魔導巧殻 もう1人の神殺し   作:ヴィヴィオ

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少し修正させて頂きました。


目覚め

 

 

 

 俺は車に跳ねられて死亡した。そのはずだった。だけど気づいた時にはどこか知らない場所に居た。しかも俺は神殿みたいな所にある祭壇に居るのだ。全くもって理解出来ない。これはどこぞのテンプレみたく転生という奴や憑依なのか?

 片目も見えないし、録なことになっていない。

 

「って、俺は誰だ……名前が思い出せない」

 

 自分の顔に手を当ててみると包帯が片目に巻かれているのに気づいた。いや、それよりも手が小さく子供みたい……ではなく子供のようだ。髪の毛も銀色になっているし、いったいどうなってるのか……意味がわからん。

 

「ちっ、面倒だが仕方無いな。先ずは神殿の方を調べるか……」

 

 俺は祭壇から天井へと目を向ける。するとわかるのはこの神殿のような建物がかなり古いようだ。

 

「落ちたりしてこないだろうな……」

 

 俺は祭壇から立ち上がって周りを見渡すと信じられない物が目に飛び込んできた。

 

「っ!? おいおい、これは……」

 

 それは無数に存在する人間の死体だ。いや、よく見れば中には耳が長いエルフのようなのも居る。しかも、どいつもこいつも高そうな白銀の鎧を着ている。どうやら、完全に元居た世界ですらないようだ。そんな中、ひときわ目立つ死体があった。それは祭壇の直ぐ下に男だ。その男は巨大な漆黒の大鎌デスサイズに突き刺されて死んでいた。そして、そいつの握る剣には真っ赤な血が付いていた。取りあえず無性に気になったデスサイズを掴んでみる。

 

(目覚めたか)

 

 すると頭の中に声が聞こえて来た。

 

「お前は誰だ?」

『今まで戦っていた存在の名を忘れたか。いや、記憶がおかしいのか。私は……いや、どうでもいいな。どうせ私はお前と溶け合って消滅するのだからな』

「どういう事だ!」

 

 戦っていたとか全然身に覚えがねえよ!

 

『気にするな。貴様は見事人の身でありながら相打ちとはいえ私を打ち倒した。これはその褒美だ。私も神殺しに習っただけの事よ。それとここにある物は全てお前の物だ。好きに持っていけ。貴様はしばらく人間のままだからな。では、さらばだ』

「おい、待て」

 

 言いたい事だけ言って聞こえなくなった。何が褒美だ!

 って、ちょっと待て神殺しとか無茶苦茶不安な事を言っていなかったか?

 なに、カンピオーネか戦女神か?

 どっちも死亡フラグ多すぎだろ!?

 

「ああクソッ!! しかも、こいつらを見ると……やばいな」

 

 考えるのは取りあえず放置して必要な物だけ持って逃げるか。

 

「しかしこの大鎌邪魔だな。消えないかな……」

 

 そう考えた瞬間に大鎌デスサイズが消滅した。

 

「……出ろ」

 

 念じると出て来る。これはかなり便利だ。他にも死体の剣を剥ぎ取って念じてみると収納が可能だった。

 

「アイテムボックスか何かか……便利だな」

 

 取りあえず、身ぐるみを剥いでいく。貰う物は貰っていく。

 

「ちっ、やっぱりディル=リフィーナか」

 

 死んでいた奴らの鎧にはマーズテリアの紋章があったのだ。これは不味い。今の年代がいつかはわからないがさっさと逃げるに限る。だが、貰える物は貰わないと生きていけない。

 

「ん? これは神核か……色々あるな。貰っていくか」

 

 神殿を探して保存されていた資料なども根こそぎ貰ってさっさと逃げる。逃げる先は途中で見つけた転移陣だ。どんな場所にでるかはわからないが問題無い。さっさとここを出たい。

 何故なら複数の足音がするからな!

 という訳でさっさと転移して逃走する。

 

 

 転移された先はどこかの森だった。問題はどこかだが。しかし、転移酔いか何か知らないが身体が動かないし喋れない。むしろ無茶苦茶眠い。

 

「マスター、こちらに転移反応があったですの!」

「そうか。どうやら見つけたようだぞ」

「むむ、本当ですの」

 

 声のした方向を見ると、そこには小さ妖精と緑髪の女性が居た。こいつらは俺でも知っている。魔導巧殻リューンとエイフェリア・プラダだ。という事はここはメルキアか。

 

「どうやら生きているみたいだな」

「行き倒れですの?」

「人間にしては力が強いようだ」

「マスター、取りあえず持って帰るですの!」

「そうだな。子供を見捨てるのは寝覚めが悪い」

 

 俺は抱き起こされるままに身を任せて眠りについた。どうやら身体が限界だったようだ。起きた直後に無理をしすぎたのかも知れない。

 

 

 

 

 

 次に目覚めると目の前にリューンが居た。周りを見渡すとゲームで見たバーニエの部屋のようだ。

 

「おお、起きたですの。マスター、目覚めたですの」

「そうか。気分はどうだ?」

「まだだるい」

「ふむ。転移の後遺症か。まあ、しばらくすれば治るだろう。それと悪いが何があったか聞いていいか?」

「覚えていない」

 

 これは正しい。嘘でもあるが、殆ど覚えて居ないのだから。

 

「記憶喪失か。まあ転移事故の直後にはよくある事だな。しばらくすれば治るだろう。しかし、そうなると行く場所が無いか……」

「ならここに居るですの。マスターの部屋は散らかっているいのでお世話する人が必要なのです」

「うっ……」

 

 確か研究に没頭すれば周りが見えなくなるんだったな。確かにこの部屋も汚い。それにどうせなら魔導技術を習うのもいいだろう。一つやりたい事もあるしな。

 

「わかった。悪いけどお願いする」

「ああ」

「ふふ、これで家族ですの」

「それは違うが……まあ、しばらくは好きにしていろ」

「ああ」

「では私は研究に戻る。リューン、悪いが面倒をみてやってくれ」

「はいですの!」

 

 子供というのは便利だな。簡単に入り込める。まあ、しばらくいさせて貰おう。

 

「リューン、悪いけど手鏡とかあるか?」

「ちょっと待つですの」

 

 少しるとリューンが両手で一生懸命持ってくる。流石は70cmという小ささだ。

 

「どうぞですの」

「ありがとう」

「はいですの。ところで、名前はなんていいますの?」

「名前……覚えてないな」

 

 俺は受け取った手鏡で自分の顔を見る。するとそこに写っていたのは美少女だった。

 

「なら付けるしかないですの。何がいいか悩むですの」

 

 リューンが色々と言っているが、そんなのはどうでもいい。この顔は覚えがある。

 

「エルカ……」

 

 同じエウシュリーシリーズではないが、姉妹のアナスタシアから出ている蒼海のヴァルキュリアのエルカ・ザウネンに非常に似ている。いや、これはカンピオーネのアテナもだな。

 

「エルカ、それが名前ですの?」

「……そうだな。それが名前だと思う」

 

 どうするかも面倒だし、エルカでいい。アテナは不味い。神の、古神の名前だからな。しかし、俺は女なのか男なのか……いや、始まりからして女の身体なのだろうな。つまり、男にする為には俺もセリカと同じ方法が必要という事になる。なら、女が居る。どうせなら気に入った奴がいい。魔導巧殻ならラクリールだ。あの子が一番好きだ。後はコロナとかだな。どっちにしろしばらくは女でいよう。

 

「じゃあ、エルカ。私はリューン様ですの」

「リューンだな」

 

 華麗にスルーしておく。

 

「むむ……まあいいですの。それより身体はどうですの?」

「お腹が空いている以外は平気だ」

「なら、持ってくるですの!」

「いや、食べに行くしいい。身体は動く」

「わかったですの。ならリューンについてくるですの」

「ああ」

 

 俺はリューンの案内で食堂へと向かった。そこでご飯を食べながら説明を聞いていく事にする。

 

「それで、ここはどこだ?」

「ここはメルキア帝国にある西領バーニエですの」

 

 確か、バーニエは古くからあった魔導巧殻で出てくるメルキア帝国の領土で、帝国の西側に位置したはずだ。魔導技術による灌漑事業を受けた土地が多い為に西の都バーニエは魔導技師の聖地とも呼ばれている。その地を支配するのがバーニエ領を治める元帥であり魔導技術により国を復興させた者として名高いヴェルロカ・プラダの孫、エイフェリア・プラダだったはずだ。彼女はドワーフとのハーフなので若い姿のまま長い時を過ごしていたと思う。そしてリューンがゲームの代名詞となっている身長約70センチの機械人形、魔導巧殻と呼ばれる存在。

 こうなると問題は今が何時かという時だな。原作の開始前なら構わないが、事によっては大変になってしまう。やっぱり、聞くしかないな。まずは遠回りに聞いてみるか。

 

「軽くこの国の現状を教えてくれ」

「了解ですの」

 

リューンから色々と聞いていく。そして、補足してもらう。

 

「エイフェリアさん以外の他の元帥は?」

「北領キサラを治めるガルムス、南領ディナスティを治めるオルファン、東領センタクスを治めるノイアスが元帥ですの」

 

 まだ原作が始まってるか微妙な所だな。原作はセンタクスがユン・ガソル連合国にやられてノイアス元帥が行方不明になった所からだし。

 

「元帥はどんな感じ?」

「ガルムスは戦馬鹿で、オルファンは魔術馬鹿、ノイアスは変態爺ですの」

「……家族は?」

「オルファンの娘のリセルがこないだ来たですの」

「何歳くらい? ひょっとしたら友達になれるかも知れないしな」

「今は4歳ですの」

 

 よし、原作かなり前!

 介入可能だ。なら当分は戦闘能力を手に入れつつ魔導技術を習ってラナハイムに行くか。ラクリールがクライスに与えられる前に掻っ攫えばかなり楽だしな。

 

「ありがとう。早速で悪いんだけど、魔導技術について教えてくれ」

「ふふ、このリューン様に任せるですの! と、言いたい所なのですが、国防に関する事ですので契約魔法を交わして貰いますの」

「わかった。いいよ」

「こちらとしても働かざる者食うべからずなのでさっさとやるですの」

 

 リューンと契約魔法を行い、魔導技術を他国に漏らさない事や、裏切らない事などを明確に契約していく。契約後に魔導技術について習っていくのだが、この身体やばい。無茶苦茶高性能だ。瞬間記憶能力は持っているし、理解度は無茶苦茶早い。というか、すらすら改造案とか出てくる。本当にアテナだったら叡智の女神だけあるといえる。たったの数日で魔導技術の基礎をマスターしたのだから。

 

「くぅーまさかここまで飲み込みが早いとは予想外なのです……せっかく教師になれると思ったのにー」

「いや、まだまだ教えて貰わないとな」

「むぅ、仕方無いのです。次は応用編なのです」

 

 それからどんどん知識を貪っていく。それと同時に与えられた部屋で持ち出した資料を記憶していく。それらを元にしながら解析魔術を作り上げて魔導巧殻を解析するのだ。目指すは俺だけの魔導巧殻……いや、機工女神を作り出す事だ。幸い、手に入れた神核があるから可能だ。

 

 

 

 

 

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