フリードリヒとの勝負が始まり、俺が構えているところにフリードリヒが突っ込んできた。
「はぁ!」
フリードリヒは持っていたレイピアを横に振り攻撃してきた。
それを俺は後ろに飛んで避ける。
フリードリヒは避けた俺に追撃をかけてくる。
レイピアといってもレプリカなので当たれば痛い程度で済むのだが俺は追撃をかわしていく。
「クリス、さすがだね。」
傍から見たら一方的にクリスが攻撃しているため追いつめているように見えているのだろう。
師岡が勝負を見てそう言ったのが聞こえる。
「いや、林道はわざと攻撃していないんだ。」
それを聞いて、百代が訂正をした。
確かに俺は攻撃するつもりはまだない。
今はフリードリヒの実力を見ているのだ。
だが、あまりに単調的な攻撃の数々に外野の方に意識を向けている。
いい加減、反撃でもするか。
俺はフリードリヒが攻撃に使っているレイピアを気を纏わせた手で掴んだ。
「気突衝」
気突衝を使って俺はフリードリヒを吹き飛ばした。
レイピアはその形状から素早い連撃が可能だ。
しかし、フリードリヒレベルの動きなら集中させてなくても避けることが出来た。
決してフリードリヒが遅いわけではない。
百代に勝った俺とでは差がありすぎただけだ。
だから、あえて俺はこいつにある提案をした。
「負けを認めるか?フリードリヒ。」
「自分はまだ戦える!」
「そうかよ。」
勝負をしている最中に、これ以上棄権を進めるのは相手に失礼だな。
しかし、相手との力量差を理解して引くこともまた戦いだと俺は思うぞ。
「悪かったな。これからは全力で戦ってやるよ。」
「やはり、全力ではなかったか。」
俺は再度構えなおした。
フリードリヒも構えなおし、俺に向かって突撃してきた。
やはり動きは単調だ。
先ほどと同じように一度避けて反撃を行うか。
そう思ってフリードリヒの動きを見ているとフリードリヒは最初と同じようにレイピアを横に振る体制をとってきた。
俺はそれを見てまた後ろに避けようとしたが、違和感に気づいた。
先ほどに比べ、横斬りの速度が遅いのだ。
なるほど、罠か。
俺の思った通りフリードリヒは横斬りを途中で止め、突きに変えてきた。
俺が最初と同じように後ろに飛んでいたら避けるのが少し大変になっていただろう。
だが、突きに変える前に違和感に気づいた俺は難なくその攻撃を対処した。
具体的に言えば、突き出されたレイピアを気を纏った左手で掴んだ。
「なに!?」
それにはフリードリヒも驚いたようだ。
そして、その瞬間は絶好の攻撃タイミングである。
俺は右手をフリードリヒのお腹の前に出し、気を溜めた。
「林道流 爆気剛」
気を溜めた右手を爆発させた。
爆発といっても溜めていた気を一気に解き放っただけなのだが。
百代の人間爆弾みたいに自分へのダメージはない。
その分、威力はそちらより少し弱めだが。
「うわっ!」
急に爆発が起きたのだ。
フリードリヒは後ろに吹き飛んだ。
俺はそれを追いかけ追撃をかけにいく。
フリードリヒは飛んだ先で倒れずに片膝をついて耐えていた。
俺はその状態のフリードリヒの顔の前に手のひらを出し
「林道流 波裏掌底」
容赦なく一撃を与えていく。
これで倒れてくれると楽なのだが。
そんな俺の期待をよそにフリードリヒは立ち上がった。
一度、審判の百代に目をやると真剣な目をしていた。
まだ勝負は終わっていないということか。
俺から見たらフリードリヒは結構、ボロボロなのだが。
「ここまで・・・強い・・・とは。」
少し息を切らしながらフリードリヒは言った。
本来ならここで負けを認めるように勧めたいが一度勧めてわかった。
こいつは引き下がるような奴じゃないと。
「フリードリヒ、今度はこちらから行くぞ。」
俺はそういうとフリードリヒに向かって走った。
次の攻撃でこいつとの試合を終わらせる。
負けを認めないなら審判の百代に勝敗を明確にさせればいい。
俺が出した結論はとても簡単だ。
なにせ、俺が百代に勝った状況を真似するだけなのだから。
つまり、フリードリヒを気絶させればいい。
フリードリヒに向かっている最中、俺は両手に纏っている気の調整を行っていた。
理由はあまり傷つけずに気絶させるためだ。
力を込めすぎて大けがさせるわけにいかないのだ。
フリードリヒの近くまで行くとレイピアで迎撃を試みるが俺はすべて手で受け流し、フリードリヒの前に右手を出した。
「林道流 銃撃破」
この技は読んで字の如く、相手に銃弾を受けたような衝撃を与える技だ。
ダメージが蓄積したフリードリヒならこれで倒れるだろう。
俺の読みはあたり、フリードリヒは倒れた。
それを見て百代は
「勝者 林道」
正直、フリードリヒとの勝負は攻撃の対処より大けがを負わせないように力加減の調整をする方が大変だった。
もちろんそんなこと口が裂けても風間ファミリー、特にフリードリヒには言えないが。
そんな苦労を乗り越えて俺のこの世界2度目の戦いはまたしても白星となった。
この主人公が負けるイベントを作ることが出来るのだろうか…