やはり俺が346プロに所属するのはまちがっている。   作:巣羽流

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今回も名前付きのプロデューサーを出します。
キャラ崩壊注意。


5話

風も吹かない夏の夜は残り少ない俺の体力を容赦無く奪い去るような蒸し暑さだ。

額から汗が吹き出しながらも俺は目の前を歩く女性の後ろを歩いていた。

 

「あの…まだですか」

 

「もう少しよ!」

 

片桐さんが行きつけの居酒屋があるとかで現在向かっている。なんでも味もお酒も中々なのだが駅から離れているため客の入りが少なく、個室もあるため芸能人がこっそりと飲み会をするには最適な所だそうだ。

 

てかさっきからずっともう少しって聞いてる気がするんだが。事務所から近いって言ったくせにもうかなり歩いてる気がする。

 

もおやだー。駅からも俺の家からもどんどん遠ざかってるし帰るのも大変そうなんですが。

 

「ほら!あそこよ!」

 

「…あそこですか」

 

暗い郊外のなかにぽつんと一軒、赤いのれんと提灯をぶら下げた建物が一つ。それは異質でありながら周りの景色に馴染んでおり違和感を感じることは無かった。

 

「へえ」

 

「中々良さそうな所でしょ?」

 

「そうですね」

 

「もう入ってる人も居るし行きましょう」

 

「はい」

 

のれんを潜ると正に下町の居酒屋といった感じの和式テーブルやカウンターがあった。

未成年が考える居酒屋と言えばこうっ、といた内装だ。

 

酒には興味があまりないのだがこういう所に来ると何だかドキドキしてくる。俺も大人になったのだと感じる。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「こんばんは!皆もう来てる?」

 

「はい!奥の個室へどうぞ!」

 

バイトと思われる女性の案内で奥の個室へ向かうと六人掛けの座敷に二人の美女が座っていた。

 

「楓ちゃん!瑞樹ちゃん!おまたせ!」

 

「早苗ちゃん遅いわよー」

 

「ごめんごめん」

 

「それと…そちらの方が比企谷八幡君ね」

 

「ど、どうもはじめまして。比企谷八幡でしゅ」

 

「また噛んでる」

 

「ふふ…私は川島瑞樹よ。よろしく」

 

「高垣楓です。よろしくおねがいします」

 

「よろしくおねがいします」

 

二人とも俺ですら知ってる。美城プロが誇るトップアイドルだ。すげえスラッとしててなんつーか凄い。艶やかな雰囲気が凄い。

 

「ほら!ぼーっとしてないで早く座りなさい」

 

「あっはい」

 

やばいやばい見とれてしまっていた。

 

俺の隣は片桐さん、川島さんと高垣さんは向かい合う形で座った。

 

このテーブル凄い。美人多すぎだろ。

座銀でそういうお店入ったらいったいいくらになるのかしら。

 

「それにしても比企谷君ってイメージ通りね」

 

「そうですか?」

 

「ええ。私もあの映画見たけどはまり役よね」

 

「二作目も是非見てくださいね」

 

ちょっと川島さん。美人がそんなに見つめないでさいよ。緊張で口の中からっからなんですが。

 

「そう言えばあとどれくらい人来るんですか?」

 

ここに入ってからまだ注文する素振りもないところを見るとまだ誰か来るのだろう。

 

「あと一人よ。もうすぐ来るはずだけど…」

 

『いらっしゃいませ!』

 

「お、噂をしたら来たみたいね」

 

いらっしゃいませだけで断定とは…他のお客さんって選択肢は無いのかよ。ここのお店経営大丈夫かしら。

 

「おまたせしました」

 

個室のドアが開けられやたらと低い声が聞こえた。

 

そこには強面で推定2メートルの大男立っていた。

 

…でかくない?

 

「ほんと遅いわよ!とりあえずビールで武内君も良いかしら?」

 

「はい」

 

片桐さんが注文をし始めるとその大男はこちらをじっと見ると歩み寄ってくる。

 

えっ…ちょっ怖いんだけど。

た、助けて小町!

 

「はじめまして。私は美城プロダクションでプロデューサーを勤めております」

 

そういうと名刺を差し出してきた。

 

怖かったわ。ただの名刺交換かよ。

えっと…武内さん…て言うか。

 

「すみません。今名刺持ってなくて…僕は比企谷八幡っていいます。美城で俳優やってます」

 

「存じ上げてます。今後ご一緒することがありましたらよろしくおねがいします」

 

「こちらこそ」

 

なにこの人めちゃくちゃしっかりしてるじゃん。でもこの敬語が顔がにこりともしない事も相まってやたらと怖いけど。

 

失礼しますと武内さんは高垣さんの隣に座りビールも来たことでやっと飲み会が始まるようだ。

 

「それじゃあ皆!今日は早苗ちゃんと比企谷君のドラマ出演を祝って、乾杯!」

 

『乾杯!』

 

うえ…これがビール…苦いし不味い。

 

「ぷはー!やっぱりビールは美味しいわ!」

 

「今日は熱かったから余計に美味しいわね」

 

一気にジョッキの4分の3を飲み干すアイドル一同。武内さんは少し飲んだだけのようだ。

一方俺は恐ろしいのでちびっと一口飲んだだけ。

 

うぇ…まずい。よくこんなもの飲めるな…。

 

「これ不味いですよ」

 

「違うわよ比企谷君!ビールってのはね!味わずに一気にいくの!」

 

「い、一気すか?」

 

「ほら、ガバッとよガバッと!」

 

まじかよ…ええい、ままよ!

 

ぐいっと運動後の水を飲むように喉に流し込む。

 

「ぷはっ」

 

「どうよ?」

 

「…確かに少し良いです」

 

「でしょー!」

 

気が付いたらジョッキを空にしてしまうほど飲んでいた。喉乾いてたし気持ちが良いものは仕方無い。

 

「比企谷君、結構行けるじゃない」

 

「喉乾いてましたから」

 

「次はどうする?」

 

「甘いのとか無いですか?」

 

「じゃあ無難にチューハイね。大学生に人気だし飲みやすいわよ」

 

「じゃあそれで」

 

「すみませーん!レモンサワーとビール追加で!」

 

「私は芋をおねがい」

 

「私は冷酒をおねがいします」

 

アイドルのお姉さま方流石にお早いですね。  

ちなみに武内さんはまだ半分くらい残っている。

 

何だか少し頭がふわふわしてきた。酔いが回るってこんな感じか。

 

「そういえばプロデューサー、少し遅かったみたいですけどどうしたんですか?」

 

「実は警察の方に…」

 

「またなのね」

 

「職質ですか?」

 

「はい。こんな見た目ですから多くて」

 

「…俺も気持ち分かります」

 

「比企谷さん…」

 

武内さんはなんとも言えない表情でこちらを見てくる。

俺も職質常連だからな。なにもしてないのに話しかけてきやがって無駄な時間取られんだよほんと。

 

何だか腹が立ってきた。

 

「あれ酷いですよねほんと」

 

「まあ警察の方もそれが仕事ですし」

 

「だとしても俺たちなにもしてないのに足止めくらって…こっちの気持ちも考えてほしいです」

 

「でも仕方無いわよー。お姉さんでも君たち二人を見かけたら声かけちゃうもん」

 

けらけらと笑う片桐さんが何だか憎たらしくなってきた。まじギルティ。

 

「武内さん」

 

「はい」

 

「俺たちずっとこのままなんですかね」

 

「気を落とさないで下さい」

 

「ありがとうございます」

 

武内さんまじ優しい。高身長だしイケメンだな。

 

「これからもこういった事はあると思いますが頑張りましょう」

 

「はい」

 

二人で固い握手を結び未来へ向けて意気込む。

 

なんだか不思議な友情が芽生えた気がする。

これが仲間か…。

 

「なになに?二人ってもしかしてこっちなの?」

 

「ち、ちがいますよ」

 

「怪しいなぁ…」

 

川島さんもしかしなくても酔ってるな…。すでに焼酎3杯飲んでるし。片桐さんに至ってはジョッキ5杯目だ。

 

「比企谷君は女の子にもちゃんと興味あるわよ~」

 

「ほんとにー?」

 

「ほんとほんと。証拠見してあげるから瑞樹ちゃん比企谷君の隣に来て」

 

「わかったわ!」

 

ちょ、なぜそうなる。謎な席替えにより俺は片桐さんと川島さんに挟まれてしまった。

 

「ひーきがーや君!」

 

腕にむにゅっとした感覚が…。

 

「ってなにしてんすか片桐さん!」

 

「ほーら顔真っ赤になった!真っ赤になった!」

 

「ほんとねぇ…」

 

「ちょ近い近い良い香り近い!」

 

「照れちゃってかわいいのー!」

 

「さすが二十歳!初ね!」

 

「そろそろやめてくだしゃい」

 

「あははは!噛んだ噛んだ!」

 

「くぅ…なんなんだこの酔っぱらい」

 

「からかいがいあるのよこの子。瑞樹ちゃんもやってみる?」

 

「そうねぇ」

 

「川島さんは…そんなことしないですよね?」

 

これ以上はいけない。俺の精神衛生上よろしくない。

 

「ちょ、川島さん!?」

 

どんどん顔近くなるんですが。片桐さんとちがった良い臭いがまた…。

 

「ふぅ」

 

「うへぇ…」

 

耳は、耳はだめですよ。

 

「うへぇって!うへぇって!」

 

「あははは!かわいい!」

 

「…」

 

「あれ?拗ねちゃった?」

 

「拗ねてないです」

 

「なによー?こんな綺麗なお姉さんたちに囲まれて本当は嬉しいくせに」

 

「それについてはなんというかご馳走さまです」

 

「あははは!お酒飲むとずいぶん素直ね!」

 

「ほんとかわいいわね」 

 

「ね!からかいがいあるでしょ!」

 

「わかるわ!」

 

「…」

 

「まーた拗ねてる?」

 

「拗ねてないです」

 

「そんな分かりやすい膨れっ面でなにいってんのよ」

 

さすがにからかいすぎだ。俺の僅かにあるプライドに触れたぞ。

 

「美人に俺は慣れてないんですか取り乱すのは当たり前なんです」

 

「なになに?デレてるの?」

 

「ああもう、うるさいな」

 

「確かにからかいすぎたかもね」

 

態度が一転、急にしおらしくなる川島さん。

 

「本当にそうです」

 

「やりすぎゃった。ごめんね?」

 

「…」

 

「瑞樹さんも謝ってるし許してあげましょう?」

 

にこにこと日本酒を飲んでいた高垣さんもなぜかここで介入してきた。

 

「反省したわ。許してくれる?」

 

「許してあげましょう?」

 

なんというか…高垣さんと川島さんの声を聞くと心が落ち着くと言うか…安心する。 

 

「比企谷君…おねがい」

 

きっとこの二人にはこの先も敵わないだろう。

 

「…もう良いですよ」

 

「「…」」

 

「?」

 

「「かわいい」」

 

「見た見た?膨れっ面にそっぽ向いてもう良いですよっだって!完全に子供のそれよね!」

 

「二十歳って言うより比企谷君が初よね!」

 

俺を挟み二人けたけた笑いながらで大盛り上がり。

 

「仲直りしてお酒で皆しゅあわせ」

 

高垣さんはなんか駄洒落言ってにこにこしてるし。

 

あの二人最初はクールなお姉さんだったのに今は見る影もない。

 

「比企谷君!その顔写真とって良い?」

 

「みじゅきと初な者同士でツーショット撮りましょ!」

 

「比企谷君はあつかんはアカンでしたか?」

 

「…」

 

もうやだこの酔っぱらい達…。

 

 

 

 

 

 

 




思ったより長くなりそうなんでここで話を分けます。
たぶん続く。
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