魔導巧殻 もう1人の神殺し   作:ヴィヴィオ

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書き忘れて居ましたが、エルカも成長しております。
身長がだいたい160から166くらいまでになっております。
ラクリールと同じくらいと思います。身長はラナハイムでいくとフェルアノが真ん中でクライスが一番高いでしょうし。フェルアノとヴァイスハイトが同じくらいかな。
流石ハーフエルフ、ラクリールちゃん若いですね。


センタクス②

 

 

 

 

エルミナ・エクス

 

 

 

 センタクスの支配は完了しました。次にする事はこちらの援軍を待ちつつセンタクスを防衛する事です。それと並行してもしもの場合を考えて今の間にメルキアの持つ魔導技術をできる限り奪い取る事が必要です。

 

「進歩状況はどうですか?」

「はい、残された魔導技術はやはり我々より進んでおりなかなか解析が進みません」

「そうですか。ならばさっさとまとめて本国へと持ち帰ります」

「よろしいのですか? ここで解析しても構わないのでは?」

「駄目です。おそらくこのまま待っていてもバーニエの戦力が投入されればこちらが持ちません」

 

あの重工業ゴーレムに始まり、バーニエの発展力は凄まじい一言につきます。既に我が国よりは少ないとはいえ、新たに作られた工業地帯はあちらの方が技術が高く、小さな規模だというのにこちらに迫る勢いです。送り込んだスパイからの情報もありますが、相手の考え方と技術力は私達の遥か先を言っています。実際に真似て作っただけでも8割や9割もの効率化ができ、生産能力が格段に増えました。

 

「バーニエですか……」

「奴らの技術力は馬鹿げています。今は魔導戦艦なる物の開発を行っているそうです。最新技術とはいかないまでも、ここにある技術は私達にとってはかなり使えます。その為、なんとしてでも持って帰らないといけません」

「分かりました。直ぐにまとめます」

「ええ、よろしく。準備が出来次第出発させてください」

「はっ!!」

 

さて、民の協力を得られないのは予想通りですし、それなりの対策は取らせて頂いていますが……北を突破されるのはまだまだ時間がかかるでしょう。ザフハ部族国に協力を要請してキサラを抑えているのも大きいでしょう。そんな状態なので北は大丈夫でしょう。むしろ、危険なのはバーニエとディナスティですね。そうなると西ですが……私ならこの配置から考えて南から奇襲を仕掛けて攻め落としますね。相手がそれなりの存在だと油断していれば気づけずに裏をかかれるでしょうが、この三銃士の1人、エルミナ・エクスに油断はありません。そもそもこちらの目的はセンタクス領の制圧でもないのです。いえ、制圧を続けられるならそれでいいのですが。

 

「エクス様」

 

私の背後に黒装束に身を包んだ者達が膝を付いて現れる。彼らは私の子飼いの工作部隊でかなり優秀です。

 

「仕掛けはどうですか?」

「問題有りません。既に設置が完了しています。しかし、よろしいのですか?」

「構いません。手に入らない物に執着し、みすみす相手の利益にする必要は有りません。それより住民の避難はどうですか?」

「そちらは街の外へと追い出し、完了しています。残っているのは死を覚悟した連中だけです」

「では構いませんね。技術者の確保は?」

「既に捕まえた者は本国に移送を開始しております」

「分かりました。網に獲物がかかり次第撤退してください」

「はっ。エクス様もご無事で」

「ええ、わかっています」

 

さて、こちらの準備は完了しています。相手がどう出るか楽しみですね。このエルミナ・エクスの本気をとくと思い知らせてあげます。メルキアの皆さん、覚悟してください。

そんな事を考えならが外へと出てしばらくすると私の元へ兵士が慌ててやって来ました。

 

「エクス様、南方より敵影を確認しました! メルキア軍です!」

 

やはり奇襲を仕掛けてきますか。まあ、当然ですね。

 

「旗は!」

「ディナスティの旗です!」

「バーニエは来ていませんか……仕方ありません。バーニエ諸共も始末したかったのですが、そうはいきませんか」

「どうなさいますか? バーニエを待ちますか?」

「いえ、その必要は有りません。それで事を仕損じてはなりませんから実行します。各自配置につきなさい。これより、私が直接指揮を執り、敵を殲滅します。総員戦闘配置!」

「総員、戦闘配置ッ!」

「――三銃士が1人、エルミナ・エクスが指揮を執る! ユン・ガソル連合国の兵よ、華々しい戦果を期待します!」

 

舞台を率いて南側へと向かい、同時にあちらに居る部隊には防壁の外には出ずに上から弓で攻撃するように指示を出して置きました。さて、どこまで戦えるか楽しみです。

 

 

 

 そして、門へと向かい、私は出会った。正真正銘の化け物と。その者は門を身体から生やした先端が刃となっている無数の真紅の鎖で門を文字通り破壊し、さらには防壁の上に存在した兵士を鎖で薙ぎ払いながらこちらへと進んでくるのだ。

 

「見つけた。貴女がエルミナ・エクスね」

「いかにも、私が三銃士の1人、エルミナ・エクスです」

 

メルキア軍の先方として堂々と歩いてきた少女といえる女性に対して私は最大限の警戒を行う。その背後から部隊を引き連れた男性と女性が現れる。

 

「ミライ様、やり過ぎでは……」

「お母様、やり過ぎです」

「気のせいよ」

 

信じられない事にこの少女は後ろの人の母親ですか……むしろ姉妹や逆でも納得はできますね。

 

「さて、私が名乗ったのですから、そちらも名乗るのが礼儀ではないですか?」

「だそうだけど?」

 

少女は後ろにいた男性を前にだした。その間も彼らの兵士が続々と入ってきます。こちらは今の間にやられた兵士を門から回収しておきます。

 

「失礼した。私はメルキア帝国ディナスティ所属の将軍、ヴァイスハイト・ツェリンダーという。この部隊を指揮している。」

「私はヴァイスハイト様の副官であるリセル・ザイルードです」

「ミライ・ザイルード。オルファンの妻でリセルの母親。これでいい?」

「若いですね……ええ、構いません」

 

私は剣を引き抜き、後ろに回していた手を引き上げます。

 

「時間稼ぎは終了しましたから。やりなさい」

 

私の指示に従って起動する術式と装置。それは盤面をひっくり返す仕掛け。このセンタクスと共に墓場へとご案内致します。

 

「っ!? 罠かっ!!」

「逃げろ!!」

 

門の周辺が光り輝き、爆発の魔術によって門の近くで無数の爆発を起こす。これだけなら大した事は有りません。ですが、そこに火薬と油、装置に繋がれた魔焔が無数に置かれていたら?

 

「ちっ!? リセル、ヴァイス」

「ぐっ!?」

「お母様!!」

 

ミライと名乗った少女が瞬時にヴァイスハイトとリセルと近くに居た兵士を鎖に巻きつけて自身に引き寄せ、何重にも鎖を重ねて防御していく。その間に私も急いで結界のある場所へとスライディングで逃げ込む。その瞬間、外部から衝撃を受けた魔焔は装置によって暴走し、大爆発を起こして何もかも吹き飛ばす。

 

「さて、これでどうですか?」

 

門を跡形もなく吹き飛び、周りの家々も粉々になっています。そして地面にはクレーターが出来ているのですが、その一部には鎖が何重にも巻かれて、地面にも幾多にも突き刺さり爆発を耐えた物が有りました。

 

「化け物ですね……全軍、東に退却!」

「はっ!!」

 

指示をだしたあと、私達は急いで東に逃げます。次第に崩れて溶けていく中から叫び声が聞こえてきました。

 

「やってくれたな、小娘!!」

 

急いで逃げる私達の後を少女が鎖を器用に使いながらこちらへと駆けてきます。

 

「っ!?」

 

そして、瞬時に私達が張っていた結界魔法陣へと侵入してきました。その瞬時、爆発を起こします。辺りは魔焔に汚染されますが気にしません。化け物に勝つ手段は選べませんから。

 

「罠が一つだけなんて誰がいいましたか。既にセンタクスのあちこちに罠が仕掛けてありますよ」

「最初から制圧ではなく破壊が目的だったという事かっ!!」

「その通りです」

 

迫り来る鎖を横に飛んで回避する。私が移動した直後、私が居た地面に鎖が突き刺さり、次々と私に向かってくる。私も片手に持つ二本の剣で弾いていく。

 

「ちっ」

「甘いですよ。三銃士の1人、エルミナ・エクスを簡単に討ち取れるとは思わないで貰いたいですね!」

「ヴァイスハイト様、準備出来ました!」

「よし、撃て!」

 

魔導兵士達が銃口をこちらへと向けてくる。撃たれたら終わりでしょう。

 

「だけど、甘いのですよ!」

 

発射と同時に地面に仕掛けておいた魔法陣が起動して爆発を起こし、魔法弾を弾き飛ばしていく。

 

「これもあげます!」

 

撤退中の兵に指示してボタンを押させる。これによって仕掛けが起動して坂の上から無数の樽が落ちてくる。それらの中には油と火薬が満帆になっています。それが魔導兵を含み大爆発によって相手を駆逐していく。

 

「手に入らないならば街ごと破壊してみせましょう。相手の拠点となり、我がユン・ガソルを脅かす存在に戻るのならば尚更です」

「くそっ、本気か……」

「予想外でした。まさかここまでするとは……」

「本気で狩りに来てる」

 

どうやら追撃を止めてくれたようです。なら、私は逆に待ってあげます。それからはあちらが襲いかかって来てこちらが反撃し、罠に誘導して敵兵を削り、あちらが止まる。それの繰り返しです。そして、その途中で私は姿を見せずに他の者に指揮を取らせながら撤退します。最後に残った者達はここで散る覚悟を持った者達です。いえ、ユン・ガソルの為にここで死ぬ事を望んだ者達です。

 

「さあ、最後の罠です。我が勇敢なる兵よ、その偉業を私達が本国へと持ち帰りましょう」

 

丘の上からセンタクスを見下ろし、私はスイッチを入れる。魔力信号が放たれ、センタクスの街の各所至る所に設置された爆弾や術式が起動していく。そして、センタクスを炎に包み、全てを焼いていく。それを見ながらしばし黙祷を捧げる。

 

「全軍、レイムレス要塞に撤退する!」

「「「はっ!!」」」

 

ヴァイスハイトにリセル、ミライでしたか……流石にあの者達もこれだけやれば倒せるでしょう。よしんば生きていても直ぐには動けないはずです。魔焔による汚染を取り除かなければ外には出れないでしょう。しかし、あのミライというのは完全な化け物でしたね。あんなのがメルキア帝国には沢山いるのならば対策を考えないといけません。このままでは私達が負けてしまう。しかし、尋常ならざる相手をするのは疲れますが、放置はできません。今回のような罠に嵌めるのは辛そうですし……いえ、今はそれよりもゆっくりと休憩が取りたいですね。

 

「っ!?」

 

撤退中、私は殺気を感じて急いで横に飛ぶ。すると私が居た場所がえぐれているのが見えた。そして音が聞こえて来た。直ぐにその方向を見ると、影になってわからないが、巨大な魔導機械の前に立つ数人の姿が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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