私は『私』。
咲く場所は自分で決める。
そんなお話。
ヒマラヤ山脈。
世界の屋根ともいわれるその場所。森林限界という言葉がある。その意味は通常の高木は条件により様々だが標高3000mでその厳しい環境により生育出来なくなり、条件が良ければ3800mまでは生育出来る。
そんな植物の限界を超えた標高4000mを超えたところに、その極限環境に対応して生育している草丈1.5mほどの植物が鮮やかに黄色く色づいていた。
優しくその植物を撫でる女性が1人。
その姿はまるで近所にお出かけに行くかのように軽装で、風が吹きすさぶ標高4000mの世界では酷く違和感しかなかった。
そして、その女性の背後からまたしても軽装な灰色のドレスを着た隻眼の麗しい女性が話しかける。
「…風見殿。ご健勝そうでなによりです。あなたの様々な武勇は天下に轟いています。」
「あら、久しぶりね。(お久しぶりですー。)」
しかし、その柔らかな言葉とは裏腹にその手は日傘を構えベルペオルへと向けられる。
苛立たし気なその表情からは明らかな不機嫌さが分かる。
「あなた、アタシが言ったことを違える気なの?(えっ!?ちょっとマイボディ暴走しないで!蛇さんの部下ですよ!)」
「図らずともその様になってしまったことは申し訳ありません。しかし、どうしても風見殿へ進言したくこの場に来ました。」
「知らないわ。」
その言葉と共に花の形を模した弾幕が1つベルペオルへと向かう。
宝具『タルタロス』を用いてその弾幕を防御し、膝をつき乞う。
「どうか、お聞き届けください。」
「…その一発で許してあげるわ。(やっとマイボディが止まってくれたー。)」
「はっ、感謝いたします。」
そして、ベルペオルは彼女へと恭しく進言する。
「風見殿の武勇は数知れずと言えど、その中でも一際輝く物は『天罰神』との数十年に及ぶ
「…私の汚点よ。(嫌な思い出です。マイボディが
「現在、『天罰神』は人間と契約し、討滅の道具として契約者『炎髪灼眼の討ち手』と共に現世へと降り立っています。」
その言葉にマイボディは反応し、一瞬だけ表情を愉悦、新しいおもちゃを見つけた子供のように綻ばせたがすぐさま不機嫌なものに変えた。
「所詮、
「私も討滅の道具を風見殿にご紹介しに来たわけではありません。『紅世の神』はその眷属を介して『神威召喚』を行えます。この度、欧州では徒の軍勢と討滅の道具が激しい戦争を繰り広げています。」
「…その先に『
「はっ、それ故に、風見殿におかれましてはこの度の大戦を我らの守護の下ご観覧を、と思いまして進言します。」
はぁ、と小さくため息をついて、マイボディは花を愛でるのに戻った。
この花はまさに高嶺の花。
この子たちの紹介をしたくなって蛇さんの部下に話しかける。
「この子達は何でこんな極限環境で花を咲かせていると思う?(厳しい環境なのになんでここで咲いてると思いますか?)」
「…外敵が少ないからでは?」
「違うわ。この子達はここが自分たちの居場所だからいるのよ。(ここがいいって言ってたんですよ。)」
「はぁ。」
「ふふふ、ある人間がこの美しさに感動して下界に持ち帰ったそうだけど、程なくしてその子は枯れたそうよ。」
「…。」
「私の咲く場所は『私』が決めるわ。(つまりですね。私は行きたくないんです。)」
「はっ、ご随意に。『タルタロス』の欠片を置きますので、咲く時期になったらお使いください。」
その言葉と共にベルペオルは立ち去る。
残されたのは荒涼とした山肌に輝く黄色い植物と対照的に色鮮やかな鸚緑と赤の女性のみであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この作品の投稿を始めて約1週間。
ご新規の読者様が増えて作者も予想外の出来事に歓喜しています。
別作品「英雄と敵の二重生活」の方がメインでございますので、ご一読いただけると嬉しいです。こちらはこの作品とは違いダークだけど、熱くなる展開をご用意しています。
今回登場した花は「チュラマ」。
標高4000mに咲く「天国に咲く花」ともいわれる花です。
話のモチーフはブラック・ジャックにあったお話。
時系列は中世の大戦中。
今後も拙作をよろしくお願いします。
最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m
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英雄と敵の二重生活
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『風見幽香』な私。
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『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
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個性:斬島