魔導巧殻 もう1人の神殺し   作:ヴィヴィオ

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ラナハイム王国③

 

 

ラクリール

 

 

 

 最悪だ。今日は人生で一番最悪の日だ。そう、私は目の前で私を抱きしめて眠っている奴にクライス様に捧げるはずだった私の全てを無理矢理奪っていった憎い相手だ。いつか必ず殺してやる。しかし、こいつは女のはずだった。だが、男だ。どういう事なのだろうか。そんなことを考えていると部屋の扉が開いてもう1人の憎い奴が入って来た。

 

「遅かったようね、ラクリール」

「フェルアノ様……これはどういう事ですか?」

「貴方はその方に求められて父上が売ったのよ。私は反対したのだけど、どうする事もできなかったわ」

「っ!?」

 

絶対嘘だ。心の中では喜んでいるはずだ。こいつの事は私にはよくわかる。

 

「それで汚れてしまった貴方に命じるわ。クライスの為にメルキアのスパイになりなさい」

「それは……」

「そんな汚れた身体ではクライスにふさわしくないわ。それはわかるでしょう?」

 

確かに私はもはやクライス様には相応しくない。なら、私がクライス様の為に出来る事はそれぐらいしかない。

 

「わ、分かりました……」

「ええ、よろしく」

 

今ここでこいつを殺す事は出来ない。そんな事になれば確実に戦争に発展する。それをアイツも理解しているから出て行く。いや、それ以前に……

 

「おや、何もなかったですか。面白くないのです。マスターに何かすれば斬り殺そうと思っていたのですが」

 

いつの間に居たか分からないが、クライス様と戦っていたララとかいう女が居た。こいつはおそらアイツが手を出そうとした瞬間、斬り殺していただろう。それぐらい私にもわかる。

 

「スパイとか言っていましたが、そんな事できるとは思わない事です。お前は完全にマスターの支配下に入るまではマスターの傍に居るか、訓練になるのですから」

「くっ……」

「そう、お前の役目は一先マスターにその身体で奉仕する事です。しかし、あの女……危険ですね。隙あらば殺しましょう」

 

それには賛成したいが、アイツはクライス様に必要だ。特に汚された私よりも悔しいがクライス様の役に立つ。

 

「おっと、そろそろマスターを起こす時間なのです。マスター起きるのです」

「ん……朝か」

 

何度か揺すられ、私を抱きしめていた奴が目覚めた。

 

「おはよう、ララ、ラクリール」

「おはようございますマスター」

「……」

「返事くらいしろよ」

 

私は完全に無視する。もう私にはこいつを殺す事は出来ない。だが、心までくれやるつもりは……っ!?

 

「んぶっ!? やぁ、んんっ、んんんんんっっ!!」

 

いきなり唇を塞がれて舌で口をこじ開けられて口内を蹂躙される。凄く気持ち悪くて吐きそうになる。そんな私を奴は楽しそうにしながら無理矢理唾液を飲ませてくる。

 

「んぐっ、んんっ!?」

 

どうしようもなく飲み干すしか私に選択肢は無い。この無力な身体が恨めしい。

 

「ほら、朝の奉仕をしてもらおうか。ララ、しっかりとラクリールを押さえておけ」

「はい」

「や、やめっ……んぐぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

それから私は憎らしい奴の汚い身体でまた口を犯され、気持ち悪い物を飲まされた。

 

「毎朝するんだ。わかったな」

「ふ、巫山戯るな……こんな事誰がするかっ!」

「命令だ。お前は俺ララと共に生気を供給しろ」

「い、いやだっ、私は……」

「クライスの物か? 残念だったな。もうお前は俺の物だ。安心しろ、ちゃんと愛情をたっぷり注いでやるよ。永遠にな」

 

こいつは何を言っている?

人間にそんな事……まて、確か男と女が入れ替わり、無限を生きる存在が居たはずだ!

 

「ま、まさか……」

「ふふ、マスターは人間であって人間で有りません。そう、貴方はもう永遠にマスターの物です。マスターに感謝し、共に歩むのです。人の理を貴方は超えるチャンスを得たのですから」

「巫山戯るな!? 私はそんなの望んでいない!!」

「そうか? どんなに愛してもクライスは人間だ。ハーフエルフのお前とはいずれ別れる事になる。だが、俺にはそんな時間的誓約などない。だからラクリール、お前は俺に仕え、俺を愛せ。そうすれば俺もお前を愛し続けてやろう」

「こっ、断る! 私は絶対に貴様を許さない!」

「何時まで持つか見ものですね、マスター」

「そうだな」

 

こいつら、絶対に許さない!

覚えていろ!!

その後、私は着替えさせられたり着替えを手伝わされたりした。それから外に連れ出されて私は身支度を整えるように言われた。今日、もう少ししたらメルキアに帰るとの事だ。もちろん、私も強制的に連れて行かれる。

 

 

 

 

エルカ

 

 

 

 計画とはちょっと違ったがラクリールが俺の手に入った。ラナハイムの欲しい技術もある程度貰ったし、これで用はない。実際、そろそろディナスティに行かなくてはいけない。エイフェリアが四元帥会議に参加しないといけないからな。食事は最後という事もあり、王族の人達と一緒に取る事となった。その食事中、ずっとこちらをクライスが見てくる。なんだか原作と違うみたいだな。どちらにしろ食事を終えたら転移の門へと移動する。

 

「今回はありがとうございました」

「こちらもいい取引が出来た」

 

国王とエイフェリアが話している中、クライスがこちらにやって来た。

 

「聞きたい事がある。お前は……」

「なんだ?」

 

俺が聞き返そうとした時、荷物を纏めたラクリールがこちらへとやって来た。

 

「クライス様」

「ラクリールか、今はエルカと……む? その姿はどうしたのだ?」

「も、申し訳ございません、クライス様。私はお暇を頂く事になりました」

「どういうことだラクリール!」

「そ、それは……ぐすっ……わ、私の口からは……」

 

クライスの問い詰めに泣き出してしまうラクリール。確かにラクリールにはつらいだろう。なら、ちゃんと俺が説明してやろう。

 

「俺が説明してやる。こういう事だ」

「っ!?」

 

俺はラクリールの手を掴んで引き寄せて抱きしめる。

 

「い、いやっ、止めて……クライス様の前でなんて……いやっ、んぶぅぅぅっ!?」

 

そして、ラクリールの口に濃厚な口づけをして口内を蹂躙してやる。

 

「貴様っ!! 俺のラクリールに何をしやがるぅぅぅぅっ!!」

 

激怒したクライスは即座に剣を引き抜いて魔法を纏わせて斬りかかってくる。俺に抵抗する暇なんてない。

 

「マスターの保護を最優先……! 先ずは敵勢力を排除します……!」

 

ララが小さな掌で握っている魔焔反応炉を使った魔導エンジンが取り付けられた巨大な砲剣でクライスの一撃を受け止める。

 

「邪魔をするな小娘っ!!」

「お断りします……!」

 

神核の心臓と魔焔反応炉によって高密度の魔力で作られたエーテルの血液を循環させ出力を上げていくララ。今はまだ拮抗しているようだ。

 

「リミッター解除、イグニスドライブ、フルドライブ……! ストレングス、エリミネーターモード……!」

 

ララの言葉と同時にララの全身に施された秘印術に魔力が送られ、全身から炎が吹き出し、ララの周りを囲んでいく。それらの炎は大剣の魔導エンジンに吸われて刀身を真紅へと染め上げ、周りに蜃気楼を生み出す程の高熱となっていく。さらに刀身が振動しだしてあらゆる物質を消滅させる破壊の力へと返還されていく。灼熱の高周波ブレードといった所だ。

 

「やあああああああああぁぁぁぁぁ――ッ!!」

 

ララが受け止めている状態から思いっきり振り抜くと、クライスの剣は切断されて本人の命を刈り取る為に迫る。

 

「くっ、馬鹿な、この俺がっ!!」

「クライス、避けなさい!」

「クライス様っ!!」

 

ララの大剣がクライスの首を切断しようとした瞬間、ラクリールがクライスの足を払ってクライスを転けさせる。その御蔭でララの大剣は空を斬った。

 

「甘いのです……! マスターの敵はここで死ぬのです……!」

 

振り抜いた軌道から強制的に変化させて振り下ろしてクライスに止めを刺そうとするララ。

 

「エルカ、止めよ!」

 

エイフェリアはララに直接命令するのではなく、俺に命令した。それが正解だ。ララは絶対にエイフェリアの命令じゃ止まらない。それが俺の命に関わった事なら絶対だ。

 

「ララ、殺すな!」

「っ!?」

 

ララは俺の命令が届いたのか、瞬時に軌道をずらしてクライスの横にある地面へと大剣を打ち付ける。すると大地が剣閃を辿るように引き裂け、そして炎を噴出して火の壁を作り出す。

 

「命拾いしましたね。しかし、本当に殺さなくていいのですか?」

「ああ、構わん」

「お前達、クライスとフェルアノを連れていけ!」

「父上!!」

「クライス、駄目よ!!」

「しかし、ラクリールがっ!!」

「いいからっ!!」

 

無理矢理フェルアノがクライスを黙らせて近衛兵魔法剣士部隊(パラディ・アズール)にクライスを連れて行かせた。本人も付き添っている。

 

「誠に愚息が申し訳ございません」

「行き成り斬りかかってくるとは……この落とし前、どうつけてくれる? 仮にもメルキア帝国の公爵家に名を連ねる者に貴国の王族が斬りかかったのだからな。戦争でも起こす気か?」

「滅相もございません!」

 

本気で怒っているエイフェリアだ。どうやらかなり大切にされているようだ。

 

「ま、マスター……非常に不味いです……こっちにも怒気が向けられています……」

「端的に言って遣り過ぎたな……あそこまで短気だとは計算外だった」

「うぅ、クライス様……」

 

しかし、本当に戦争になりそうな雰囲気だぞ。

 

「丁度これから四元帥会議だ。そうなれば確実に戦争になるであろうな。就任したてのオルファンにとっていい成果作りになるだろうからな」

「お願い致します、それだけは……」

「しかしだな……」

 

これは不味い。まじで戦争になるぞこれ。原作崩壊……いや、まあラナハイムってぶっちゃけあってもなくてもいい連中だしな。いや、あの魔法技術は重要か。まてよ……まさか……ん、チラチラとこっちにエイフェリアが目を向けてくる。やっぱりそういうことか。

 

「エイフェリア、こっちは大丈夫だったから別に戦争まではいいよ」

「む? そうか? エルカがそういうならば他ので手を打とう」

「ありがとうございます!」

「では、何がいいかの?」

 

エイフェリアは俺の方を向いて笑った。俺も笑う。

 

「なら魔法剣士部隊(パラディ・アズール)の雷撃関わる技術を全て頂きましょうか」

「っ!? そ、それは……」

「おや、こちらは構わないが?」

「そうだね。時間もないし、早くいかないと会議に遅れるね」

「わ、分かりました……少々お待ち下さい……」

「いや、一緒に行こう」

「畏まりました」

 

それから、魔法剣士部隊(パラディ・アズール)の技術を貰った。これでラクリールを原作と同様にできる下地が完成した。まあ、更に強化するんだけどな。

貰う物を貰った後、ディナスティに転移した。転移してから少し空いた時間で無茶苦茶怒られた。逆らえないというか、逆らった瞬間魔導槍が飛んでくる。なので大人しく正座した状態で説教を受けた。

 

「だからエイダ様を怒らせると怖いっていったのです」

 

説教が終わり、エイフェリアが四元帥会議へと出生している間に俺はリューンに案内されて宿泊場所へと移動していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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