最強チートハーレム野郎の折杖くんは俺TUEEEEがしたい【お試し版】 作:翠晶 秋
「くっくっく……。継ぎ足しで昇格させた80人の魔王軍幹部を倒し、よくぞここまで辿り着いたな。長い道のりだっただろう」
銀髪の少女が、腕を広げて言う。
ホントだよ長かったよなんで幹部を継ぎ足しちゃうんだよ。
……でも。
「いきなり呼び出されていきなり押し付けられたこの力……。使ってやるよ」
俺の右手に紅蓮の炎が宿る。
いきなり異世界に飛ばされて、勝手に魔法の力を持たされて。
俺はこの世界に対して誠に遺憾である。
だからこそ、魔王を倒して、俺を召喚した国の王も倒して、後ろのハーレムメンバーと一緒にのほほんと暮らすんだ。
今のチート能力をもった俺なら楽勝だ。
「さぁ……。さっさと始めよう!」
「はい、オレツエ様!」
「えっ、ちょ、ノワール!?」
バッと隣から茶色いなにかが飛び出し、魔王の少女に肉薄する。
……ノワール。俺の仲間で、奴隷としてドナドナされていたところを俺が山賊スタイルで助けた、獣人の女の子。
近接魔法格闘術と言われる超脳筋タイプの力しか使えない俺にとって、剣、弓、支援魔法を使いこなす彼女はとてもありがたかったのだが、以前氷の迷宮で凍死しかけて以来、ノワールの愛が重くなった。
氷の迷宮のとき、抱きしめてあっためてくれたし、アイツ絶対俺の事好きだろ。
……って、そうじゃなくて!?
「せぇいッ!!」
「ぐはぁっ!!」
「ま、魔王ーッ!」
今や出会った時より成長したノワールの一撃は魔王の鳩尾に突き刺さり、魔王が苦悶の声を上げた。
なんで一撃必殺の攻撃を鳩尾なんて辛いところに打つんだよ。
崩れ落ちた魔王に駆け寄る。
「おい頑張れよ!俺との勝負がまだだろう!」
「良い、仲間を持っているな……。強い」
「いや生きろよ諦めんなよ!まだいけるって魔王なら第二段階くらい気合いでして見せろ!」
おいおい仲間が魔王を討伐したとかシャレにならんぞ!
王様に褒められた後に美少女とイチャイチャするルートが!
遮られる、遮られる!!
「お、オレツエ様?私、なにか行けない事を……?」
「いや、お前は何も悪くない。よく頑張ったな」
「……ッ、はい、オレツエ様!」
しょぼんと項垂れるノワールの頭を撫でれば、ノワールは笑顔を咲かせる。
……それはそれとして!
「おい魔王、もっと頑張れよなんなら治癒魔法かけるから。このままじゃ手柄が仲間の物になっちまうよ、真の姿とかないのか?」
「えぇ……。なにこの勇者。ない事は無いけど、私まだ未熟だから使えないよ」
「何がだ?何が足りないんだ?」
「魔力かな」
俺は無言で右手から魔王に魔力を送り込んだ。
「え。……あ、うん。……なぁーはっは!この姿は仮初めの物!へ・ん・し〜っn……」
「うるさい」
「ナギさぁぁぁぁぁぁん!?」
紫の髪の少女が言葉少なにハンマーで魔王を吹き飛ばした。
……ナギ。
彼女は亡国のお姫様で、戦争の最中から逃げ出してきた。
そして、俺がナギを保護し、亡国の謎を解き明かし、彼女は国に伝わる宝槌、ミョルニルを手にしたのだが……。
まるでゴミクズか何かの様に吹き飛んでいった魔王を見て、彼女はふんすと可愛らしい鼻息を出す。
「……褒めて?」
「え、あ、うん……。良くやった、さすがだ」
「……うん。頑張った」
頬を染めるナギ。
……それはそれとして!
やばいぞ!
このままだといくら頑張って魔王を復活させても仲間に殺される!
俺は……俺は!
「出番が欲しいんだよぉおおおおおお!」
折杖の下の名前、募集しています。
なんか……適当に感想欄にでも書いてください。
お願いします。