でも、原作が完璧すぎるんだよなぁ。
初めまして。
私は風見幽香。
正確には、「風見幽香」の肉体を使っている者、と言った方が適切だろうか。
今居る世界が、「東方project」と呼ばれる幻想として語られる別世の記憶が。
前世、とでも言えば良いのか、私に付随していた記憶は完全なものではなかった。
記憶にある当時の私が幾つで、性別はどちらで、職柄はなんだったかなどは、綺麗さっぱり存在しない。
どんな人生だったかも定かではない朧気な持ち主自身の情報の替わりに詰め込まれていたのは、それ以外のもの。
エピソード記憶はなく、意味記憶のみを持ってこの世界に存在していた。
その知識に現在の私の姿「風見幽香」はいた。
東方projectに出てくるキャラの一人で、二つ名は四季のフラワーマスター。
純粋な妖力と身体能力で大妖怪とまで言われた存在。それが私。
荒涼とした大地に不自然にできた向日葵畑で寝ていたのが私の最初の記憶。
傍らには寄り添うようにして日傘が置いてあった。
その不思議な状況に茫然としていると青白い蛙に似た独特の容貌をした人型の生物、いわゆる半魚人やカエル人間のようなものが群れを成して近づいてきた。
「よぉー、ねぇーちゃん。これアンタの自在法か?」
「分からないわ。けど、雑魚が群れているのは見ていて気分が悪いわね。(自在法?何ですかそれは?)」
と、同時に体が動き出してその日傘を半魚人さん達へと向ける。
その日傘の先に「何らかの力」が流れていくのが分かる。
その力が形を成して鸚緑色のバスケットボールぐらいの大きさに固まる。
すると、その力は鸚緑の極光となって弾けた。
土煙が晴れると日傘の先にいた半魚人さん達の姿はきれいさっぱりなくなっており、代わりに私が放った極光の跡がくっきりと大地へと刻み込まれていた。
その傷跡から私へ「何らかの力」が流れ込んでくる。
(えぇー!「分からないです。」って答えようとしただけなのに!)
風に靡く黄緑色がかったウェーブのかかった髪の毛、白のブラウス、襟元には黄色いリボン、赤いチェックの上着とスカート。
日傘に先ほどの極光。
私の知識の中にその情報があった。
「東方project」の「風見幽香」そのものである。
なぜ「風見幽香」の身体でこの世界に誕生したのか、いや、それとも憑依したのか? どれだけ考えた所で行き着く先は結局――わからなかった。
だが、数多の異形(多分妖怪だと思われる)の犠牲のもと、私の意識はあるものの行動や言論の決定権は私にはないということが分かった。
この向日葵畑に近づいてくる妖怪と対話をしようとするたびに、先ほどもあったように行動や言論が「風見幽香」のように変化してしまい、外界とのコミュニケーションが全く取れない。
中には、極光を凌いだ妖怪もいたのだが拳や日傘による殴打により私の糧(妖力?)となってしまう。
最早、重度のコミュ症である。
そんなことを考えていると、体が勝手に動き出し鸚緑の極光をあらぬ方向へと放った。
『ほぅ、私に傷を負わせることができるのか。』
遠雷の轟くような声が響く。
視線の先には強大な四肢と強靱な肉体と見る物を畏怖させる角、夜空のごとく黒き皮膜の翼と灼眼を持つ巨人の姿をとった、漆黒を奥に秘めた灼熱の紅蓮の焔が佇んでいた。
(明らかに今までの雑魚とフォルムが違い過ぎるー!)
『私は「天罰神」天壌の劫火アラストールだ。貴様を裁きに来た。貴様は大した理由もなく多くの紅世の徒を殺めたな?』
「群れてるから虐めただけよ。(なんかいっぱい来るから体が勝手に動いただけですー!)」
『その言葉
「…」
『このまま生き続けてもろくな事にならない』
「さっきから黙って聞いていれば巫山戯たことばかり。自分は虐められないと高を括っているのかしら?(違います!私は悪くないです!悪いのは勝手に動くこの身体なんです!)」
『紅世の広さを知らないと見える。私が罰してやろう。』
その言葉と共にその口から灼熱の炎が放たれる。
私の身体は日傘を広げその攻撃を防ぐ。
私には火傷1つ負わせることのできなかった炎だが、後方の向日葵畑は無事では済まず全てが燃え尽き消されてしまった。
『私の攻撃を受けてもビクともしないのか。頑丈だな。』
「えぇ、この日傘は『世界で唯一枯れない花』だもの。(あぁー!後ろの向日葵畑がぁー!)」
『むむむ』
「落とし前付けてもらうわよ。(絶対許さない!)」
この炎の魔神との戦いは周囲の地形を変えながら体感で何十年と長い間続いたが決着は付かなかったため、特赦という形で落ち着くこととなった。
この戦いの中で、彼は『審判』と『断罪』の権能を持った神だということを知った。(東方の世界なんだからそこらへんに神様がいるのは当たり前だよね。神との勝負でも決着が付かないこの身体マジでハイスペック!)
彼の『断罪』に耐えたものなどこれまでおらず、それ故の特赦であるとのこと。その力は他の神をも消滅させうる力らしい。
私が妖力だと認識していた力は存在の力と呼ばれており、その力を使った特殊な力を自在法というのだという。
この戦闘の後、自在法なるものを使おうとしてみると、私の周囲に向日葵畑が生まれた。
原作通り私の能力は「花を操る程度の能力」みたいだ。
他のことに存在の力を使おうとしても、鸚緑の極光が現れるか、空中を移動する程度の大雑把な使い方しかできなかった。
そうやって力の使い方に慣れていきながら、向日葵の世話をしたり、時折現れる異形を鸚緑の極光で葬って過ごしていた。
そんな日々を過ごしているある日、体が勝手に動き出し鸚緑の極光をあらぬ方向へと放った。(デジャブ)
煙が晴れた先には巨大な黒い蛇が私の向日葵畑へと向かってきていた。
鸚緑の極光をほぼ無傷で耐える者はアラストール以来かもしれない。
この身体の
『「裁きたがり」から聞いていたが我らに仇なせるような力を持つ者が本当にいたとは。』
「へぇ、今度こそ『神殺し』してやろうじゃない。(あっ!炎の魔神の知り合いか!?また向日葵畑を荒らすようなら消してやる!)」
『なに、余は争いに来たわけではない。汝ら同朋達の願いを叶えるべく神という概念を創り、自ら神となった。汝も我らが同朋だ。故に汝の願いを聞き届けに来た。』
「私に神への祈りは無いわ。…あるとすればこの世界からの脱却よ。(そうですねー。願いと言われましても…あっ!私の能力でも向日葵しか出せないので他のお花も見たいです!)」
『ほぅ。この世界のほかに世界があると?』
「…あるわ。そこに私の求めているものがあるわ。(えっ!?世界?そんなの知らないですけど向日葵以外にも私の知識には沢山お花はありますよ?)」
『はっはっは!愉快だ!余もあずかり知らぬ世界を汝は知るのか!良かろう!神なる余がその希求を
「期待しないでおくわ。(なんでもいいけど向日葵以外のお花のお世話ができるならそれでいいです。)」
はっはっは!と心底愉快そうな声で黒い蛇はこの向日葵畑を後にする。
彼?は結局何がしたかったんだろう?
だが、私の花を操る程度の能力をもってしても咲かせることのできなかった向日葵以外のお花をこの荒野に咲かせることが出来たなら黒い蛇を益虫として置いてやってもよいか。
お疲れ様です。
バンドリで「緋色の空」が配信されたため懐かしさで書いてしまいました。
『灼眼のシャナ』は作者の唯一最終巻まで買った物語なので思い出深い一作です。
未読の方はご推奨できますし、アニメのみ視聴なされた方も原作を読んでみると三期のストーリー展開がよく分かるので是非ご一読して頂きたいです。
作者はDグレといいシャナといい『愛ゆえの対立』をテーマにした物語にめっぽう弱いんですよね。
最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m
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英雄と敵の二重生活
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『風見幽香』な私。
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『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
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個性:斬島