モチベーションが上がる話と上がらない話の差が激しい・・・
和平交渉のため、俺と直江と委員長である甘粕は2-Sの教室を訪れていた。
ドアを開けて教室の中を見渡すとこちらを睨んでくるもの、興味を持たず勉強しているもの、小声でこちらの陰口を話しているものと歓迎されていないことだけは分かる。
「よく来てくださいました。2-Fの委員長」
そんな中でこちらに友好的に話してくれるものがいた。
この雰囲気を考えるととても意外だ。
ただ、そいつは俺たちではなく甘粕だけを見ているのが気になる所だ。
「ささ委員長、こちらの席へ」
「井上ちゃん、ありがとうございます。」
「井上、九鬼はいないのか?」
直江が井上と呼ばれるスキンヘッドの男に確認している。
九鬼と言う奴がどんな奴かは知らないが恐らく、このクラスの中でも重要な人物なのだろう。
「英雄は今日はまだ学校に来ていませんよ。」
井上ではなく肌が黒めの見た目優男のような男が入ってきた。
「直江。こいつは誰だ?」
「こいつは葵 冬馬。テストでは常に1位でSクラスの頭脳だ。」
「おやおや、大和君が僕のことをそこまで褒めてくれるとは嬉しいですね。」
「今日はよろしく頼むな。葵。」
「ええ。」
一応、挨拶はしたがなぜだろうか。
この葵という男は少し危険な感じがする。
この男だげではない。
なんか眼帯をつけた軍服の女もいるし、このクラスの奴らもFクラスに負けず劣らず個性豊かな人間がいるみたいだ。
軍服の女がこちらを睨んでいる気がするが気にしないでいいだろう。
「空気がまずいと思ったら山猿がおったわ」
不死川がまたこちらを煽るように話に入ってきた。
「さぁ、和平交渉を始めようか」
そんな不死川を無視して直江は和平交渉を始めようとした。
「こら、此方を無視するな!」
「和平交渉とは一体どのように行うのだ?」
俺も不死川を無視して話を進める。
「ふん、和平交渉などする必要ないわ。此方達Sクラスは優れた人間。山猿たちとなれ合う気などない。」
「そうだ。お前らと仲良くなんかできるか!」
不死川が言ったセリフに同調するようにさっきまで陰口を言っていた奴らが同じように煽ってきた。
和平交渉というからてっきりSクラスも和平の意思があると思っていたのだが違ったようだ。
こいつらにあるのは和平の意思じゃない。
Fクラスへの敵意だ。
今日、こいつらと和解するのは無理だと俺は判断した。
「フッハッハッハ。我、参上だ。」
なんかいきなり教室にテンションが高い男が入ってきた。
「さすが英雄様。見事な登場です!」
派手な男の次にはメイド服を着た女が入ってきた。
軍服の女もそうだが、あのメイドも学生の歳じゃない気がする。
それにメイド服の中に仕込み刀か何かしこんでいるな。
このクラスの方がFクラスより問題ある奴が多い気がするな。
「これは一子どののクラスメイトではないか。」
「英雄、彼らは和平交渉に来たのですよ。」
なるほど、この派手な男が先ほど話に出ていた九鬼という奴か。
「そうか。なら、Sクラスの学級委員である我が直接話をしてやろう。」
この男、話がいちいち上からだな。
そういえば、この世界で一番大きな会社も九鬼だったな。
もしかするとこいつはその会社の関係者か。
だとすればこの態度、傍にいるメイドも合点がいく。
「はい。では、みんなで仲良くなれる方法を話していきましょう。」
委員長が九鬼と話をし始めた。
本来ならここは黙って静観、もしくはうまく交渉ができるようにサポートするべきだろう。
だが、俺は。
「委員長。悪いがもう帰る時間だ。」
「え?まだ時間は大丈夫ですよ。」
「いいや、帰る時間だ。そうだろ?直江。」
「・・・そうだな、帰る時間だ。」
とっさに話を振ったが直江が俺と話を合わせてくれて助かった。
「貴重な時間を作ってもらってありがとな。」
俺はそう言って委員長を連れて直江とSクラスを後にした。
Fクラスへ向かう廊下で俺は怒られていた。
誰に?
もちろん、甘粕にだ。
「林道君、なんで話をする前に帰ろうなんて言うんですか。」
「あの場で話したところで事態は好転しないと思ったからだよ。」
九鬼が来て雰囲気は変わったが、ほとんどの奴がFクラスと仲良くなりたいなんて思っていない。
むしろ逆だ。
そんな状態での交渉は悪い方向に行く確率が高い。
なら、しない方がマシだ。
「だとしても、私に少しは相談してほしいです。」
「悪かったよ。」
俺にそう言って甘粕は先に戻っていった。
「直江、話を合わせてくれたこと礼をいう。」
「いいよ、別に。」
「お前なら意図を読み取ってくれると思った。」
「俺もこのままでは悪い方向に行くと思っていた。先に話を出してくれて助かったよ。」
Fクラスで直江は軍師・・・つまりは参謀に位置する人物という話は聞いていた。
そのおかげで迷わずに直江にSクラスを去るための嘘を振ることが出来た。
もし、直江が意図を理解せずに俺の発言を否定した場合、俺の中で直江は軍師という器ではないと判断しただろう。
「さて、俺らも教室に戻ろうぜ。」
直江が教室に戻るように言ってきた。
確かにいつまでも廊下にいるのもおかしいか。
「そうだな。」
俺と直江はいつもの面々がいる教室に戻った。
教室に戻っても俺の頭の中はしばらくSクラスのことでいっぱいだった。
どうすれば奴らとうまくやっていけるのだろうか。
一度、盛大に戦った方が好転するかもしれない。
答えが出なかったため俺は考えるのをやめた。
誤字の指摘をしていただいた方ありがとうございます。
あまり、書いた後見直さないのでおかしいところは教えていただけると嬉しいです。