今回は風間ファミリーから3人が登場します。
今日の授業も終わり、部活動に行くものさっさと帰るものと教室から人が減りだしていた。
とりあえず、クラスの奴等には一人一人挨拶みたいな感じで最低一言声をかけた。
問題児が多いというか個性的なやつが多い印象だ。
その中で一番気になるのは椎名 京だ。
大体、自分の席で本を読んでおり印象としてはおとなしい少女だが、あれは自分の中にちゃんと信念や揺るがない感情を持っているタイプだ。
そして、俺はその感情のどれかに触れてしまったのだろう。
でなければ自己紹介の段階で殺気など向けられないはずだ。
「なぁ、転校生。お前、世界を回ってたんだって。面白いとことかなかったのか?」
俺が自分の席で座って考えてたらバンダナを頭に巻いた奴が話しかけてきた。
確か風間 翔一といったか。
「旅は見聞と適応力を高める為にいっていたからな急に言われても出てこない。」
俺が旅をしていたのはこの世界に来る前だ。
こっちの世界ではやってないので適当にごまかす。
「そうか。なら、思い出したら教えてくれ。」
「分かった。」
「キャップ、帰ろうぜ」
風間はキャップと一部から呼ばれている。
帰ろうと誘ったのは直江 大和だ。
自己紹介の時に俺を観察するように見てきた奴だ。
「…やまと」
「呼んだか?」
俺が呟いた一言に直江が反応した。
「もしかして、俺を川神院まで運んでくれたのはお前か?」
一子が百代と俺を川神院まで運ぶのに手伝ってもらったといっていた。
その時に出た名前は確かやまとだったはずだ。
「ああ、そうだぜ。でも、すごいよな。まさかモモせ…」
「キャップ!」
風間が何か言おうとしたところで直江が止めに入った。
恐らく、百代が俺に負けたことを言おうとしたのだろう。
なるほど、風間もあの場にいたのか。
直江のあの反応で無事に箝口令が引かれているようで安心した。
「あの場所には他に誰がいたんだ?」
俺は他に誰がいたのかを聞いた。
そうした方が隠す上でも都合がいい。
そしてなにより、礼が言える。
「えーと、確か俺に大和にモロに岳人、後は京もいたな。」
5人か
この全員このクラスだと仮定すると
「他3人は師岡 卓也、島津 岳人、椎名 京で合ってるか?」
「おう。合ってるぜ。」
全員このクラスで良かった。
2人には明日、礼を言おう。
「風間、直江。川神院まで運んでくれて礼を言う。ありがとう。」
俺は席から立って頭を下げた。
誠意を見せる方法を俺はこれ以外に知らないのだ。
「いいっていいって。ワン子の頼みでもあったしな。」
「そう言ってもらえるとこちらとしても気が楽になる。後は…」
俺はそのまま、椎名の席に向かった。
椎名はまだ帰っておらず、座って本を読んでいた。
恐らく、直江達を待っているのだろう。
「椎名も運んでくれて礼を言う。ありがとう。」
椎名の席の前まで行き、先ほどと同じように頭を下げる。
「…」
何も返事が返ってこない。
礼の返事などを期待していた訳ではないためそのまま帰ろうかと思ったがどうせなら気になることを聞くとしよう。
「礼を言った後でどうかと思うが一つ聞かせてくれ。」
「…なに?」
「俺はお前に恨まれるようなことをやったのか?」
「…何で?」
「自己紹介の時にお前から殺気のようなものを感じたからな。」
「…気のせい」
確かに自己紹介以降こいつから俺に対して殺気は出ていない。
だからといって俺は気のせいで済ますつもりはない。
「俺の推測だが、俺が百代に勝ったことが気にくわないという認識で合っているか?」
「…」
椎名は答えない。
肯定の意味としてとっていいのだろうか?
「もしそうだとしたら、俺はお前に何も言うつもりはないし、謝ろうとも思わない。」
「…」
この会話は風間と直江も聞いているのだが二人は何も言わずにこちらの様子を伺っていた。
こいつらにも何か思うところがあるのか?
「あの試合は正式な試合だ。結果はどうあれそれについて謝罪するのは勝負にも百代にも失礼だと俺はは考えている。だから、謝ることはできない。」
「…そう。」
椎名はそのまま席を立ち、教室から出ていった。
「いやー、ひやひやしたぜ。」
出ていってすぐに風間が口を開いた。
「お前らの仲間だろ?追わなくていいのか?」
「京には前もってちゃんと話はしたから大丈夫だ。それに後でフォローもしておく。」
直江が言うには百代が倒れているのを見て、京は怒りを露にしたらしい。
その結果、俺に対して負の感情を持ったが直江の説得に応じて大人しくなったらしい。
だが、俺を見て抑えていた感情が出てしまったのだろう。
「お前らも俺に対して嫌悪感とかないのか?」
「最初はあったけど姉さんの話を聞いてだいぶなくなったよ。」
「姉さん?百代のことか?」
「ああ、俺は姉さんの弟分だからな。」
普通、弟分でも姉さんとは呼ばないのではないか?
あえてつっこむつもりはないが。
「それにしてもモモ先輩、目標が出来たって喜んでたよな。」
「試合の結果がバネになったようで安心した。」
これなら百代は更なる強さを手にいれることが出来るだろう。
俺も負けないようにこの身体での闘いに慣れなくてはいけないな。
学校で風間と直江と別れて俺は家に帰るため歩いていた。
途中まで一緒に帰るように誘われたがまだ、用事があるといって断った。
家に近づくに連れて人の気配がなくなっていく。
なぜならここは親不孝通りと呼ばれる不良のたまり場だからだ。
家を探す前にこの街を見て回っているときに見つけたが灯りも少なく、不良が集まるにはもってこいの場所だ。
初めて来たときは二人組の男に絡まれたが、黙らせた。
自分がこれから住む街ということで不良を更正までは言わないが悪さをしないようにするのが目標だ。
「お、春風じゃねーか。」
そんな目標を掲げたときに出会ったのが今、俺に話しかけてきた板垣 竜兵だ。
「竜兵。今日は何も悪さを働いてないだろうな?」
「やってたとしても言う義理はねーな。」
こいつはこの親不孝通りに集まる不良をある程度纏めている。
竜兵を見つけた時にこいつと闘うことになったが特に苦戦することもなく俺が勝った。
こういった奴等は力を見せると大人しくなりやすいのでそこからは楽だった。
結果、俺はこの通りで少し有名になることが出来た。
俺の名前が不良の抑止力となればいいのだが。
「言わなくてもいいが俺の目の届く範囲で何かやってみろ。やったことを後悔させてやる。」
「怖いねー」
竜兵と話しながら俺は親不孝通りにある家に帰った。
ちなみに竜兵はガチホモなので家に上がろうとしたのをボコボコにして追い返した。