、黒羽・火炎の砲塔を片腕で捻じ曲げた。

 

「ウワァァァァァァァァァ!!僕の戦車がぁぁぁぁぁぁぁ!!ゆ、許さないよ!撃ちまくれえ!」

 

「はっ!ボールスのスピードに目を回すなよ!」

 

即座にコックピットに体を滑り込ませ、ボールスを起動させると、一本角の兜を持つBMのスリットから紅いバイザーが妖しく灯る。

 

起動したBMボールスは途端にその姿をブレさせると戦車の死角ーーー上空から旋風・火炎を踏みつけ、これもまた砲塔を折り曲げることにした。

 

近くにいる如月は2機の戦車の大破に大声で喚き散らしている。

その様子にレイヴンは愉快げに笑い、そのまま突撃戦車の砲塔も他同様に使えないようにした。

 

「そんな……僕の、戦車が」

 

「はっはっは、実力差を理解したかね?さあ、AMIDAを返したまえ。良い子だから!」

 

戦車を壊されては何も出来ないと如月は素直にAMIDAをボールスの元へ離すと、AMIDAは可愛げに鳴いてコックピットの中へ飛び込む。

 

そのままレイヴンのBMのコックピットに設置されてある彼の特等席へ腰を落とすと、マップ上に本来の目的である少女の位置を更新した。

 

好奇心に惹かれて動けば痛い目に遭う事は分かったのでもう勝手なことはしないという意思表示だろう。

 

「さて、ここから少し離れたところだな」

 

ボールスを動かそうとするーーー直後、離れたところから警察のサイレンとBMがこちらへ向かってくる気配を感じとる。

警察御用達のSSSランクBM、ライオットポリスだ。

 

警察が所有するBMの中でも特に高性能なこのBMを操縦するからには余程腕の立つ操縦者なのだろう。

 

ただでさえ相棒の少女を助けねばならないのに厄介なBMの相手はしてられないと、帝国製BMに搭載された〝切り札〟こと帝騎システムを発動させると、ボールスはその機影を瞬く間に消し去るのだった。





ボールス チューニングメカ
帝国機ランスロットをベースに射撃武器を取り外し、白兵戦をテーマに黒く塗り直した機体。
邪魔な物を取っ払ったおかげで帝機システムを使わずとも残像が残るようになったのは嬉しい誤算。
超改造をすると帝騎の父リヒャルトが「芸術」と称して勝手に破壊天使砲を付けてくれるぞ!上手く集って金を稼ごう。
アーサーに対して無慈悲な強さを持つ。アーサーは死ぬ。

武装
剣型格闘 レーザーブレード ビーム属性
AP6240 重量94 サイズ6.4×7.7 速度 97

行動
騎士剣術
シールドバッシュ
シールドL1
後方回避
高速移動
反撃突撃
光波ブレード
帝騎システム

イメージはアーマードコアfAのオーギルです。

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