魔導巧殻 もう1人の神殺し   作:ヴィヴィオ

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姉妹機

 

 

 

 

 

 ユン・ガソル連合国を退けた俺達を待っていたのは皇帝陛下との謁見だった。いや、まあヴァイスハイトだけだけどな。俺は母さんと謁見だ。

 

「無事で何よりだ」

「母さんのお陰だ。まさかあんなのを用意しているなんてな」

「私ももしもの為に用意しておいたんだがな。ルナ=ゼバルも1機大破か」

「ごめん。壊した」

「構わんよ。お前達が無事ならそれでいい。それに代わりを持ってきたしな」

「2機だっけ?」

「1機はジルタニアに譲渡する。ヴァリアントに関してはまだ未完成だからな。それよりも、だ」

 

 母さんは真剣な表情をする。そして、窓から見つめる先にはファラ・カーラの魔弾を搭載しているルナ=ゼバルの姿があった。

 

「ファラ・カーラの魔弾か」

「どう思う?」

「危険だね。あれはまだ手にすべき物じゃない。現神の介入を招く事になるだろう」

「やはりか」

 

 それに今介入されると非常にまずいんだよな。俺の正体がバレる。はっきり言ってまだまだ戦力が足りない。

 

「なら、アレの破壊に賛成するか?」

「もちろん」

「ディナスティも賛成してくれている。ならば、やるぞ。幸い、敵になりそうなキサラの勢力は先の戦いで激減している。ユン・ガソル連合国もそうだ。しばらくは攻めてこれまい。その間に逆らうならキサラを平定する」

「あのおじいちゃんと事を構えるのか。まあ、皇帝もついでに始末しよう。代わりはヴァイスが居る」

「そうだ。ディナスティはヴァイスハイトを新たな皇帝に押すだろう。私もバーニエの元帥として押す。反対はキサラくらいだろう。不在のセンタクスは問題あるまい」

「で、どうやるの?」

「あのルナ=ゼバルには自爆装置が積んである。それも特大のだ。それの発動と同時にヴァリアントに搭載させた主砲で一気に始末する」

「簒奪すると」

「これも愛する子の為だ。現神を招くわけにはいかない。そうだろう、エルカ。お前は神殺しなのだから」

「知ってたんだ?」

「ララの作成。あんなものを普通は作れるか。動力に神格を使って普通に居る時点でありえん。乗っ取られるか暴走するのが関の山だ」

 

 確かにアレはやりすぎたか。でも、知ってて匿うんだ。

 

「エルカは私の子供……家族だからな。家族を守るのは当然だろ」

「ありがと。じゃあ、やっちゃおうか。ボクが最初に攻撃を仕掛けるよ。神殺しとしてね」

「いや、既にオルファンがディナスティの勢力を航行ルートに配置させている。大人に任せておけ」

「わかった。それじゃあ、俺とヴァイスハイトは……」

「ザフハ部族国など敵対国を相手してくれ。その間に国内は片付ける」

 

 魔導戦艦の開発が終了した今、バーニエが本気で動くか。それもディナスティと組んで。これは原作乖離も凄まじいな。殆ど順番が逆転してるよ。

 

「では、私は準備してくる。リーンは連れていくが、大丈夫か?」

「大丈夫、任せてよ。ラウルバーシュ大陸中原、全て俺とヴァイスハイトでメルキア帝国に変えてみせるよ」

「よく言った。魔導戦艦は量産に入っている。そちらにも回す予定だから期待して待っていてくれ」

「了解」

「くれぐれも気をつけろよ」

 

 抱きしめられる。そのまま身を任せていると、少ししてそのまま離れて出て行った。

 

「ラウルバーシュ大陸中原制覇。その為にもやはり、ラナハイムには消えて貰おうか。その為の手駒、ルルを作成するとしよう。ララの稼働データと実戦データは充分ある」

 

 渡されたルナ=ゼバルに移動すると、魔導工房がそのまま設置されていた。ここでの開発などは難しいかも知れないが作成などは可能だ。とりあえず、ララの姉妹機であるルルを作成する。身長は確かララよりも微かに大きかった。10cm大きいだけだから156cmだな。髪の毛は青みのかかった銀色で瞳は水色。手にはガントレット。これには小型魔導炉を搭載して出力を上げてしまえ。服装は首の機械からスクール水着の肩がない版……ララとは色違いだな。他の機械類も原作をメインに作成する。基本的にはヴィーナスブラッド・ガイアと同じだが、つなぎ目をなくして出力を徹底的に上げてある。ララもバージョンアップする予定だしな。

 ルルの武器はエーテルアックス、エネルギーでできた斧だ。だが、流石にまだそんなのは作成できないので実体の武器にする。ルルの特性はララと逆で氷にする。ララが炎だからな。斬った切り口から動力を送り込んで血液を瞬間凍結させる。他にもスカートのような四つに別れている機械には補助装置と演算装置にして、周りを凍結させて氷柱を作成する補助も出来るんようにしよう。頭のパーツは高感度センサーして、宝玉は小型魔導炉とレーサー兵器にして……ファラ・カーラなんて目じゃねえよ。まあ、力を抑えるから大丈夫なはずだ。妨害用の術式も入れておこう。他にもララとのリンクシステムを搭載する。

 

「マスター、そろそろ休むのです」

「ん?」

「もう一週間は寝てないのです」

「もうちょっとだから。それにこの子の後はララのバージョンアップだ」

「寝ないと駄目です」

「じゃあ、この子が完成したらな」

「むう。なら手伝うのです。ララの妹なのですから」

「じゃあ、よろしく」

 

 気が付いら時間が過ぎていたようだ。とりあえず、ルルを完成させてから一度眠る。

 

 

 三日ほど寝続けて起きてからルルを手足や武装をはずした状態で起動して、ララと同じように犯しまくって性魔術で勝利し、邪魔な神核の情報をデリートする。

 

「ふふ、この子がララの妹なのです。お姉ちゃんですよ!」

「……」

「状態はどうだ?」

「問題ありません、マスター」

「こら、ルル! ララにも返事するのです」

「黙れポンコツ」

「なっ!? お姉ちゃんに向かって……」

「大体貴様は旧式なのだ。これからマスターの役に立つのは最新型の私だ」

「ぐぐぐぐ、マスター! 早速バージョンアップをお願いするのです!」

「了解。それとルル。ちゃんとララの事を姉と認めろよ」

「む。マスターの命令ならば仕方ない。感謝しろ、姉」

「可愛くないのです!」

「原作と変わらんな。よし、仲良くしろ。姉妹機のリンクシステムが使えないだろう。お互いの波長を合わせないといけないんだからな」

「それは問題ないのです」

「問題ないな」

「なぜに?」

「「マスターの為ならば(だからなのです)」」

 

 最重要事項に設定してあるからか。まあ、ならリンクシステムは大丈夫か。メドローアシステムとも言うがな。

 

「さて、ララのバージョンアップをするか」

「申し訳ありません、マスター。その前に情報をもらわないと行けません」

「む。そうなのです。無線はまだララにはないので有線で渡すのです」

 

 ルルの首輪のようなリングパーツにララが髪の毛から伸びているコードを接続する。数秒でデータが移ったのか、動きを止めていた2人が活動を再開する。

 

「情報の習得を完了」

「では、マスターの事はお願いするのです」

「任せろ」

 

 ララがベッドに横になる。俺はララの身体を開いていき、頭部を外して脳と心臓部を取り出して保存する。そして、改めて身体の作成に入る。といっても、ルルのを作るついで粗方作成しておいたので問題ない。全てはバーニエの技術力が急速に伸びているせいでもある。ララを作った当初から急激に技術が進化し、搭載される魔導炉も高水準なものになっているし、使える部品も多いのだ。無線のシステムとか、バーニエで作成されたものだ。距離こそまだ短いが、こちらが作成したネットワークを元にしているのだろう。ネットワークを改造して誰でも使える物にしているし、無線機を開発したり、研究所同士などバーニエ市内限定だが、インターネットすら開発したようだ。

 

「バーニエはやっぱすごいな」

「現在、バーニエでは!魔導機人の作成が人気だそうです」

「なぜに?」

「単純に人間と同じサイズで高出力ですし、ネットワークにより知識をダウンロードできますので、鍛冶をさせたり、重機の入れない場所で働かせる事ができますから。それにバーニエの殆どが研究者で人手は不足していますし、何より危険な実験も可能ですから」

「まあ、そうか。意識を持つまでは至って居ないので、私達と同じにして欲しくはありませんが」

「じゃあ、意識のある魔導機人はエンブリオって名前にしようか」

「そうですね。そちらの方がありがたいです。我々はその気になれば魔導機人を支配下に置けますから」

「……バーニエの制圧にどれくらいかかる?」

「約6時間もあれば細部まで完全制圧が可能です」

「絶対に敵の手に渡るな。最悪、重要な部分を転送させて自爆しろ」

「了解しました」

 

 重要な部分さえあれば修復は可能だ。神核さえあればどうとでもなる。脳のデータはバックアップがあるからな。常にバックアップを別の所に保存するようにしているので大丈夫だろう。

 

「ああ、そういえばヴァイスハイトが呼んでいたそうです」

「おい」

「経過から話せば簡単です。皇帝陛下が乗ったルナ=ゼバルが襲われ大爆発を起こし、仇を撃つ為に前方を飛行して警戒に当たっていたヴァリアントが反転し、砲撃を行ったそうです」

 

 ああ、殺ったんだ。

 

「皇帝陛下は確実に死んだのか?」

「同時に搭乗して消滅した魔導機人が確認しております。跡形もありません」

「そうか」

 

 まあ、あの転移できるくそ爺の事があるし油断はできないが、これで大丈夫だろう。すくなくとも隠れるはずだ。なんてったって、今のバーニエの戦力ははっきり言って、単身でメルキア帝国全軍と対等に渡り合えるはずだしな。レウニィアに援軍を求める事も可能だし。

 

「じゃあ、ヴァイスには来週の頭にそっちにいくと伝えてくれ」

「了解しました」

 

 さて、さっさとララを完成させて寝るか。ガタがきてるパーツを変えて、火力とパワーをあげた新型に変えて、大剣の方も更に改造してと。容量と封印を一部開放してこれでよしと。いらないコードは全部消えたし、見かけだけなら本当にララとルルは普通の少女になった。実際は殲滅兵器である動く神核搭載型高機能エンブリオだ。まあ、どちらも可愛い俺の最高傑作の女の子だが。この姉妹は怖いぞ、三銃士。

 

 

 

 

 

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