ハツコイ   作:クロロ

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ワガシヤ②

一通り作り終わるとそこには生菓子が一つ作り終えていた

俺はそれを一つだけ口にくわえると

「……」

ちょっと甘みがくどいな

砂糖が多かったのか分からないのだがしつこい甘さが気になる

「わぁ〜美味しそう。」

「…そうっすか?ちょっときついように食べた時に思いますけど。」

「えっ?」

「ちょっと甘さがしつこいかなって。」

「どれどれ。」

すると小野寺のお母さんが食べると

「……えっ」

小野寺先輩も俺の作った餡を食べると

「……ねぇ。それ本当に言っているの?普通に美味しいよ。」

「…そうですか?なんか少ししつこいような気がしたんですけど。」

「しつこいって。」

「……確かにさくらのどら焼きの餡からしたら少しうちの餡って少し甘さが残るよね。」

すると小野寺がそういう。

「そうなの?」

「そういえばさくらのどら焼きるりちゃんにお願いして一つもらったんだけど……あれは即完売するのもわかる気がするな。甘さ控えめだけど、どこかさっぱりしているよね?」

「うちって外国人も多いですからね。外国人の人が和菓子のザラザラした甘さが嫌いな人が多いので。餡のレシピは俺と姉貴しか知りませんよ。」

それも今日みたいな日以外は姉貴でさえ餡を作らないしな

「……そういえばあなたのところって二店舗目って出さないの?もう一躍有名店じゃない?」

「あ〜俺のところは一店舗で儲けは出ているので。それに元々趣味で始めたお店ですし。元々拡張することはやめているんです。欲を見るよりも今は軌道に乗せたいので。」

「……あなた母親によく似ているって言われない?」

「よく言われます。けどよくわかりましたね?」

「あなたにそっくりなのよ。性格が。」

「……いい意味で言われていないことが分かりました。」

そんなに似ているのかよ

「そういえば、秋葉くん。あなたって春の知り合いだったの?」

「いえ、ちょっと入学式の日に絡まれているのを助けたんですよ。この辺りって最近治安悪いじゃないですか?」

「治安が悪い?」

「小野寺先輩は知りませんか?ヤクザとギャングがちょっと暴れ回っているんで。この辺り。うち一回大乱闘が店内で起こってガラス4個と発砲騒ぎで姉貴が驚いてギックリ腰になっていたあげくに商品が全部ダメになりましたし営業停止が5日ほど。被害想定300万はいきましたから。」

「……そ、それは。」

「……流石に同情してしまうわね。」

「リーダー格の奴らはすぐに逃げられましたけど数人は営業妨害で警察に引き渡しましたよ。」

事実営業妨害が響きどれだけの迷惑をかけられたか

「……えっと、そのヤクザとギャングの名前って覚えているか?」

「忘れるはずないじゃないですか。確かクロードっていう金髪のいけ好かないやつと竜っていう和服のやつですよ。全くどれだけ被害受けたと思っているんだよ。って一条先輩どうしましたか?」

「いや、別に。」

少し頭を抱えている一条先輩は置いておいて

「以降俺の家ヤクザ、ギャングは禁止って書きましたしそれ以降規制を強める用凡矢理市にいいましたもん。一条先輩ももし、その人をしっていたならば言っておいてください。今度は絶対賠償してもらって警察に引き渡すんで。」

「……あぁ。」

やっぱり見に覚えがあるのかうなだれている

「……話しながらでも手はしっかり動かしているわね。」

「マスクしてますし唾液の心配もないですしね。」

「……ふ〜ん。よし。」

すると小野寺のお母さんが笑い

「あなたうちにお婿にきなさい。」

「……は?」

俺はキョトンとしてしまう。

「いやいやいや何言っているんですか?」

「お母さん何言っているの!!」

「いや〜春もいい男連れてくるじゃない。」

「ちょ、お母さん秋葉くんはそういうことじゃなくてえっと。」

「そうですよ。てか小野寺は俺なんかもったいないでしょ。可愛いし。」

「かわっ。って秋葉くんも何言っているの!!」

「いや、普通に可愛いだろ。てか、小野寺入学してそうそう告白されたって綾風から聞いたけど。」

「風ちゃん何言っているの!!」

綾風が自慢げに話してきたからなぁ。

「…それに俺って和菓子のことばかりで恋愛とか、そういったことはさっぱりなんで。友達すらできたことないですし。」

「「「……」」」

「あなた、いつから家業手伝っているのよ?」

「俺は小三のころからほぼ毎日厨房には入っていますよ。経営がぎりぎりでいつ潰れてもおかしくなかったですし、それに和菓子作り好きなんで。」

「しょ、」

小野寺先輩は驚いているが俺にとっては普通のことだ。姉貴もそれくらいから厨房に入っている

「……なるほど。そりゃ春や小咲より腕は確かなはずだわ。」

「現場入っていると見えてくるものもありますしね。それに楽しかったんで。あ、これ終わったんで。」

「えぇ。ありがとうね〜。急に厨房入らせちゃって。」

「別にいいですよ。慣れてますし。」

「……ねぇ、本当にお婿にこない?今なら小咲もつけるわよ。」

「「お母さん!!」」

「あの、一条先輩。」

「こういう人だからな。」

「は、はぁ。」

俺は戸惑っていると

「そういえば、一条先輩遊園地とか興味無いですか?」

「遊園地?」

「姉貴が婚活会場でもらってきたらしいんですけど、相手が見つからなかったらしくて。ペアチケット俺にくれたんですよ。俺行く相手いないんでもし良かったら桐崎先輩と行ってきたらどうですか?」

「千棘?」

すると首をひねる一条先輩。

「いや、デートに遊園地に行けばって言ったんですけど。」

「あ、あぁ、そういうことか。」

「「……」」

俺と小野寺は少し首を傾げる。やっぱりおかしいな

「……まぁ、ってことでこれあげます。俺いらないんで。」

「えっ?春と行ってこればいいじゃない。」

「カップル対象の遊園地チケットですよ。こういった時は彼女持ちの人に押し付けた方がいいじゃないですか。それに女子と二人で外出なんてデートじゃないですか。小野寺、男に苦手意識持っているから俺と二人っきりって結構辛いと思いますし。」

「春ちゃんって男の人が苦手なのか?」

一条先輩は知らないのか

「女子中出身らしくて。入学式の日も男に絡まれて震えていましたからね。助けましたけどそれでもあまり二人っきりにならない方がいいと思いますよ。男子と話す時ちょっと無理して話している時あるんで。」

笑顔が引きつったり少しだけど震えていたりしているし、男子のこと少し苦手意識を持っていることは確定だろう

「……ふ〜んよく見ているわね。」

「仕事柄噂や人のことをよく見る癖がついているので。」

「でも、春も男嫌いなの少しは直さないといけないでしょ?秋葉くんならまさちゃんの息子さんだし、信用できると思うんだけど。」

すると口調がふざけた口調ではなく本当に心配にしているのが分かる

これで断ったら断ったで後味悪いし

「小野寺次第ですよ。俺は克服したいっていうんなら手伝います。家の方は手伝いは基本高校生ではしなくてもいいって言われてますし。」

「あら、そうなの?」

「俺、働き過ぎって親からも姉からも言われているので。」

好きでやっているし、テストもそっちのけだからな

凡矢理にも推薦で入ったもんだし、それに

「姉もそうだったんですけど、学校生活を楽しんでほしいらしく、制限ついているんですよ。俺は」

1日三時間。これが俺が入れる厨房の時間である

土日もおかげで厨房に入ることができず、俺の部屋にある小型IHと簡易調理場で試作を続けている日々だ。

それに最近壁にもぶつかっているし、気分転換代わりにもなるか

「小野寺が治したいんなら付き合いますよ。せっかくの和菓子仲間だし、それに友達ですし。」

「……ふ〜ん。」

どこかニヤニヤしている小野寺のお母さんに俺はため息をつき俺は一条先輩にチケットを渡す

「とりあえず、これは一条先輩が行ってください。せっかくのカップル限定のイベントなのですから。」

「お、おう。ありがとう。」

ちょっと引きながらもチケットを受け取る一条先輩

「……はぁ。そういえば今日の仕事って。」

「えぇ。これで今日はいいわよ。ごめんなさい。急に厨房に入らせてしまって。」

「別に慣れているんで。」

俺は苦笑してしまう。家で忙しくなってからは急に仕事に忙しくなるときは俺も応援に入るからな

「……それじゃあ、帰りますね。」

「あれ?うちの和菓子いらないのかしら。」

「和菓子は買っていきますよ。どら焼き3つ。」

「どら焼き?あなたのところにも置いてあるでしょ?」

「好きなんですよ。俺が。」

俺は厨房を出る。

どら焼きは俺にとって思い出深く、そして一番好きな食べ物だ


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