真剣で俺の弟子になりなさい   作:トラクベルク

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今回は戦闘のみです。
戦闘描写って難しいですね…




2話 川神流VS林道流

勢いで始まってしまった俺と川神 百代との勝負

正式な試合ということで本気で勝ちにいく。

攻撃の前に川神流とやらを少し見せてもらおう。

俺は手を前に出し、指先だけ手前に動かしてから元の位置に戻す。

これを3回繰り返した。

簡単にいえばかかってこいと挑発している訳だ。

 

 

「ほーう、私を挑発するか。面白い。」

 

百代が俺の挑発に乗って勢いよくこちらに突撃してきた。

 

「無双正拳突き」

 

近づいてきた百代から放たれたのは、無数の突き。

一瞬でかなりの数を打ち込んでくる。

俺はそれを気を纏わせた手で一つ一つ弾いていく。

確かに百代の拳は速く、一撃一撃が重いが俺にとってこのぐらいの速さは目で追えるし、反応も出来る。

重い拳も真正面からではなく拳の横をはじけばこちらに負担はかからない。

昔、基本的な攻撃も磨けば必殺の技になると言っていた奴のことを思い出した。

それほど百代の技は強いと感じたのだ。

 

「お姉さまの攻撃を全て弾いてるの?」

 

一子は俺か百代の攻撃を流していることに驚いているようだ。

百代はまだ若く、この段階この戦闘能力なら並大抵のやつには勝てるだろう。

一子は百代が勝ったところしか見たことないのだろう。

そんなやつの前で敗北を見せるのは忍びないが勝負と割りきってもらうしかない。

俺はまだ続けている百代の手をおもいっきり左右に弾いた。

それにより正面ががら空きになる。

 

「林道流 波裏掌底」

 

掌底を喰らわしつつ手に纏った気を衝撃波のように相手に与える技

ダメージはある程度与えただろう。

 

「いいぞ。やはりお前は強い。」

 

百代はすごい嬉しそうにそう言ってきた。

攻撃を喰らって笑うとかマゾなのかと考えてしまう。

もちろん、あれが強者と戦えたことへの喜びなのは分かっているが。

 

「ラッシュは流されたがこれはどうする?」

 

気を溜めているのか。

右手から強いエネルギーを感じる。

 

「かーわーかーみーは!!」

 

溜めたエネルギーを気砲のように撃ってきた。

気を溜めているのが分かっていたので、避けることが出来た。

 

「威力は申し分なさそうだな」

 

俺は避けた気砲を見て、呟いた。

 

「よそ見とは余裕だな。」

 

いつの間にか百代が近づいてきており、殴りかかってくる。

殴りに掛かってきた拳を受け止め、そのまま空いていた右足で思いっきり蹴飛ばし距離を離す。

そろそろ様子見は終わりとするか。

百代の様子を確認するとやはり笑っていた。

こいつはどれだけ強者との戦いに飢えていたんだ?

 

「お前はなぜさっきから笑っている?」

 

「そんなの楽しいからに決まっているだろう。」

 

俺の質問に当たり前のように返答してくる。

まるで子供のように純真だ。

 

「残念だな。もう楽しい時間は終わりだ。」

 

「それはすぐに私を倒すという意味か?」

 

「そうだ。」

 

「やってみろ!」

 

百代が突撃してきた。

最初のより速い。

やはり、全力を出していなかった。

正式な試合でなければ時間をかけて全力を見ていただろう。

 

「…気操冥躰」

 

これは体内の気を使って肉体を細胞レベルで活性化させる技だ。

簡単にいうと大幅に身体能力が強化されたというわけだ。

 

「無双正け…」

 

「遅い!」

 

百代が技を発動させる前に一気に間合いをつめる。

技がくる前にこちらから仕掛ける。

 

「林道流、気突衝」

 

手に纏わせた気を解放し、相手をただ吹き飛ばすだけの技。

もちろん、ダメージなどないに等しい。

大切なのは飛ばした後から相手に反撃させないこと。

 

技を喰らって吹き飛んだ百代はすぐに体制を建て直し、地面をけってこちらに向かってきた。

陸上選手のように前のめりでの突撃。

俺も百代に向かって走り、ぶつかりそうな所で百代の体の下に入り気を纏わせた手を百代のお腹に当てた。

 

「林道流、ハジキ」

 

相手の体内に気を打ち込み、身体の内側に衝撃を与える技だ。

これでダメージによってこいつも動きが鈍くなるだろう。

 

ガシッ!

 

「!?」

 

腕を捕まれた。

ハジキを喰らってすぐにそんなことをされるとは思っていなかったため、少々驚いてしまった。

 

「ようやく、捕まえたぞ。」

 

ここからこいつが何をするきか分からんが早く抜け出すことに越したことはないだろう。

 

「人間爆弾!」

 

逃げる間も無く百代の身体が爆発した。

当然、腕を捕まれている俺は爆発に巻き込まれた。

 

爆発後、すぐに百代は俺から距離を取った。

 

「なんてめちゃくちゃなものを実践で使いやがる。」

 

「大してダメージは受けていないか。」

 

腕を捕まれた瞬間から念のため、気の鎧を体に纏わせていたためそこまでのダメージはなかったといいたいところだが。爆発が早かったせいで鎧を完全に纏えなかった。

そのため、ダメージを結構もらってしまった。

だが、それは向こうも同じのはずだ。

何せ、爆発したのは百代自身。

身体を見ても、ボロボロで……

なぜか百代の身体から傷がなくなっている。

 

「瞬間回復、これで私のダメージはなくなった。」

 

「なるほどな。俺が勝つためにはお前が気絶するほどの一撃が必要ということか。」

 

「そうだ。」

 

時間が残り僅かだと言うのに面倒な条件を出されてしまった。

俺は次の一撃で決めることにした。

初めて俺から百代に向かって突撃を行う。

百代はそれを迎え撃つ構えをとる。

しかし、それは無駄に終わることになる。

俺が決めたハジキという技は相手の身体に気を打ち込む。

そして、その気は暫く技を喰らった奴の体内に留まる。

つまり、今あいつの中には俺の気が存在する。

もっといえばその気は小さな爆弾のように起爆のタイミングを待っている。

俺はその爆弾を爆発させた。

内側からの衝撃に百代は構えをといてしまった。

その隙に百代に最後の一撃を与える。

 

「林道流、冥空衝天破」

 

自分の気を相手の身体に衝撃波として打ち込む技だ。

ハジキと違い膨大な気が外側のみに衝撃をもたらす。

その衝撃は周りに風を吹き起こすほどだった。

これにより、さすがに百代も気絶した。

 

「一子」

 

「…え?」

 

どうやら、俺と百代の戦いを見て、自分の役割を忘れてしまったようだ。

 

「審判を頼んだはずだ。」

 

「あ、そうだった。えーと…勝者、林道くん。」

 

審判からの試合終了の宣言

これを聞いてやっと安心できる。

さて、そろそろ限界だ。

 

「一子、後は頼んだ…」

 

俺は一子に後のことを頼んで倒れた。

倒れるほどの疲労感の原因は分かっている。

俺が途中で使った気操冥躰だ。

気操冥躰は細胞レベルでの身体強化

今の俺の肉体では長いこと耐えることは出来なかった。

途中から限界が近いことは分かっていた。

今は体を酷使しただけなので暫く動けないだけだろう。

この戦いの目的の一つ、若返った肉体でどれ程動けるかの検証は果たすことができたのでそのぐらいのペナルティは受けるとしよう。

動けるようになったら鍛え直そうと決意して俺は意識を落とした。


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