IS<インフィニット・ストラトス>―Deus Ex Machina 作:ネコッテ
天井にフレスコ画が描かれた部屋。天使たちに見下ろされながら、一人の女性が鏡の前に立ち、その麗しい裸体を映し出している。ピアニストのような細い指先には二種類のドレス。片や純白、片や漆黒のドレスは、12月24日のために仕立てさせたものだ。それをモンタージュ写真のように大きな乳房の前を行ったり来たりさせている。
「ねえ、リサ。どちらがいいかしら」
ベッドの端に腰かけていた少女が、いじっていたスマフォの手を止め、顔を上げた。
「やっぱ、<
「あらそう?」とリリスは
鏡に映し出された彼女は、ゴシック調の黒が醸し出す仄暗さと、血のような赤髪が織りなす、倒錯的な美貌を放っていた。悪魔とまぐわい、率いた<リリス>の名にふさわしい色香がそこある。
「ママってば、ほんと綺麗よね~、見ているだけでゾクゾクしちゃう。ね、上げていい?」
カメラを向けたリサに、リリスは「めッ」と指を立てた。
「リサったら、なんでもネットにアップしようとするんだから」
「だってわたしの投稿、待っているフォロワーがいるんだもん。仕方ないじゃん。ママ、わたしのフォロワー数、何人か知らないっしょ? 400万人だからね、400万人」
「あらあら。すごいじゃない、さすがセラの娘ね」
セラ・ウェルキン。アメリカ有数のロビー活動<女性権利団体>の主催者だ。
その彼女が主催する団体の会員は約300万人から400万人。フォロワーは2000万人、支持企業は100を超える。父権社会のカウンターカルチャーを生み出した、いまやアメリカ大統領選の結果を左右するほどの有力団体である。
この<女性権利団体>がこれほど有力になれたのもまたSNS(社会性コミュニティ・ネットワーク)の力があった。
ネットワークの発達とそのサービスの普及は、主義主張を、いつ、どこからでも、発信できる社会にした。それは人々の<集合>を安易にした。人々が集まり、意思が集中すれば、そこに秩序や文化が生まれる。“女尊男卑”もそうやって生まれ、社会に波及した文化的模倣子。
“癒し”を求め、<集合>した女たちのコミュニティから生まれた“女尊男卑”は、デジタルネットワークを媒介に波及し、やがて現実社会の女性たちの行動や思考にも影響を及ぼしていった。
この表面化と増加が、同調圧力を生み出し、世界を“女尊男卑”へ変貌させていった。
そう、すべてはデジタル上のコミュニティから始まったこと。そして、それはいまもデジタル・ネットワークを波及し、氾濫し続けている。
だから“アレ”は破壊せねばならなかった。
ネットワークを監視し、デジタル情報を検閲する“アレ”を。
だが、論理的に無敵を誇る“アレ”を破壊するには、物理的な手段を用いるしかなかった。ゆえに<エクスカリバー>を使用したのだが――――その時、ノックの音が響いた。
「失礼します」
入ってきた人物はフォーマルなパンツルックに、メガネスタイルのビジネスウーマン。絵に書いたようなファミニスト系の女性だ。女性はリリスの下着姿を見て顔を赤くした。
「し、失礼しました。お着替え中とは……」
「かまわないわ。それでどうしたのかしらん?」
リリスが微笑むと、我に返った秘書は姿勢を正した。
「はい。欧州理事会を監視していた者から報告がありました。欧州理事会は<エクスカリバー>の破壊を決定したそうです」
EUが開発した<エクスカリバー>。それが制御不能に陥ったとき、EUは「破壊」と「奪還」で意見が対立した。イギリス、オランダを主体にした親NATO派は「奪還」、ドイツ、フランスの西欧派は「破壊」を主張。その紛糾の末、EUは<エクスカリバー>の破壊を決めたという。
「あらあら。反対派のイギリスはどうしたのかしらん?」
<エクスカリバー>破壊の時間を稼ぐため、イギリスに圧力をかけ、政治の意思決定を遅らせる工作を取らせていた。イギリスが反対を主張している間、「破壊」は行われない算段だったはず。
「イギリスが主張を覆したそうです。イギリスは表では反対を主張しながら、裏では<亡国機業>と通じ破壊を目論んでいたようです。その破壊が失敗したことを受け、表でも『反対』を主張できなくなったと考えられます」
「二枚舌外交だなんて、
他力本願だが、<亡国機業>の作戦に期待をしていたのだろう。
その期待が外れ、四の五の言っていられなくなった。
「で、EU軍の動きは?」
EU軍は<白騎士事件>を期に発足されたEUの常設軍だ。米軍にも匹敵する軍事力を有し、衛星を破壊することも不可能じゃない。
「海上から弾道ミサイルを<エクスカリバー>へ向けて発射するもようです」
REXより射出され<赤騎士>は、第一宇宙速度まで加速した。
自分の体重の何倍もの重力が襲い掛かり、表情がひきつる。さらに押し潰されるような重力加速度が脳への酸素供給を妨げて、私の視界を霞ませる。高度計と速度計がすさまじい速度で増えていくようすをほとんど確認できないまま、私は宇宙へ飛び出した。
《ハニー、重力圏の離脱を完了》
「了解。慣性航行から自立航行に変更します」
《Yes my honey――イナーシャルゼロ。VASIMRコントロール》
慣性に従って飛んでいた私は、PICで<赤騎士>を減速させた。次いで、<福音>の翼を開き、各部のアポジモーターを使って姿勢を作る。回転せず、一定の姿勢を作った私は、出てきた地球を見やった。
「これが、篠ノ之束が見せたかった景色」
<
篠ノ之束はこの景色を、世界をひとつにまとめる
かつてアメリカが、さまざまな人種が入り乱れる国をまとめあげるため<
『愛国心』という社会意識がアメリカという多民族国家をまとめ上げたように、篠ノ之束は『私たちは地球という家に生まれたひとつの家族だ』という社会意識を人々に持たせて、世界をひとつにまとめあげたかったのだろう。そのために<インフィニット・ストラトス>は生み出された。
いま、私は未来の扉の前に立ち、新たな時代を覗いているのだろう。
けれど、世界にはその扉を閉ざそうとする者がいる。私はそれを止めに行かなければならない。
「行きましょう、<レッドクイーン>」
《Yes my honey》
再攻撃まで一時間を切っている。これ以上、地球の壮大さに見とれている暇はない。
私は<赤騎士>を回頭させ、福音の翼を羽ばたかせた。
♡ ♣ ♤ ♦
地上。IS学園第二アリーナ。アリスが昇っていった空を、チェルシーは見上げた。
「本当に行ってしまわれるとは。大胆な御方です」
「大胆? いえ、違いますわ。大胆でもなければ、無鉄砲でもありません。彼女は一生懸命なのですわ」
どんな時でもあきらめず、最善を尽し、苦難に立ち向かう。その頑張りにたくさんの人が救われてきた。そして惹かれてきた。その者たちが、いまセシリアの許へと集う。
「チェルシー・ブランケット。ISを解除しろ」
鈴、シャルロット、ラウラたちは、チェルシーを取り囲むように位置を取った。
見える数だけでも10近いISがチェルシーを取り囲んでいる。
一対多数の戦闘に長けたチェルシーの機体でも、すべてを相手することはラウラから見ても不可能に思えた。しかし、チェルシーは掲げたブレードを捨てようとしなかった。最後まで戦う姿勢を見せるチェルシーに、セシリアもまた銃を取る。
「先生がた、ここはわたくしに任せてくれませんか」
メイドの不届きは、主人の不始末。責任を取って自分が彼女を倒す。
セシリアなりにけじめをつける気だった。
私闘ではなく集団による暴力を望む者もいたが、いずれにしろ、アリスが<エクスカリバー>を止められなければ、すべての行動は意味をなさない。司令官の千冬はセシリアの自由にさせることにした。
『オルコット、もうじきおまえの誕生日らしいな。16歳になれば、もう大人と言って差し支えない。だが、大人とは責任を果たせる人間のことだ。自分の責任を果たせ』
「はい」
『全員準警戒態勢で、待機だ。だれも彼女に手を出すな』
「感謝いたしますわ」
意思を汲んでくれた担任に礼を告げ、下がる鈴たちと入れ替わる形で前にでる。
「負けんじゃないわよ」と鈴の檄を背に浮け、セシリアはチェルシーと対峙した。
「ねえ、チェルシー、もうわたくしの許に帰ってきてくれないのですわね?」
「あの方を一人にはできません。ですが、お嬢様がこちらへこられることはできます」
「わたくしはいきません」
たとえ幼馴染と対立しても、仲間を裏切りたくなかった。だからこそ、チェルシーが戻ってこないこともよく理解できた。自分が戦う理由と、彼女が戦う理由は同じなのだ。自分が譲れないのなら、相手もまた譲れるわけがない。
「では、戦うしかありませんね」
チェルシーが両手に格闘兵装を持つ。セシリアも《スターライトMk-Ⅳ》を構えた。
「チェルシー、最後に教えてくださいな。お母様は何をお考えですの?」
「私に勝てたらお話ししましょう」
互いが鋭い眼光を交差させる。開始の合図は、破壊された<アフタヌーン・ブルー>の砲身が出した。ガタンと鳴った崩壊の軋音を合図に、チェルシーが肉薄する。セシリアは後方へ下がり射撃の間合いを確保した。
発砲。
放たれたレーザービームを、チェルシーは腰を落として躱し、さらに間合いを詰めた。
完璧な対射撃機動。相手はこちらの射線を読み切っている。
「やりますわね。いつのまにそれほどの実力を」
セシリアは《インターセプター》を使い、迫る剣先を受けとめながら感心した。
彼女の実力は、代表候補生の自分と比べても遜色ない。いや、それ以上だった。
「わたしはアリシアさまの剣としてお仕えすべく、ずっと研摩してまいりました。そう、エクシアを助けてくださったあのときから」
「お母様がエクシアを……?」
「はい、妹は重たい心臓病を患っておりました。そのため莫大な医療費が必要でした。社会福祉先進国であるイギリスとはいえ、戸籍がなければ医療福祉の援助は受けられません。母は死に物狂いで働いておりました。そして母が過労で亡くなった後、残された私たち姉妹を引き取り、医療費を工面してくださったのが、アリシアさまでした」
チェルシーは鍔迫り合いの接点をずらし、相手の力を受け流す。
つんのめった体勢を慌てて正すセシリア。チェルシーは「クス」と笑い、続けた。
「アリシアさまは、エクシアのために尽力してくださいました。再生医療への莫大な投資。万能細胞を用いた臓器の複製、移植。その臨床実験に必要な手続きと、各方面への働きかけ。いま妹が生きていられるのは、それらあってのことです。奥様がエクシアに割いてくださった労力と資金は、私などが一生働いても足りないものです」
「すべてはお母様への恩義のためだというのね」
「はい。妹も頂いた命をあの人のために使うと言っております。私もまたあの方に忠義を尽くす所存です。――さあ、話はここまでにいたしましょう」
言葉の終わりに、剣を構える。セシリアも倣って構え直してみたものの、格闘技術に大きな格差があることは否めなかった。格闘戦ではチェルシーが上手。この間合いで戦い続けているかぎり、自分に勝機はない。
(なんとか射撃の間合いを――――)
射撃戦に特化した<ブルー・ティアーズ>が性能を活かすには、射程がどうしても必要。
セシリアは機体を上昇させた。
そうはさせないとばかりにチェルシーが固定浮遊部位から剣状のビットを射出する。
(銃を構えるスキさえ与えてくれませんか……ッ)
背面から迫るソードビットを、回頭して《インターセプター》で打ち払う。
直後、バックパックユニットから爆炎が上がった。怯んだすきにチェルシーが畳みかける。セシリアは腰部のユニットを稼働させて迎撃のミサイルビットを放った。しかし、チェルシーはビットの信管が入る前に切り裂き、この迎撃を不発に終わらせる。
(くっ、幼馴染ひとり、満足に止められないとは)
彼女の行動はゆるぎない忠誠心に支えられている。言葉ではもう彼女を止められない。物理的な力だけが、彼女を止める唯一の方法。だが、その力が、いまの自分にない。それを痛感させられつつあった
「では、お嬢様、再びチェックです」
接近したチェルシーがブレードを振りかぶる。
セシリアの脳裏に敗北が過った。
自分が負けても、仲間が始末を付けてくれるだろう、と。――――けど、
(それじゃあまりにも情けない)
アリスは「自分がセシリアの有望さを証明する」と言ってくれた。そして、この世界のどこでもない場所に赴いた。自分のために身を粉にしてくれている。他ならぬ自分のために。そんな彼女が誇れるような友人でいたい。この想いだけはどうやってもゆずれない。ゆずりたくない。
「だから、お願い、力を貸して、<ブルー・ティアーズ>!!」
そう願った次の瞬間、<エーテリオン>がまばゆく発光した。
それと呼応して<ブルー・ティアーズ>からいくつもの蒼い光が飛び出していく。
「これは一体……」
突如として<ブルー・ティアーズ>から飛び出した無数の蒼い光線は、セシリアを中心に規則正しい周期で弧を描き始めていた。あたかも、セシリアという星を巡る衛星のように。その軌跡がアステロイドベルトのようにチェルシーの接近を拒む。たまらずチェルシーは飛び退いた。
「何がおこったの……、これは<フレキシブル>?」
意図せずチェルシーを退けたセシリアもまた当惑した。
けれど、<ブルー・ティアーズ>は何も語らない。ただ水を打ったような静かさを讃えるばかり。セシリアは頭上で輝く<エーテリオン>に気づき、ようやく理解に及んだ。
(ああ、そういうことですのね)
これは自分が求めていた“力”。――いや、それすら超えたものなのだ。
おそらくは開発者ですら想定していなかったであろう、その“力”にセシリアはこう名付けた。
「BTオービタル」
♡ ♣ ♤ ♦
青い光線を自らの
その光景がいつしかのティータイムを、チェルシーに思い出させる。
あれは、まだ自分がオルコット家の使用人として新人だった頃だ。
紅茶の準備をしていたら、急にカップの取っ手が壊れたことがあった。奥方が気に入っていたカップだったから、彼女は震えあがった。
チェルシーが恐る恐る、そして正直に申し出ると、セシリアは「きっと妖精のしわざですわ」と笑った。
最初は庇われたのだと思った。けれど、彼女の身の回りでは、たびたび不思議な事が起きた。食器が音を立てたり、戸棚が勝手に開いたり。家具や食器が物音を立てるたび、セシリアは「ダメよ」と嗜めていた。
セシリアには何か見えている。
もしかすると、それは妖精だったのかもしれない。
たとえ、そうでなくても、いまの彼女には<妖精女王>と呼ぶにふさわしい貫禄があった。
戯れるだけじゃない、従えるだけの貫禄が。
「お強くなられました」
泣くばかりだった少女から、優雅な女性に転身してみせた幼馴染に、チェルシーはようやく希望を見出すことができた。いまの彼女なら自分はきっと“本懐”を遂げられる。
「では、フィナーレとまいりましょう、お嬢様」
チェルシーは非固定浮遊部位から二基のソードビットを射出した。その一基を近接格闘の間合いへ侵入させる。すると、<ブルー・ティアーズ>を取り巻くBTレーザーがオービタル上を走り、それを退けた。すかさず、背後から二基目のソードビットを突貫させるが、これに対しても青い光は反応して弾き返してみせる。
(間合いに侵入した者を自動で迎撃する防御システム、ということでございましょうか)
これでは近接格闘の間合いに、身を置くことができない。チェルシーはしかたなく迎撃が働く範囲外へ後退した。それを待っていたとばかりに、セシリアが攻勢に転じる。
「踊りなさい。ブルーティアーズが奏でる
セシリアが翳した手を指揮者のように振り下ろす。すると、<ブルー・ティアーズ>の衛星軌道上を周回していたBTレーザーが
BT最大稼働状態で発生する<フレキシブル>。その上位制御<オービタル>を手に入れたセシリアにとって、<フレキシブル>の発生と制御はすでに問題ではなかった。
「土壇場での成長、さすがです、お嬢様。ですが、まだわたくしも引けません」
彼女の全力を引き出すこと。そして自分の持てる力をすべて出し切ること。
でなければ、“本懐”は得られない。
チェルシーは追っ手のBTレーザーを、ソードビットで防ぎ、策を企てた。
(<オービタル>はお嬢様が苦手とする近接格闘戦をカバーしてくる。こちらの優位は消えましたね。しかし、格闘武器しかないこちらにできることは、白兵戦を仕掛けることだけ)
そのためには、損傷を覚悟して、相手の懐に飛び込むしかない。
チェルシーは制御システムのコンソールを開いた。推進システムを選択し、制御関連のパネルを片っ端からタップしていく。スラスターのリミットを解除したチェルシーは、急降下を開始した。
チェルシーの覚悟を受け止めるように、セシリアもまた無数のレーザービームを自在に操り、チェルシーを迎え撃つ。
<オービタル>が動いてもチェルシーは止まらなかった。まるで“アステロイドベルト”を突き進むような困難さでも、チェルシーは無理を承知で突き進んだ。装甲の剥離、推進装置の熱暴走、多大な損害を被りながらも、チェルシーはレーザーの衛星群を突破し、手にした得物をセシリアに振るった。
(もらいました、お嬢様)
剣先がセシリアの頸筋を捉える。
だが、セシリアは微動だにしなかった。
(いいえ、わたくしの勝ちですわチェルシー)
いままさに剣先がセシリアを切り裂こうとしたとき、チェルシーの機体から爆炎が上がった。それを合図に酷使した機体が、足元から壊れ始めていく。剣先もまた目前の標的を切り裂く前に、地へ落ちていった。
すべてを賭して挑んでも、あと一歩のところで彼女へ届かなかった。
「参りました、お嬢様」
倒れ込むチェルシー。彼女の機体に戦えるだけの力はもう残っていなかった。
「いいえ、それはこちらのセリフですわ、チェルシー。見事でした」
セシリアがチェルシーを支える。そして、二人は互いを称えあうように微笑み合った。
許より互いに“敵”と“味方”に振り分けられただけの二人。そこに憎しみの類はない。あるのは、全力を出し合ったスポーツのような清々しさだけだった。
「これで“本懐”を遂げられます」
負けた。でも、チェルシーには何の悔しさも未練も感じられなかった。
「これがあなたの望みだったの?」
「はい。
だから、恩義と罪悪の狭間にいた彼女は、自分の全てを賭し、敗北することで、恩義に背くことなく、この戦いから逃れようとした。
「その相手に、私はお嬢様を選びました」
「なぜわたくしを――?」
「わかりません。理由があるとしたら、あなたが友達だからかもしれないわ、セシリア」
チェルシーはようやく表情をほころばせた。
セシリアもまた応じるように微笑みかえした。
「わたくしは、あなたの望みを叶えられたかしら」
「はい、私はやるべきことをやり切りました。あとは――」
「エクシアね」
「はい。あの子は別です。あの子は純粋にアリシア様のために戦っております。あの子は病院という、とても小さな世界で育ちました。友達のいない、あの子にとって、アリシア様が全てなのです。あの子が敗れなければ、本当の本懐は成し遂げられない」
「大丈夫ですわ。きっとアリスが止めてくれます。だって、彼女は誰よりもやさしくて。誰よりも強いですもの」
セシリアは空を仰ぐ。
アリスなら必ずエクシアを止めてくれる。そう、彼女ならば、と。
BTオービタルのモチーフは、スターゲイザーガンダムの「ヴォワチュールリュミエール」です。
ちなみに<ブルー・ティアーズ>のパッケージ<ストライクガンナー>もスターゲイザーがモチーフです。