真剣で俺の弟子になりなさい   作:トラクベルク

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今回の話は割とモチベーションをもって書くことが出来ました。

クリス初登場回です。


9話 クリスティアーネ フリードリヒ

学園の放課後、俺は河川敷で金髪の少女もとい同じクラスのクリスティアーネ フリードリヒと対峙していた。

今からこいつと試合を行う。

こうなったことにはちゃんと理由がある。

それは遡ること7時間前の出来事だった。

 

 

 

 

 

学校にて1限目の授業が終わり、授業の間にある休憩時間に少し気を抜いていた時

フリードリヒが俺のところに来た。

 

「林道!」

 

「なんだ?フリードリヒ。」

 

「放課後に自分と勝負してくれないか。」

 

「勝負?一体どういうことだ?」

 

「最近、犬が強くなっている理由はお前と特訓しているからと言っていた。」

 

犬?

特訓ということは一子のことを言っているのだろう。

犬とはひどい呼び方だな。

まぁ、フリードリヒも一子と同じ風間ファミリーらしいので公認の呼び方なのだろう。

 

「それで?一子が強くなっているのとフリードリヒが俺に勝負を挑むことの関係が分からないんだが。」

 

「モモ先輩と犬が認めたお前と手合わせがしたいのだ。」

 

「・・・組み手ならいいが、勝負なら断る。」

 

「なぜだ?」

 

「少し話を聞いただけだがお前は勝負を行う覚悟がないと感じた。」

 

「そんなことはない!!」

 

フリードリヒが大声で俺の発言に反発した。

そのせいでクラスの奴らが俺たちの方に目を向けてきた。

 

「この話は昼に場所を移して行おう。」

 

「・・・分かった。」

 

この休憩時間での会話はこれで終わった。

昼にまた続きを話すことにしたが面倒なことになりそうな気がした。

 

 

 

 

 

昼、俺とフリードリヒは屋上で休憩時間の続きを話し合うことにした。

場所以外に違うことがあるとすれば、この場に一子と百代と直江がいることだ。

 

「なんで、3人がいるんだ?」

 

「いいじゃないか。お前らが戦うのなら私も見てみたいしな。」

 

百代が笑顔で答えた。

 

「私も林道君と戦いたいのにクリに先越されたくないもの。」

 

一子がまっすぐ俺を見て答えた。

俺は一子の修業をたまに手伝ってはいるが一度も試合をしたことはない。

一子は勝負したいと言ってくるが俺はそれを断っているからだ。

 

「俺はクリスが暴走するのを防ぐために来た。」

 

直江は申し訳なさそうに言ってきた。

 

「自分は暴走したりなどしないぞ。」

 

フリードリヒは少し怒りながら言った。

 

「お前らがここにいる理由は分かった。だが、勝負を行うかは俺とフリードリヒの問題だ。そこに口出しはしないでもらいたい。」

 

「いいだろう。」

 

百代が俺の注意を了承し、後の2人はそれを肯定した。

 

「それで、自分に覚悟がないというのはどういうことだ!」

 

「急に大声を出すな。」

 

ちょっとびっくりするだろうが。

 

「覚悟がないというのはそのままの意味だ。」

 

「覚悟ならちゃんと自分はできている。」

 

「それはどんな覚悟だ?」

 

「もちろん、勝負を行う覚悟だ!」

 

「・・・分かった。お前との勝負を受けよう。」

 

俺は勝負を受けることにした。

フリードリヒが覚悟を持っているというなら、何も言うまい。

俺が言った覚悟とこいつのいう覚悟が同じかは分からないがそれを確認はしない。

もし違った場合は身をもって分かってもらおう。

別に俺はこいつの師ではないのだ。

勝負の前に懇切丁寧に説明をする必要はないのだから。

 

「うむ、感謝する。」

 

「試合を行う場所はお前が決めてくれ。」

 

「場所は河川敷でいいだろう。あそこなら人もそこまで来ないだろう。」

 

百代が河川敷を提案してきた。

人があまりいないところというのは色々と都合がいい。

 

「林道、一つ頼みがあるのだがいいか?」

 

「頼み?俺で聞けることなら構わない。」

 

「ファミリーの奴らにお前らの試合を見せたいのだ。」

 

「風間ファミリーにか?なぜだ?」

 

「私がお前に負けたとまだ完全には信じていないみたいでな。」

 

「確かにモロとかは半信半疑だな。」

 

「そのぐらいなら構わない。」

 

こいつらのファミリーならむやみやたらに試合の結果を言いふらしたりしないだろう。

こうして俺は、放課後に河川敷でフリードリヒと勝負することになった。

ちなみに俺が勝負を受けるといったときに一子が少しむくれていたが気にしないようにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、今に至る。

河川敷にレイピアを持ったフリードリヒと向かい合い、周りには風間ファミリーの面々がいる。

一人、見覚えのない帯刀している女子がいるがあの子も百代たちの仲間なのだろう。

一目見ただけだがあの子、百代の次に強い気を感じる。

 

「林道は武器は使わないのか?」

 

フリードリヒが武器を持っていない俺に質問してきた。

ちなみにフリードリヒのレイピアはレプリカで殺傷能力はない。

 

「俺は基本武器は使わないからな。」

 

「分かった。では、始めるか。」

 

「始める前に改めて確認だ。お前は勝負の覚悟があるといったがそれは今も変わらないか?」

 

「もちろんだ。」

 

「あいつなんで今さらあんな確認したんだ?」

 

「さぁ、自分がまだ出来ていないんじゃないの?」

 

外野の島津と師岡が話しているな。

師岡の発言に少し棘を感じるが今は気にしなくてもいいか。

 

「百代、審判は任せていいか?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、始めようか」

 

「分かった。」

 

俺は一度深呼吸をして、

 

「林道流 創始者 林道 春風」

 

俺の名乗りにフリードリヒはすぐには反応できずにいた。

しかし、少しの間の後に

 

「クリスティアーネ フリードリヒ」

 

「では、始め!!」

 

俺とフリードリヒの名乗りの後に百代の開始の合図

俺がこの世界に来てからの2度目の勝負が始まった。

 




次回はクリスとの戦いです。

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