気づいたら魔法世界でAC(デバイス)になってました 作:傭兵はつらいよ
季節は冬―――雪が降り、街は若者なので活気立ち。家族や恋人と一緒に過ごす者が多くなる時期。そんな中、クリスマスという時期にミッドチルダでも大いに賑わっていた。それは管理局も例外ではなかったのだが…クリスマスには程遠い光景が待っていた…
――――――――――――――
「ねぇねぇ母さん!!サンタさんがクリスマスケーキを届けに来るって本当!?」
「ホントよ~スバル。なんせ管理局でチラシ配ってあったから頼んできたんだから。『地球から、直接サンタがケーキをお届けします』ってね。」
ミッドに在住のナカジマ家、サンタがケーキを届けに来るという事ではしゃぎまわるスバル・ナカジマ。そのスバルの母親のクイント・ナカジマは、先週の仕事終わりに管理局でチラシを配ってる子が宣伝しているのを気になって見たところ、クリスマス気分を味わうのも良いだろうと思い注文したのだ。
「もう、スバルったら少しは落ち着きなさい。」
「でもギン姉、地球からサンタが来るんだよ!先祖様がいた星のサンタって気になるじゃん!!」
はぁ~と呆れるのは、スバルの姉のギンガ。実は内心楽しみにしているのである。
「二人とも、もうすぐ届くから待ってなさい。」
そう言うと、ピンポーンっと玄関のチャイムが鳴りだした。
『すいませ~ん。ケーキをお届けに来ました~。』
「は~い。」
クイントが玄関を開けるとそこに――
「地球から来たコジマサンタです。」
「―――――――――」
クイントは困惑した。この状況で困惑しない筈が無かった。自分は仕事先でケーキを予約して家で娘たちと待ってただけなのに、いざケーキが届いて受け取ろうとしたら目の前にサンタ帽子をかぶった緑色のロボットがいるなんて可笑しな光景だ――
「お客さん…大丈夫ですか?」
「え?あ、えぇ、ごめんなさい。ケーキを届けに来てくれたのね。ありがとう。」
「サンタとしての仕事ですから。子供たちと楽しく食べてくださいね。」
「そうさせてもらうわ。」
それでは失礼、とロボットはそう言い、空を飛ぶと猛スピードで何処かに行った。
「…あれが地球のサンタ…先祖はすごいところに住んでたのね…」
とんでもない勘違いを植え付けてしまったが、あれは例外なだけであってサンタではない。断じてサンタではないのだ。そもそもACがサンタとか意味不――(ここで文字は途切れている
――――――――――――――
場所は変わり、第34無人世界の「マークラン」第1区画の静かで自然豊かな草原の中に家が一つたっている。そこにもサンタは訪れるのだ。ただし、そのサンタはACだと限らない―――
「ルーテシア~お皿何処にやった~?」
「こっちに置きっぱなしよママ。」
気が抜けてる感じの人物がルーテシアの母、メガーヌ・アルピーノ
「あ、そういえば今日ケーキが届くんだった。」
「ケーキ?いつもママが作ってるのに?」
「管理局でね、地球のサンタが貴方の家へケーキをお届けします!!って広告してあったから、面白そうだと思って頼んじゃった。」
「はぁ~…此処は雪すら降らない世界なのにサンタが来るとは思えないんだけど…」
「いつもママのケーキより他のケーキを食べるのもいいじゃない?」
ピンポーン
「あら、お話してると来たんじゃないかしら?」
「今回は別のでもいっか、でもママのケーキも美味しいんだけどなぁ。」
文句を言いつつも、玄関のドアを開けた
「遅かったじゃな――」
バタン!!
「……ママ?ケーキを届くように頼んだのよね?」
「その筈だけど?」
「なのに玄関開けたら、サンタ帽被って海パン一丁の筋肉がゴリゴリでムキムキの頭に、バケツみたいなの被った変態がいるのよ!!」
「地球のサンタがケーキをお届けしますって広告のチラシには載ってるんだけど。」
「サンタがあんな格好してるはず無いでしょうが!!」
メガーヌからチラシを勢いで奪ったルーテシアは、チラシを粉砕する。
「は~い、どうもありがとうございます。」
「取り合えずどうしよ……ってママ!?」
ルーテシアはムキムキマッチョマンの変態をどうするか悩んでいたら、いつの間にかメガーヌがバケツ頭の変態サンタからケーキを受け取っていた
「目的は既に果たしたよ。彼女がな、全ては私のシナリオ通り。残るは憎まれ役の幕引きだ。」
「いや、ケーキ届けに来ただけなのに何言ってるのアンタ。てか仕事終わったなら帰りなさいよ!!」
「私の生きた証を…… レイヴンとして生きた証を―― 最期に残させてくれ……! 」
「人の話聞きなさいよ貴方!?」
ルーテシアの話すら聞かず、男は何故か近づいてくる。
「ガリューぶっ飛ばして!!」
「ガハァ!!」
男はルーテシアの召喚獣ガリューによってぶっ飛ばされていった。
「ハァ~…何だったの?まあいいわ。ママ、夕食にしよっか」
二人は家に戻り、夕食を楽しんだ。ただサンタは色んな所に現れるのに彼女らは知らなかった。
――――――――――――――――
「ハァ…ただいま。」
「パパ~お帰りなさ~い。」
「お帰りなさい、ミレイスさん。」
ミレイスの帰りを迎えてくれたのは、妻のフェイトと娘のヴィヴィオだ。
「ヴィヴィオにフェイトか、ただいま。なのはは?」
「ママは今お料理中だよ。」
「そうか、今日の料理担当はアイツだったな。」
リビングに移動すると、旨そうな料理の数々をテーブルに並べているなのはの姿があった。
「お仕事お疲れ様です、ミレイスさん。料理できてますよ。」
「あぁ、相変わらず旨そうだな。なのはの料理は桃子さん譲りだな。」
えへへ~と喜んでるのが高町なのは、自分の妻である。二人も妻がいるとか可笑しくね?と思う人がいるだろうが、二人同時に告白してきたときはどうしたら良いんだと悩んだのでクロノに相談したらミッドチルダは一夫多妻制があるらしく、聞いたときは何も言えなかった。んで返答をどうするか悩んだ。元々二人には恋愛感情なんて無かったし弟子とかそんな感じだったのだが、まあ二人の告白は受けました。結婚して過ごしてみると楽しいものだ。
「今日これ貰ってきたぞ。クリスマスだろ?」
「ケーキ?うわっ、色々入ってる…」
「結構あるね…食べきれるかな?」
「お前ら、甘いの好きだから結構食べると思って買ったんだが。」
すると、女3人からすっごい睨まれた。
「わ、悪かった。だからそんな睨まないでくれ…ヴィヴィオまで睨まれると流石にキツイぞ。」
「女の子の心が分からないミレイスさんが悪いんです~」
「済まない、局の方で知り合いがケーキ販売を宣伝してたから買ってきたんだ。どうも自信作のようでさ。」
「へぇ~それは気になるなぁ。」
「なのはは実家が喫茶店だから、そういうの気になるもんね。この間だって――」
「あぁ!!フェイトちゃんそれ言わないで!!」
フェイトが暴露しそうになったところ、なのはが口をふさぐ
「ま、早く飯を食べよう。せっかくなのはが作ってくれたんだ。冷めないうちにな。」
「そうですね。」
4人とも椅子に座り、なのはが作った料理を食べて食後にケーキを堪能した。因みに今日のミレイスのお仕事は、そのケーキ販売の宣伝とケーキのお届けであった―――
――――――――――――――――――――――
――後日――
「おい、どうなってるんだコレは。」
「いや…自分もなんでこうなってるんか分からんのですけど。」
管理局でミレイスと部下が見ているのは、不審者情報のデータなのだが――
「これ明らかにアイツだろ。」
「ですよね。この頭って…」
手元のタブレットに映っているのは、メガーヌ宅に訪れたサンタ帽をかぶったバケツ頭の男
「ガルガンに仕事やったの誰だ……」
「多分、ハザークじゃないかと…これもう1軒来てますよ。」
スライドさせると、今度は干の形をした頭のマッチョマンが映っていた。
「これ、カーゲルだろ…何やってんだあいつ等…」
「――――――」
部下の一人が白目になって倒れそうになっているのを何とかしながら、ミレイスは目元を抑えながらため息を吐いた。
――不審者情報――
1件 メガーヌ・アルピーノ宅にて、筋肉ムキムキのマッチョマンで頭にバケツらしきものを被りながらサンタ帽を被っている男がケーキを届けに来たと報告が入っている。
2件 ティーダ・ランスター宅にて、同じような人物が二人ほど来たと報告が入っている。ただし頭が干と股間からリニアライフルを生やしていたとの事。
3件 収容中のジェイル・スカリエッティから、強烈な緑の発光した2足歩行したネズ ミが、食欲を失う程の緑色のケーキを届けに来たと報告が入った。内容物は青汁粉末などを大量に使用されたケーキだった。ケーキは甘いと思っていただろうが、あまりの苦みで泣いていたジェイルに見ていた監視員は爆笑だった。てかどうやってここに入ったんだ?(他の職員の報告)
「アイツら、マジでどうしてくれるんだ…」
ミレイスもケーキのお届け仕事をやったが、行き先はクイント家だったので通報はされてない。それどころか地球のサンタはロボットだと認識させてしまった。
この惨劇をどうするか、ミレイスは悩んだ結果―――放置することに決めた。
何があってこんなのを書いたんだ俺は…多分リア充にやられたんだ。そうに違いない。今回の話はIFとなります。こんなクリスマス編本編にはねぇから!!
あ、皆さん言うの忘れてました。メリークリスマス(遅い)ハッピーニューイヤー!!(早い)来年もよろしくお願いしま~す