『風見幽香』な私。   作:毎日健康黒酢生活

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失った愛を成す者。

愛を知らぬ者に会う。

そんなお話。



愛の形

アラビア半島南部。

 

紅海の沿岸部にて赤道付近特有の強い日差しを受けながら2~5mの様々な大きさの樹木に木の葉の一枚一枚が宝玉の一断面のように輝き、その葉に隠れるようにして熟した濃い紫色の果実が花咲かせていた。

聖母のようにその一つ一つを慈しみ、愛でる女性がいた。

そして、その女性に声をかける影が1つ。

優雅な6枚の翼と細くも逞しい体躯を持ち棺を抱えた仮面を付ける青い天使の姿が。

彼はかつて契約者の『棺の織手』ティスと共に最古のフレイムヘイズとして最古の大戦に参加し、自在法『清なる棺』をもって彼女と相対したことがある。

過去の怨恨も無しに声を発する。

 

「何を見ているんだ?」

 

「花よ。一面満開よ。(こんにちはー。お花ですよ。)」

 

「私にはいちじくの木とその果実にしか見えない。」

 

「あら、見える物だけが真実ではなくてよ。(ふっふっふー。知らないようなので教えてあげましょう!)」

 

女性は青い天使に振り返り、その微笑をもって答える。

 

「この子たちはね。ひっそりと己が内にだけ花を咲かせて、その愛を他者に託して伝えていくの。(いちじくはパァッと花開くことは無くて、この実だと思われてるところの中に花が咲くんですよ!そして花の中にいる蜂に受粉を頼むんです。)」

 

濃い紫色の果実を愛おし気にその指先でなでる。

背後にいる青い天使のことを歯牙にもかけず、まるで母が内気な我が子を紹介するように語る。

 

「賢しらに見せびらかせないで愛を紡ぐ。これがこの子たちの愛。古来からずっと変わることのない物。(どうですかー?目立つ花は咲きませんが素敵だと思いませんか?)」

 

「…子を成す。それも一つの愛の形か。」

 

「そうね。寄り添うだけじゃなくて、その愛を次に伝えるのも愛よ。(そうです!樹木としては寿命は短いのですがその分一生懸命な子達なんですよ!)」

 

「…寄り添うだけでは無い…か。」

 

(ふっふっふー、最近はマイボディとのシンクロ率も上がってきて私の言いたいことが伝えられるようになってきましたね!※なお、ゆうかりん語訳で言葉の大筋は合ってるが様々に勘違いをされていることは知らない模様。)

などと、彼女が考えていることもつゆ知らず。

青い天使は失った過去に思いを馳せる。

 

(「アシズ様。とても不遜な夢を見てしまったのです。」)

 

幾千年が過ぎた今でも明瞭に思い出せるその光景。

 

愛しい娘。

 

彼女が生き返れば。

 

と、願っていた。

 

だが、『彼女』の願いは。

 

(「あなた様の子を授かり、ともに穏やかに暮らす、そんな夢です。」)

 

あぁ、その言葉に答えてやれず一笑に付した過去の己が愚かしい。

 

死者の蘇生は行き詰まっていた。

 

ならば、彼女の望みを叶えよう。

 

我が大願は―――!

 

「ふっはっは!『血染花』よ。礼を言わせてくれ。」

 

『彼女』を失って以来色を失ったように見えた空が己が炎の色、涙ぐましい鮮やかな淡青に見える。

翼を広げ飛び、その棺を大事そうに抱えながら己が炎を思うまま己の中に滾らせる。

想い人が最後の瞬間まで願っていたこと。

大切な思いを思い出させてくれた彼女に大願の宣誓と共に名乗りを上げる。

 

「我が名は『棺の織手』アシズ!

 我が大願は『彼女』と我の子。

 ―――『両界の嗣子』を生み出そう!」

 

そして、その掌を彼女に向けて差し出す。

 

「我が壮挙に手を貸してくれぬか?『血染花』よ。」

 

「…私は私だけでいい。上にも下にも、誰1人として要らないわ。(すいません。マイボディがテンション上がってぶち壊しにしてしまうかもしれないのでご遠慮します。)」

 

その返答にアシズは少し悲しそうな表情を見せて返事をする。

 

「…そうか。そなたの花たちに向けるその愛を誰かに捧げられる日が来るのを祈ろう。」

 

「余計なお世話よ。(えぇー!ぼっちじゃないです!お友達はお花と…蛇さんがいます!)」

 

その言葉と共に日傘を掲げ上空のアシズ目掛けて鸚緑の極光が弾ける。

極光を自在法『清なる棺』で防ぎ翼をはためかせて射程範囲から逃がれる。

そして、晴れ晴れしく快活に別れを告げる。

 

「因果の交差路でまた会おう!『血染花』よ!」

 

 

 

 

「…私は『私』よ。(ぼっちじゃないもん。)」

 

 

 

 

内心で泣いている風見幽香を残して。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

「お祭りは楽しむものだし、鉄は熱いうちに打て」ってばっちゃが言ってた。

原作「灼眼のシャナ」はとても素晴らしい作品なので拙作がそれを汚していると感じてしまった方は申し訳ありませんでした。
二次創作としても不完全かもしれない拙作ですが楽しんでいただけると嬉しいです。
皆さんの反響で「灼眼のシャナ」はまだまだ根強い人気があると思ったので作者が原作のX巻すごい好きなので映画化しないかなーなんて思ってます。

いちじくの花言葉は「子孫繁栄」、「実りある恋」。
花の話は豆知識にでも。
時系列は中世。
転換期に彼女は現れる。

「愛」って何なのでしょうね。

今後も拙作をよろしくお願いします。

最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m

  • 英雄と敵の二重生活
  • 『風見幽香』な私。
  • 『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
  • 個性:斬島
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