ハツコイ   作:クロロ

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トモダチ

クラスの振り分けを見ると全員同じクラスであったことあったのだが

席が一番後ろのそれも綾風の隣で斜め左が小野寺。

……名前から席が近くなるのはわかっていたけど

「……はぁ。」

俺の周り女子しかいねぇ

俺一番後ろの席とはいえこの配置はおかしいだろ。

てかまじで助けてくれ

男子どころか女子しかいないってどんな地獄だよ

「どうしたの?」

ホームルームが終わると

「いや、見たらわかるだろ。」

「……どうしたの?」

綾風が2度聞いてきたので仕方なく答える

「……女子に囲まれているのがちょっとな。」

女子に囲われるとかちょっと面倒臭いというか、去年もそうだったのだが自分の机を勝手に使われるなどの行為を受けていたからなぁ

「ふ〜ん。」

「……なんだよ。」

「春と自然と話しているのを見てると女子と話すのに慣れていると思ったんだけど。」

あぁなるほどな

「俺、一応自営業で接客で家の手伝いしていたから話すのは苦じゃないんだよ。一応今は姉貴と家業継いでいるし。」

「…へぇ〜秋葉くんお姉ちゃんいるんだ。」

「あぁ。4つ上のな。」

まぁ、去年から本格的に家業を継いで市や県のコンテストだけではなく、世界中のコンテストに出るきっかけを作ったのは姉貴だしなぁ

すると綾風は少し考えてからふと呟く

「……もしかして、お姉ちゃんの名前って秋葉桜さん?」

「そうだけど。」

「……えっ?風ちゃん知っているの?」

「う、うん。春は知らないの?多分今一番和菓子を扱っている人では有名だと思うんだけど。」

「和菓子職人の名前覚えている方が少ないと思うけどな。」

俺は苦笑していると

「そんなに有名なの?」

「う、うん。洋風の和菓子を扱うことで有名な和菓子屋で和菓子で国際大会優勝したり、雑誌にも多く取り上げられている有名店だよ。ミチュランにも2つ星で獲得しているし。」

「えっ?」

「洋風の和菓子ってなんか矛盾しているけどな。まぁ有名になったのはここ数年だし、寮生活してたら情報入ってこないだろ。」

寮生活がどんな物か知らないけど女子校なので夜間外出とかはかなり厳しいと聞いたことがあるしなぁ。

「洋風の和菓子ってどんな物?」

「和菓子でできたケーキとかフルーツやクリームを使ったどら焼きとかだな。ぶっちゃけ和菓子屋からはふざけてるとか言われているけどな。」

「でも、普通のどら焼きも美味しいんだよねー。餡が程よい甘さで生地がふわふわで。多分春も気にいると思うよ。特に餡が美味しいから。」

「…あれ?綾風は食べたことあるのか?でも店に足を運んでくれたことはないよな?」

俺が基本店に出ているけど見覚えがないんだけど

「うん。お父さんが買ってきてくれたの。」

「あ〜なるほど。俺の家、持ち帰る客少ないから覚えているはずだと思ってたんだけど。」

「和菓子のケーキも買ってきてたんだけど、お父さんとお母さんが食べちゃって。」

「まぁケーキといっても小さいしな。カップケーキほどだし。」

「でも色々な種類の和菓子をミルフィーユにしてそれも美味しくすることなんて難しいのに。」

「和菓子って癖が強いからな。あれ作るのに2年ちょっとかかったんだぞ。」

和菓子のミルフィーユ。うちの看板商品の一つでもある。癖の強い和菓子を幾つかの層にして四季を表しており、多分綾風の両親が食べたのはそれだろう。

「でも、春の和菓子も美味しいんだよ?」

「小野寺も和菓子つくるのか?」

「うん。私の家も和菓子屋だから。」

すると少しだけ苦い顔をしてしまう

「あ〜うん。なんていうか悪い。」

「えっ?」

「いや、和菓子にクリームとかチョコとか使っているとやっぱりあまりいいと思わないだろ?」

発案者としても最初売れるとは思ってなかったしな。

「まぁ、いい気はしないけど。」

「そういうこと。まぁ、普通のどら焼きも売っているんだけどな。」

「私はそっちを食べたんだけど。でも美味しかったよ。」

「まぁ、売れていない時はずっとどらやきで食い繋いできたし。元々どらやきは生命線だったからな。」

「そうなの?」

「てか元々餡子が食えない姉貴用に作ったんだよ。カスタードクリームで。そしたら急に親父がこれを店で出しますっていいだして。それでトントン拍子に進んだんだよ。それでいつの間にかジャムやチョコクリームと生クリームで作ったり。今は洋ナシとかマンゴーとかもできているんだよなぁ。考えたのは俺だけどそれでも流石にこうなるとは俺も姉貴も思ってんかったんだよ。」

「それ、本当に和菓子?」

「う〜ん。それが微妙な線なんだよなぁ。まぁ、でも一番オーソドックスなのは普通のどらやきが売れているかな?カスタードクリームも結構売れているけど。やっぱり普通の餡子ほどじゃないし。」

「なんかたい焼きみたいだね。」

「元々は回転焼きの真似をしただけなんだけどな。まぁ、餡子は丹波産の小豆を使用しているからな。おいしくないはずがないんだよなぁ。」

仕入れは大変だけど俺はそこの小豆にこだわっているからな

「へぇ〜美味しそう。」

「ついでに苺大福もオススメ。少し前まで雪だるまを大福で表していたやつを売って結構評判よかったんだよ。あとは秋になったら栗餡の最中や栗大福もおいしいぞ。夏は今年から発売される梅のジャムで作ったどらやきがオススメかなぁ。どらやきに会うために思考錯誤したし。それにフルーツ大福を売り出すし。あとは天の川っていう羊羹も発売するんだ。羊羹に金箔を降らせて氷水にキンキンに冷やしてそれを店で」

「……あの、秋葉くん。みんな見ているよ。」

「……へ?」

すると視線を感じる。つい熱くなっていたのか立っているし、大声になっていたらしい

「……あ、すいませんでした。」

俺は座ると顔が熱くなってしまう。またやってしまった

中学に上がる時も同じように話変人認定されてしまった。

学習しないな俺も

「でも、本当に食べてみたいな。おいしそう。」

「うん。でもすごく人気で昼過ぎには売り切れているらしいよ。」

「そうなの?」

「あんまり量出せないんだよ。外注なしで全部手作りでやっているのを売りにしているから。」

その分値段も結構高めに設定しており、高校生の財布には結構響く値段になっている

「……まぁ、少しくらいなら出せるけど。」

「へ?」

「これ。試作品だけど。夏に向けて新作。」

俺は夏用の和菓子の箱を取り出す

「金魚をテーマにして、数個作ってみたんだけど。まぁ形は俺が作ったから少し崩れているんだけど。」

「これで崩れているの?」

「仕上げ少し甘いだろ。ここの寒天なんか少し割れているし。」

「あっ、本当だ。」

「姉貴だったらこんなミスありえないんだよなぁ。味も少し落ちるし。調理は少し苦手。まぁ味見程度になるけど商品としては売り出せないものだから。できれば感想だけ聞かせて。」

「うん。それじゃあ。」

和菓子を二人は食べ始めると一口食べたところで箸を止める

「美味しい。」

「ありがと。んで和菓子屋としてならどう思う?」

「え〜っと。少しだけ酸味が強いかな?」

「梅餡の影響かなう〜ん。爽やかさを出したかったんだけど。」

少し酸味を違うやつにした方がよかったか?

柑橘類は数点考えるか梅餡を改良した方がいいのか?

……う〜んやっぱりもう少し姉貴と相談だな

さっぱりした甘さは俺としたら美味しいかったから結構使ったんだけど

それか梅は梅オンリーの和菓子を使った方がいいか?

大人にはこの梅餡はあうと思うし

「あの、春。食べ過ぎると、昼食たべれなくなるよ。」

「……えっ?」

いつの間にか10個あった和菓子は後一個にまで減っていた。

「だって美味しいんだもん。」

「まぁお口にあったんならいいけど。苺大福もあるけど……。」

「えっ?いいの。」

「あ、あぁ。」

でも、結構量あったんだけど。俺と綾風で3つしかたべてないのに。

「これも美味しい!!」

まぁ、幸せそうな小野寺を見るとどうでもよくなってしまう

「まぁ、気に入ったんなら試作でいいなら数個持ってくるけど。」

「いいの?」

「別に。練習にもなるし。それに家族以外の評価って売上に直結することも多いから。」

それに小野寺があまりにも幸せそうに食べるしなぁ。

「それなら春も和菓子作ってきたら。」

「えっ?」

「日本一って言われている和菓子職人に食べ比べできるなんて凄いことだよ。」

「日本一はうちの姉貴だけどな。」

「でも試作作っているってことは秋葉くんが和菓子の案を考えているんでしょ?」

「まぁ。洋風どらやき以降うちの作品は全部俺が考えた奴だけど?作れるかどうかは別として。」

元々俺がやってみたいと思った物は基本やってみることになっている

「でもいいの?」

「いや断る理由がどこにあるんだよ。俺も和菓子は好きだし。試食させてくれるのなら。別にいいけど。」

「うん。それじゃあ決定ね。」

「なんで綾風が決めるの?まぁいいけど。てかお前は小野寺の和菓子が食べたいだけなんじゃねーの?」

「あっばれた?」

「ふうちゃん!!」

やっぱりか。

そうしながらも和菓子の話題は途切れず、小野寺が職員室にプリントを運ぶまで俺たちの話は途切れることがなかった。

なお、プリントを運ぶのを手伝ったのは言うまでもない。

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