パルマナ大街道も支配下に無事置けたので拠点を構築して開拓していく。街道の整備と防衛施設の準備だ。むしろ今までバーニエに近い場所にちゃんとした防衛施設が無いというのがまずい。かなりレウィニアに近いのだから。それに水の巫女は中立だから大丈夫だろうが、その配下は別だから対策は必要だ。ちなみに拠点を作るのはかなり早くできる。何故なら今も重工業ゴーレムが大量生産されているからだ。既にバーニエの工業力もかなり上がり、どんどん改造と開拓を行っている。御蔭でバーニエは城塞都市となり、好景気で凄い人気だ。
「エルカ、準備できたか?」
「エイフェリア、こっちは大丈夫。ララは」
「こちらも問題有りません、マスター」
「なら行くぞ。今日はラナハイムを経由してディナスティへと向かうからな」
「わかった」
そう、今日はディナスティへと行く日だ。もちろん、ディナスティからラナハイム王国へと向かい、ラクリールを手に入れる予定だ。移動方法は転移の門だ。これはどこでも飛べるが、相手の座標が必要で同時に対になる転移の門を設置する必要がある。現在は戦争状態でもないため、事前に連絡さえ送れば問題無い。その分、あまり部隊を連れていけないし、あちら側に前もって連絡した部隊数じゃないと拒否される。といっても、こちらには元帥のエイフェリア・プラダが居るのだ。なので護衛は必然的に多くなる。
「それではリューンは先にナフカの所へ行ってますの」
「ああ、そっちは頼む」
「はいですの」
機密の塊である魔導巧殻を他国に連れて行く訳にはいかないので、リューンは先にディナスティへと行ってもらう事になった。つまり、俺とエイフェリア、ララがラナハイム王国に向かうメンバーだ。ララも魔導巧殻だが、こちらは正式には魔導巧殻と認められていないし発表する気も無い。これはバーニエでも極秘事項だ。
「さて、私達も行くぞ」
「ああ」
「楽しみです」
リューンを見送った後、転移の門を使ってラナハイム王国へと向かう。流石に一ヶ月前に連絡を入れて置いたので簡単に転移できた。もちろん、転移出来た場所は街の入口のような所で警備はかなり現住だ。特にラナハイム王国には精強と言われる
「よくぞ参いられた。メルキア帝国元帥殿」
「歓迎いたみいる」
盛大に迎え入れてくれるのは現国王だ。その横には若いフェルアノとクライスが居る。そしてさらに後ろの方には目当ての少女、ラクリールが居た。それはつまり、既にクライスの元に居る事を示している。しかも、その瞳はクライスしか見ていない。これはこれで面白い。
「この2人はフェルアノとクライスと申します」
「フェルアノ・リル・ラナハイムですわ。以後お見知りおきを……」
「っ!? クライス・リル・ラナハイムです」
「成程。では、こちらも紹介しよう。この子が妾の後継者のエルカとその護衛のララだ」
エイフェリアは対外的に私が妾に変わっている。挨拶してきたのでこちらも返す。だが、明らかにクライスの表情がおかしい。俺を見て驚愕している。
「エルカ、エルカ・プラダだ」
「プラダという事は……」
「ああ、この子は私の養子だ。このまま問題無ければ名実ともに私の後継者だ」
「そうですか……では、こちらにご案内いたします」
メルキアとラナハイムでは格が違う。ラナハイムの扱う戦力ははっきり言って現在だとメルキアの元帥より下だ。まだ雌伏の時にある。そんな事を考えながら周りを観察していくと、王宮へと付いてエイフェリアと国王が話し出す。
「それで今回はどのようなご用件で?」
「エルカがラナハイム王国の魔法技術に興味を持ってな。それで精強といわれる
「いえ、構いませんぞ。こちらとしても願っても無い事ですしの。では、準備させますのでしばらくお待ちください。魔法技術に興味があるなら図書館もございます。そちらへ案内させましょう。フェルアノ、クライス、案内して差し上げろ」
「はい、父上」
「分かりましたわ。こちらです、エルカ様」
俺を案内するよう命令された2人に着いていく。クライスはチラチラとこちらを見てくる。しかし、それを無視する。それよりもフェルアノがこちらに近づいて話しかけてくるのだ。だが、当然の如く俺との間にララが割り込んでいる。そのララをフェルアノは嫌そうに一別して直ぐに笑顔に戻っている。流石女狐だ。
「エルカ様はプラダ様に魔導技術を教えて貰っているのですか?」
「既に教えて貰って免許皆伝だ。好きなように研究と開発をさせて貰っている」
「それは素晴らしいですわね」
「当然です。ま、エルカ様は私の主なのですから」
「そうですの……その子の身体には魔導機械が埋め込まれているようですが……」
「彼女はもともと身体が動かなくてな。それを魔導機械を埋め込んで動けるようにしてある。魔焔も搭載しているから魔力も豊富だ」
「それは素晴らしいですわ!」
大喜びしているフェルアノ。だが、その中ではどうやって俺に取り入ろうとしているか原作を知っているから丸わかりだ。こいつは俺を徹底的に利用してラナハイムの利益になるようにしようとしている。なら、こっちも利用させてもらう。
「そういえばクライス、さっきからどうしましたの?」
「いえ、何でもありません。少しそのような少女が身の丈を超える程の大剣を持っているとは信じられず……」
「そうですわね。それは重くないんですの?」
「平気です。私の身体は魔導機械でできておりますのでこれくらいならへっちゃらです」
「そうだな。振り回すのに問題は無い。ララは強いぞ」
「そ、そのようですわね……」
こんな会話を続けていると、図書室に着いた。
「ここにある本で私達は勉強しております。そうですわね、簡単な物から教えていきますわ」
「いいのですか、姉上」
「ええ、構いません」
「そうか。ならお言葉に甘えよう」
「では、私は護衛に徹しております」
「よろしく」
フェルアノに魔法書を教えて貰う。直ぐに理解できたのでさっさと読んでいく。そんな俺にかなり驚愕している。
「クライス様、訓練の時間ですが……」
「ラクリールか……わかった」
銀髪赤目の美少女ハーフエルフがやって来てクライスに告げる。
「訓練か……どうだろ、ララと一緒にやってみないか? 俺はここで読書をしているから」
「むむ、私は護衛ですが……」
「大丈夫だ。ここで俺に何もない事はラナハイムが保証してくれる。そうだろう?」
「はい、もちろんですわ」
「分かりました。それではついてきてくれ」
「はい」
ラクリールとクライス、ララが出て行ったので俺はそのまま勢いを付けて読んでいく。特に性魔術に関する場所を読んでいく。暗号とかもあるが、フェルアノに簡単なのを教えて貰ったし、後はそれから解析を使いながら全て覚えだ。その後はひたすら知識を増やしていく。フェルアノもまさか俺がここまで直ぐに理解するとは思わなかっただろう。
「そ、そちらは難しい方なので……」
「構わん。もっと難しいのを読む」
止めようとするフェルアノを無視してさっさと読んでいく。上級魔法の術式などについても色々と為になった。確実に俺の技術力は向上した。俺をここに入れた時点で間違いなのだ。なので、ラナハイムの魔法技術をありがたく頂戴する。好意には感謝しないとな。