真剣で俺の弟子になりなさい   作:トラクベルク

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ゲームにうつつを抜かしていました・・・


15話 軍服の女

2-Sの滝川との決闘から3日が経った頃、あの日からやけに視線を感じる。

視線の正体は分かっている。

2-Sにいた軍服の女だ。

直江に話を聞いたらクリスの保護者的な存在らしい。

なんで俺がクリスの保護者から監視レベルの視線を向けられなければいけないのか…

クリスにそれとなく聞いても答えは得られなかった。

別にやましいことなどないがずっと監視されるのは嫌なのでそろそろ本人から理由を聞くとしよう。

 

 

 

そう決めた俺は学園の帰り道に近くの山に入った。

この山にはたまに修行に来るため、地形やほとんど人が来ないことは知っている。

ここなら軍服の女・マルギッテ エーベルバッハと問題なく話すことができるはずだ。

 

「おい、いつまでそこに隠れている。いい加減出てきたらどうだ。」

 

俺はエーベルバッハがいる方向を向いてそう言った。

 

「ほう、私がいることに気付いていましたか。」

 

「長時間見られていると嫌でも気付く。それで?俺を監視していた理由を聞かせてもらおうか。」

 

「お前がお嬢様に手を出そうとしているかを見ていたのだ。」

 

お嬢様ってクリスのことだよな

 

「手を出す?俺がクリスを?それはないな。」

 

「お嬢様には魅力がないとでも言いたいのですか?」

 

いきなりエーベルバッハがどこにしまっていたのかトンファーを出して構えた。

脅しのつもりなのだろうか。

 

「魅力がないとは言っていない。今の俺には色恋より修行の方が大事なだけだ。」

 

脅しもどきは全く怖くないがここは無難な返事でごまかすことにした。

 

「まぁいいでしょう。確かにあなたはお嬢様に手を出す素振りなど一切ありませんでしたから。」

 

そういって、エーベルバッハはトンファーをしまった。

 

「なら、もう俺の監視はやめてくれるか?」

 

「監視はやめましょう。ただし、警戒はしておきます。」

 

「警戒?俺のような1学生をなんで?」

 

「お嬢様だけでなく、百代にも勝ったと聞きました。それに数日前の試合の動き、警戒する理由には十分です。」

 

・・・なんでこいつは俺が百代に勝ったことを知っているんだ?

百代たちには箝口令を引いてもらって風間ファミリー以外は知らないはずだ。

・・・・・・クリスか

以前、クリスがエーベルバッハと話している姿を見たが、

エーベルバッハをマルさんと呼んでててかなり心を許していた。

うっかり漏らしてしまってもおかしくない気がする。

 

「一応聞くが俺が百代に勝ったことは誰かに言ったか?」

 

「お嬢様から内緒と言われたので誰にも言っていない。安心しなさい。」

 

「一安心だな。」

 

「なぜ、百代に勝ったことを周知しないのですか?周知すればあなたという存在を知らしめることが出来るのではないですか?」

 

「別に自分の強さを広めるのにもう興味はない。今はやりたいことは別にあるしな。」

 

それに世界最強の名はここに来る前にもう手に入れた。

 

「そうですか。」

 

「!?」

 

エーベルバッハが殺気を急に出してきた。

俺は殺気・・・いや闘気を感じ取り身構えてしまった。

 

「おい、なんのつもりだ?そんなに闘気を出してここで俺とやりあうつもりか?」

 

「川神 百代の代わりに私と戦いなさい。」

 

「学園の奴らは血の気が多いな・・・」

 

「さぁ、私と戦いなさい。」

 

エーベルバッハは久々に暴れたい、そういった感じに見える。

少しぐらいは相手になってやるか。

 

「逃げてつけられるのも面倒だ。受けてやろう。」

 

 

 

俺とエーベルバッハの戦いが始まった。

川神に来てからの戦いは相手が最初に仕掛けてきていた。

今回は俺から攻撃を仕掛けに行くとしよう。

 

俺はエーベルバッハに向かって走り、攻撃を仕掛ける。

拳と蹴りの連撃を出していくが、防がれている。

俺は徐々に連撃のスピードを上げていく。

相手が防ぎきれそうになくなってきたとき、反撃をしようと俺の腹部めがけ蹴りを入れようとしてきた。

俺は蹴りが入る前に後ろに飛んで避けた。

 

「やるな。」

 

「あなたこそさすが川神 百代に勝っただけのことはあります。」

 

軍服を着ているということはエーベルバッハは軍人なのだろう

さすが軍人という強さであった。

だが、トンファーを出していないあたりまだエーベルバッハは本気でないのだろう

なんで百代といい本気を出したがらないのだろうか。

・・・まぁ、俺も人のことは言えないのだが。

 

 

再度、エーベルバッハに向かって走り、攻撃を仕掛けようとする。

 

「先ほどと同じ戦法が私に通用すると思っているのですか!」

 

手を伸ばせばエーベルバッハに届くであろう距離まで行ったときに思い切り横に飛んだ。

横に飛んで着地のタイミングで足に気を巡らせ、そのままエーベルバッハに向かって飛び、蹴りを食らわせた。

足に気を巡らせたおかげで飛んだあとのスピードは普通より早くすることが出来た。

蹴りをくらったエーベルバッハはガードは間に合ったが俺とは反対の方に飛んでいく。

 

「川神 百代に勝っただけはありますね。」

 

吹っ飛んだ先でエーベルバッハは体制を立て直し、こちらを向いてそういった。

 

「一応、言っておくが百代に勝ったのはあいつが本気を出していなかったからだ。今のままでは全力を出した百代に俺はきっと勝てないだろう。」

 

百代のポテンシャルは計り知れないというのが俺の考えだ。

あいつが勝負というものに真剣に向かいあえば川神に来る前の俺以上になれるかもしれない。

 

「本気を出していないとはいえ、彼女に勝つことが出来る。それが問題だと知りなさい。」

 

言い終えてエーベルバッハは俺に近づき、攻撃を仕掛けてくる。

その攻撃を俺は防いでいく。

攻撃の連撃にあまり隙がない。

さすが軍人というところか。

隙が無いので無理やり攻撃と攻撃の間で反撃を行う。

その反撃をくらい、エーベルバッハは少し後ろに退いた

 

「くっ!」

 

「・・・一応聞くがまだ続けるか?これは正式な勝負ではない。これ以上続けても結果は見えていると思うが。」

 

「・・・あまり怪我をするとお嬢様が心配してしまいますね。」

 

これは続けないということでいいんだろうな。

俺の最初の目的は鬱憤がたまってそうなこいつの相手になること。

目的は達成したといえるだろう。

 

「では、続きはまたやりましょう。」

 

そういってエーベルバッハは俺から離れていった。

続きか・・・

近いうちにその続きを行うことになりそうだ

そう思って俺もこの場を後にした。

 




マルさんとの戦いは別のところでちゃんとやりたいのでこんな終わり方になってしまった。

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