真剣で俺の弟子になりなさい   作:トラクベルク

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書こう書こうと思っていたらいつの間にかこんなに時間が空いてしまった。
本当に申し訳ない


17話 三姉妹との実戦稽古

板垣三姉妹との実戦形式の稽古を行うことになり、

まずは板垣 亜巳から相手をすることになった。

今思うとこの姉妹の実力はどの程度かは分からないが3人まとめて相手でも良かった気がした。

 

「手加減はしないよ。」

 

亜巳は棒を持ち構えた。

 

「棒術か。」

 

「ヒヒ。亜巳には棒術の素養があるからな。」

 

「素養か。ならその実力見せてもらおうか。」

 

俺は亜巳の方を見て構えた。

 

「言われなくても見せてやるさ!」

 

亜巳は俺に向かって前に出て、棒術の間合いに入ると棒を俺に向かい連続で突く。

それを俺は避けて反撃のタイミングを見る。

 

「姉ちゃん。そんな奴やっちまえー」

 

それを見ていた外野の三女、エンジェルが俺が押されているように見えたのだろう

野次を飛ばしている。

 

それにしても、この攻撃まだ隙はあるが大分洗礼された動きだな。

以前戦った、滝川も同じ長物の槍を使用していたがその練度は雲泥の差だ。

それに連撃も衰えなく続いている。

まだ数十秒の時間だが相当の鍛錬を行ってきたことが分かる。

 

「どうした?あたしの攻撃を避けるだけで精一杯かい?」

 

「…すまん。せっかくだからどんな攻撃をするか見たくてな。」

 

「なめるんじゃないよ!」

 

今の俺の発言が亜巳の気に触れたらしい。

攻撃がより激しくなる。

そろそろ反撃するか。

 

亜巳の突きは確かに早いが

突いた後、もう一度突くために棒を引く速さが少し遅い。

だから俺は棒を引くタイミングに一気に詰める。

亜巳は詰めた俺に突きを決めようとするがそれも避け、俺は攻撃を仕掛ける。

 

「林道流 波裏掌底」

 

掌底をくらわし、仰け反ったのを見て俺は気をまとわせた手で棒を持っている手にチョップする。

チョップを食らった亜巳は棒を落とした。

 

「そこまでだ!」

 

その瞬間、釈迦堂の稽古終了の声を上げた。

 

「あたいはまだやれる。」

 

「お前じゃそいつに勝てないのは分かったろ?それにこれは実践稽古だからな。これで終わりだ。」

 

それに亜巳は反抗したが釈迦堂はそれを聞いても終了の意思は変わらなかった。

 

「で?次はどっちだ?」

 

俺はそのやり取りを無視して次の相手を聞いた。

 

「辰子、次はお前行け。」

 

「はーい」

 

いつの間にか起きていた辰子が次の相手らしい。

俺は構えた。

 

「それじゃあ、行くよー」

 

辰子は両手を挙げてこちらに突っ込んできた。

…隙だらけというか直進的で早くもない避けるのは簡単だ。

 

「…」

 

罠かと思ったが近づいてきたところで体を横に避け、足を出して辰子を転ばせようとした。

 

「わっ!?」

 

まさか成功するとは思っていなかったが辰子は転んでしまった。

 

「痛いよー」

 

なんだろうか。

実戦形式として行っているのに俺に申し訳なさが出てきた。

 

「まぁ、お前はそうなっちまうよな。」

 

釈迦堂はこの結果を予想していたようでそのまま俺と辰子の実践形式の稽古は終わった。

 

「大丈夫か?」

 

俺はそのまま倒れている辰子に手を差し出した。

その手を辰子は掴み起き上がる。

 

「ありがとー。春風君優しいねー。」

 

「…普通の対応だと思うが。」

 

「どうだ?林道、辰子と戦ってみて。」

 

「あれは戦いにすらなっていなかったと思うが、そうだな…

 本気の辰子と戦ってみたいとは思った。」

 

「ほう。」

 

初めて三姉妹を見た時、気の流れでは辰子の力が高いのは確かなのにさっきの結果だ。

恐らく、辰子が本気で戦うのは何かきっかけのようなものが必要なのだろう。

 

「なー師匠、次はあたしだろ?早く始めさせてくれよ。」

 

姉二人の戦いを見ていたエンジェルが戦いたいと駄々をこね始めた。

 

「そうだな。林道、準備はいいか?」

 

「ああ、いつでも行ける。」

 

「なら、天。初めていいぞ。」

 

「あいよっ!」

 

釈迦堂からの許可が出てエンジェルがゴルフクラブを持った。

 

「ゴルフクラブか。確かに武器として使っても威力的に問題ないな。」

 

「へっ。じゃあ、行くぜ。」

 

ゴルフクラブを俺めがけて振り回す。

早さもあるが、動きが雑だ。

精錬された動きとは少し遠い。

 

「くっそーなんで当たらないんだよ。」

 

エンジェルが当たらないことに苛立ちを見せ、さらに大振りになる。

振り回すゴルフクラブの間をくぐる。

 

「林道流 波裏掌底」

 

亜巳の時と同様に掌底をくらわす。

 

「そこまでだ!」

 

また、釈迦堂から終了を告げられる。

 

「師匠、あたしはまだやれる!」

 

「そうだろうけど、今のお前が何度やっても林道には勝てねーよ。この実践稽古はお前達に何が足りないかを分からせるもんだからな。」

 

「足りないものを分からせるってなんだよ!」

 

「亜巳は棒の使い方がまだ甘い。天は攻撃が雑ってことだよ。」

 

…ここからは師匠からのダメ出しってところか。

俺は辰子を除く、三姉妹の実力を見ることが出来て満足できたし帰っても問題なさそうだな。

 

「釈迦堂、実践稽古も終わったし俺は帰るが問題ないか?」

 

「ああ。問題ないぜ。あんがとな。」

 

「いいさ。あんたに1つ貸しができたと思えば。」

 

「ヒヒッ、俺みてーなやつに貸し作ってもいいことなんてないぜ。」

 

正直、釈迦堂と知り合えたこと自体が今日一番の収穫だろう。

 

「おい、林道!今度はあたしが勝ってやる!」

 

エンジェルが俺に言ってきた。

 

「楽しみにしている。」

 

そういって、俺はその場を立ち去ろうとした。

 

「竜兵」

 

「あん。なんだよ。」

 

ドスッ

 

「痛っ!なにすんだよ!」

 

「お前ももう少し強くなる努力ぐらいしろ!」

 

妹のエンジェルが俺に勝つとか言っているのに竜兵の現状を見て、少しイラっときたので殴ってからこの場を去った。

 




次は一子の武道大会の予定です。

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