真剣で俺の弟子になりなさい   作:トラクベルク

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16話 板垣三姉妹と釈迦堂

週末、俺は竜兵の相手をするということで竜兵の家に向かっていた。

相手をするだけならいつも通り親不孝通りでいいのだが、なんでも俺に家族を紹介したいらしい。

俺はいつから家族を紹介される程こいつと仲良くなったのだろうか。

 

「なぁ、竜兵。わざわざお前の家に行く必要なんてあるのか?別に俺はお前の家族なんかに興味はないんだが。」

 

「ちょっと試したいことがあるんだ。いいから来てくれ。」

 

試したい事とは一体何だろうか?

時期に分かるだろうと思い俺は考えることをやめた。

 

 

 

 

 

しばらくすると1軒の家が見えてきた。

あれが竜兵の家だろう。

気を張り巡らせてみると家の中には3人いるみたいだな。

もっとも3人はちょうど外に出るところだったらしく俺と竜兵と顔を合わせることになったのだが。

 

「竜、誰だいそいつ?」

 

「前に話しただろ?強いやつがいるって。」

 

「ああ、そんなこと言ってたね。」

 

目つきの鋭い女が竜兵と話し始めた。

他二人に目をやると身長が高いのんびりした女と好戦的そうな小さな女の子だった。

この3人の第一印象は色々ありすぎて最終的に竜兵とあんまり似ていないという結論に落ち着いた。

 

「今日は稽古だったか?」

 

「そうだよ~~」

 

「そいつはちょうどいい。春風、俺たちもついていくぞ。」

 

「それはいいが、全く状況が読み込めていない。そこの3人についてから教えてくれ。」

 

「まぁ、竜が気に入った奴だ。自己紹介ぐらいしてやるよ。」

 

目つきの鋭い女がそういった。

なんか少し上から言ってくるような気がしたが、俺より年上なのだろう気にしないでおこう。

 

「長女の板垣 亜巳」

 

「次女の板垣 辰子だよー。竜兵とは双子だよ。」

 

「ウチは板垣 天使(えんじぇる)

 

目つきの鋭い人が長女でのんびりしてる人が次女、小さいのが三女か。

最後だけ名前の付け方がおかしいとは思うが人の名前をとやかくいうのは好きではない。

触れずにいよう。

ていうか竜兵は双子だったのか。

色々と知らなかった事実が多すぎる。

 

「俺は林道 春風だ。」

 

「春風君か~なんか心地よさそうな名前だね~」

 

「たつ姉、そいつは春風というより嵐だぜ。」

 

「・・・」

 

ドスッ

 

「痛ッ!」

 

辰子が名前についてほめてくれたがそれを竜兵が訂正した

なんとなく気に障ったので小突いてやった。

 

「で、先ほど竜兵が言っていた稽古とは?」

 

「あ!いけね!早くいかねーと、師匠が待ってんだ!」

 

エンジェルがそう言って走り出していった。

師匠か。

こいつら誰かに稽古をつけて貰ってるみたいだな。

最初、竜兵は忘れていたようだし竜兵は教わってないとみて間違いないだろう。

 

「そういうことだ。竜と春風、ついてくるなら勝手に来な。」

 

俺は小突かれダメージを負った竜兵を引きづって、エンジェルを追いかけ始めた。

 

 

 

 

 

エンジェルを追いかけた結果、空き地に着いた。

そこには中年の男性がいたが気でわかる。

こいつは強いと。

こんなやつが教えているんだ。

板垣三姉妹は強いのが伺える。

 

「痛ぇよ!春風!いい加減放しやがれ!」

 

ずっと引きづっていた竜兵がいよいよ怒ってきた。

 

「ハハッ。竜兵。なんだそりゃぁ。新しい遊びか?」

 

「そんなわけあるか!」

 

「ヒヒ。で?竜兵をおもちゃにしているお前はなにもんだ?」

 

「俺は林道 春風。あんたは?」

 

「ヒヒ。俺は釈迦堂 刑部だ。そんな殺気立つなよ。」

 

殺気が漏れていたか。

この釈迦堂って男からは嫌な感じがして殺気を出してしまった。

 

「林道ねぇ…お前さんもしかして一子の言ってた林道か?」

 

「一子を知っているのか?あんた。」

 

「そりゃぁ、俺は元・川神院師範代だからな。」

 

「元?」

 

「色々あって破門されてな。」

 

破門…

これがこの男から感じた嫌な感じなのだろうか。

 

「ルーから聞いて会いに行ったが、一子も才能がないと言われたのによくやるよな。」

 

「…ああ、本当にそう思うよ。」

 

「なー師匠!早く稽古つけてくれよ!」

 

俺と釈迦堂が話しているのに痺れを切らしたエンジェルが割って入ってきた。

 

「あーそうだなぁ。」

 

エンジェルへの返事をした後、釈迦堂が俺を見てきた。

 

「なぁ。林道。一子から聞いたがお前さん、かなり強いらしいな。どうだ?手伝ってくれねーか?」

 

「手伝う?」

 

「実践稽古ってやつだ。こいつらは俺が素質を見込んで稽古をつけてるんだがそこまで実践をつんでなくてな。」

 

元とはいえ、川神院の師範代が素質を見込み、稽古をつけてもらっている奴らか…

興味があるな。

 

「竜兵、お前が試したい事っていうのはお前の姉妹と俺を戦わせることか?」

 

「ああ、そうだぜ。」

 

やはりそうだったか。

 

「釈迦堂、その提案受けよう。」

 

「ヒヒ。そうこないとねぇ。という訳だ。お前ら今日の稽古は一対一の実践稽古だ。」

 

「マジか!やりー」

 

「了解した。」

 

「ZZz…」

 

なんか一人寝てるんだが。

 

「で?最初は誰の相手をすればいいんだ?」

 

「そうだな。まずは亜巳からだ。」

 

最初は長女か。

稽古とはいえ、俺は気を引き締めた。

 

 

 




次は三姉妹一人一人の絡みが書ければいいなと思っています。

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