真剣で俺の弟子になりなさい   作:トラクベルク

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この話、書くにあたってゲームの冒頭部分をやったらまゆっちがかわいくてつらい

※気の説明を少し修正しました。


11話 試合の覚悟と風間ファミリー

フリードリヒとの試合は敗者の気絶という幕引きで終わった。

 

「クリス!!」

 

師岡がそう言ったのを皮切りに直江たちは気絶しているクリスの元に走っていく。

その時、俺の横を走る師岡に負の感情を向けられた気がした。

ここはあいつらがいるし、俺はその場を去ろうと思い、フリードリヒたちとは逆の向きに足を向けた。

 

「おい、林道。どこに行くつもりだ?」

 

それに気づいた百代が声をかけてきた。

 

「お前らがいるんだ。俺がいたら空気が悪くなるだろ。」

 

仲間意識の高そうな椎名と師岡は特に。

さすがにこれは口には出さないが。

 

「そんなことない。お前は正々堂々闘い勝ったのだ。逃げなくてもいいだろ。」

 

百代の言葉を聞き、俺は風間ファミリーの面々を見た。

それに気づいた風間と一子は笑って返してくれた。

他のメンバーも明確な敵意を向けてきてはいない。

 

「…そうだな。せっかくだしもう少しここにいさせてもらおう。」

 

俺はフリードリヒと反対の方向に向けていた足を風間ファミリーの方に向けた。

そのまま倒れているフリードリヒに近づき、手の届くところまで行き、そのままフリードリヒに触ろうとした。

しかし、その前に腕を掴まれた。

掴んできたのは椎名だった。

 

「何する気?」

 

椎名の疑問も当然だ。

ここを離れようとしていた奴が戻ってフリードリヒに触れようとした。

どういうことだとここにいる奴は思うだろう。

 

「俺の技でフリードリヒを回復させて目を覚まさせようとしただけだ。こいつに危害を加えるつもりはない。」

 

「本当に?」

 

ちょっとした怒りが混じってるな。

 

「本当だ。試合の後に対戦相手をさらに傷つけるなんて俺は絶対にしない。信じてくれ。」

 

「…」

 

「…」

 

俺を含めて周りのメンバーは椎名の判断を待った。

その結果、俺の腕から手を放した。

そして、俺はフリードリヒのおでこに触った。

フリードリヒに自分の生命エネルギーを流し始める。

 

ここで気の説明を少ししよう。

気を簡単に説明すると生命エネルギーだ。

自分の生命エネルギーを人に分け与えればその人を回復させることが出来る。

だが、生命エネルギーはとても強いエネルギーだ。

当然、攻撃にも使用することが出来る。

百代が使っている気もおそらく俺と同じものであると思っている。

 

「うっ」

 

俺の生命エネルギーをもらってフリードリヒも目を覚ましたようだ。

 

「目が覚めたようだな。」

 

「林道?…そうか、自分は負けたのか。」

 

「そうだ。お前は負けて林道が勝った。」

 

百代から試合の結果を言われ、少し落ち込んだようだったがそれもすぐに終わった。

 

「林道。お前は強いな。ぜひ、また自分と手合わせしてくれ。」

 

「ああ、手合わせなら構わない。」

 

「ねーねー、林道君。」

 

「うん?どうした、一子?」

 

「結局、林道君が言っていた覚悟っていったい何だったの?」

 

「確かに自分も気になるぞ。」

 

「それはな、相手を負かす、どちらが強いかの優劣を明確にする覚悟だ。」

 

「「?」」

 

俺が答えたらフリードリヒも一子もよく分からなかったようだ。

それだけではなく、他の面々も分かっていないようだ。

まぁ、これは別に無理に分かってもらおうとは思っていないものなのだがな。

 

「まぁ、いずれ俺の言った意味が分かる時がくるだろう。ところで…」

 

俺は帯刀している女子の方をむいた。

 

「お前とは初対面だな。林道 春風だ。」

 

「わ、私は、黛 由紀恵と申します。]

 

「黛だな。よろし…」

 

「そして、俺は松風だぜ。」

 

「…うん?」

 

なんかこの子、突然馬のストラップ出して話し始めたんだけど。

 

「この子は松風です。」

 

「そ、そうか。」

 

俺はたまらず視線を外した。

外した視線の先には直江がいて、何とも言えない表情をしていた。

どうやら黛のこれは風間ファミリーで認知されているらしい。

 

「…さて、そろそろ俺は帰るぜ。」

 

「もう帰るのか?」

 

百代が訪ねてきた。

 

「なんというか、頭の処理が追いつかない出来事が一つあったんでな。」

 

俺はすこしだけ黛の方に視線を向ける。

黛はなぜ自分の方に視線が来るのか分からないようだ。

 

「フリードリヒ、お前が俺を超えるぐらい強くなるのを待ってるぞ。」

 

「むぅ…」

 

少し上から目線過ぎたか?

フリードリヒが不満そうな顔をしている。

だが、こう言っておけばむやみに俺に戦いを挑まんだろう、

 

「林道、行く前に聞かせてくれ。」

 

「なんだ?フリードリヒ」

 

「なぜ、お前は私のことをフリードリヒと呼ぶのだ。」

 

「…うん?」

 

投げかけられた質問は俺の予想だにしないものだった。

 

「実はいまだにフリードリヒと呼ばれるのは慣れないんだ。みんなはクリスと呼んできてくれるからな。」

 

「そういえば、林道は姉さんとワンコ以外は全員苗字だよな。」

 

追撃として直江が苗字読みなのを指摘してくる。

 

「百代と一子は同じ苗字だからな。後は特に苗字で呼んでも問題ないだろ?」

 

「だが、自分はクリスと呼んでほしいぞ。」

 

 

 

この後、別にフリードリヒでもいいだろと思う俺とクリスと呼ばれたいフリードリヒでひと悶着あり、結果は直江と風間の仲裁で俺がクリスと呼ぶということで決着した。

他のメンバーはクラスでも苗字で呼ばれているため変わらずそのままでもいいということになった。

 

別にいいがクリスが俺のことを林道と呼ぶのに自分はクリスと呼んでほしいとはいかがなものか。

そんなことはもちろん口にしないが。

 

 

こうして、クリスのせいで騒がしくなった一日が無事に終わったのだった。




次回からやっとクリスと書ける…

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