真剣で俺の弟子になりなさい   作:トラクベルク

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今回は試合の後の話です。
これからの春風の生活を決めていきます。



3話 川神院での話し合い

目を開けると見覚えのない天井が映った。

ここはどこだ。

周りに気を巡らせて場所を確認する。

 

どうやらここは川神院のようだ。

一子と百代がいて、修行僧らしき気も感じる。

おそらく間違いないだろう。

百代との試合の後、倒れた俺を一子がここまで運んでくれたのだろうか。

いや、俺一人だけならともかく百代もいたんだ誰かに手伝って貰ったと考えるのが普通だろう。

まずは体を起こして一子の所までいくとしよう。

気を探れば迷うことなく着けるはずだ。

 

 

 

今の現状を説明すると簡単だ。

川神院総代と互いに座りながら向かい合っている。そしてめっちゃ見られてる。

意味が分からない。

一子の元に向かう途中に総代に会って、話がしたいと言われたので後を着いていったらこうなった。

百代を倒したことがお気に召さなかったのだろうか。

 

「ふむ、モモに勝っただけのことはあるのぅ。」

 

「そのことについて総代に聞きたいことが」

 

「なにかのう」

 

「川神 百代は確かに強い。だが、勝負を軽く見ている感じがしました。」

 

本来なら正式な勝負は覚悟をもって臨まなければならない。

それをあいつは俺が勝ちにいくといったのを聞いて迷わず勝負を行った。

それは俺が勝負を軽く見ていると思うのに十分なことだった。

 

「恐らく、川神 百代は自分が負けることを考えていない。」

 

「そうじゃ。だから、お前さんがモモに勝ったことには感謝しておる。これで気持ちを入れ換えてくれるきっかけになるかもしれんからのう。」

 

百代のように有望な武闘家が心を入れ換えて精進するのはいいことだ。

…少しじじ臭くなってきたか。

 

「ワシからも聞きたいこことがある。」

 

「なんですか?」

 

「お前さんのような強い武闘家なら噂ぐらい聞くはずじゃが聞いたことなくてのう。」

 

これは俺の素性を聞いているのか。

武神と言われている奴に勝ったんだ、当然といえば当然か。

さて、ここは正直にいうべきなのだろうか。

 

「俺は武者修行を行いながら世界中を旅していました。一人で修行はしてもあまり実践はしてきませんでした。それが原因でしょう。」

 

俺は本当のことをしゃべらなかった。

当然だ。

こんな話誰に言っても信じてもらえそうにないのだから。

 

「…ふむ、そういうことにしておくわい。」

 

深く聞いて来ないということはこちらの意図を読んでくれたみたいだ。

 

「ここには川神院という武道の総本山もあり、私の修行にもなります。しばらくはここらへんにいるのでまた、こちらに伺ってもよろしいでしょうか。」

 

ここは武闘家が多い。

生活が安定したら弟子をとることを考えたい。

そのためには川神院の協力があった方が色々と楽だ。

さて、俺のこの申し出をどう受けとる。

 

「見たところ一子と同じぐらいの歳じゃし、どうじゃ川神学園に通ってみないか?」

 

「…え?」

 

返ってきた内容は俺の想像を越えたものだった。

 

 

 

 

川神院総代兼川神学園校長川神 鉄心と話を進めていると俺が通うことで百代のモチベーションが上がるのではないかと考えているそうだ。

後、学費は払わなくていいとのこと。

その代わり百代が暴走したときは止めなければいけないらしい。

暴走の意味はよく分からないが…

そもそも払う金がないと言おうとしたらなぜか総代から俺のキャッシュカードを渡された。

どうも一子に渡したジャージのポケットに入っていたそうだ。

ますます、俺の置かれている状況が分からなくなってきた。

しかし、これで俺の当面の生活は大丈夫だ。

前の世界のものならば、8桁は入っている。

世界中の武道大会、護衛をしたりして結構な額を稼いでいたはずだ。

懸念となっていたことも解決したため、俺は総代の提案に乗ることにした。

 

 

 

総代、川神 鉄心との話を終えて俺は一子の元に来ていた。

 

「というわけで、俺は川神学園に通うことになった。」

 

同じ学園に通うという一子に一応報告を行う。

ただ、その場には百代もいた。

ちょうどいい。

百代には一つ言いたいことがあったのだ。

 

「つまり、お前にリベンジする機会がまだあるということだな。」

 

「そういうことになるな。それで提案なんだが百代、あの試合についてなるべく他言無用にしないか。」

 

「え?」

 

予想外に声を上げたのは一子だった。

 

「理由を聞いてもいいか?」

 

「俺が学生生活を送る上でそちらの方が好都合なんだ。」

 

百代に勝って他の奴から変な感情を向けられるよりただの編入生として生活した方が楽なのはいうまでもない。

それにあの試合は百代が勝負の重さを理解していなかった。

それなのに勝利を触れ回るようなことは俺はやりたくない。

 

「私はそれで構わない。ただし、条件がある。」

 

「なんだ?」

 

「私が更に強くなったらもう一度、正式な勝負をしてくれ。」

 

「もちろん。一子も他言無用で頼む。」

 

これでいい。

これであの勝負についてお互いに遺恨は残らないはずだ。

 

「えーと…、実はね…私、お姉さまと林道君との勝負について話しちゃったの。」

 

「…誰にだ?」

 

川神院の人間なら、鉄心さんに箝口令を引いてもらえばいい。

 

「大和達に…」

 

ヤマト…

聞いたことのない名前だ。

 

「それは誰だ?学園の奴か?」

 

「そう。お姉さまと林道君を運ぶのを手伝って貰ったの。」

 

なるほど。

こいつが俺と百代を運ぶのは一人では無理なのは分かっていた。

てっきり川神院の人間に手伝ってもらったものだと思っていたがそうではなかったらしい。

普通に考えれば確かに知り合いに頼むのが妥当だ。

 

「仕方がない。そいつらに誰にも言わない様にしてもらえるか?」

 

「分かった。私の方から行っておこう。大和達は私の仲間だ。何も問題は無いだろう。」

 

当事者の百代がいってくれれば話は円滑に進むだろう。

それにしても仲間か。

それなら箝口令を引くのは簡単かもしれない。

だが、仲間である百代を倒した俺をどう見てくるのか。

仲間意識とは時として厄介になりえる。

俺に対してその大和達はどんな感情を向けてくるのか。

それによって面倒なことにならなければいいが。

少し不安になりつつも今の俺にはどうすることもできずに成り行きに身を任せるしかなった。

 




春風の転移特典はキャッシュカードなんだよ、きっと。
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