〜翌日〜
「ララー?どこ行ったのー?」
先程までひかる達と談笑していたのだが、目を離した隙にララが急にいなくなってしまった。
多分、プリキュアのこと話してたから拗ねちゃったんでしょ。大人とはいえ、こういう所はまだまだ子供だなあ。
そんなことを思いながら探し回っていると、自然の中にぽつんと建っている天文台?みたいな場所の近くにあるベンチに一人で座っている、見慣れた少女の姿がそこにはあった。
「何であの子がプリキュアルン…」
ララだった。
何かぶつぶつ言ってんですけど。やっぱり拗ねてたのか。
「っ!?……何だヘメラか、驚かさないでルン」
姿を気付かれただけで急に驚かれ、そして急にキレられる僕。
何か僕が悪いみたいになってるけど、自分で勝手に驚いたんじゃん。
そんな気持ちで溜め息を1つつきながら、ララの隣に座る。
「…そんなに気に入らない?ひかるがプリキュアになったこと」
「そ、そういう訳じゃないルン。ただ疑問に思っただけ」
まあ、0.00…いくつか忘れたけど、ララもひかるも同じ超低い確率なのにひかるだけプリキュアになって自分だけならないってことが気に入らないってのは、分からなくもない。
「いい眺めでしょ?」
「「ルン!?」」
やばい、誰かに僕らの姿見られた…!?
ていうか、今ララの語尾移ったの結構恥ずかしい…聞かれてないよね。
「おや、お二人は外国人かな?」
「えっ、そ、そうですね。良い景色です」
早めにララを見つけられて良かったな。
この子1人だったら絶対パニクってどっか逃げ出してたと思う。
「あっ、遼じい」
「おや、ひかる。この子達はひかるの知り合いかね?」
「うん、宇宙から「おい」えっ、あー違う違う。全然宇宙人じゃなくって、私の友達」
「そうかそうか。それじゃごゆっくり」
危ない、バレる所だった…。
口滑るんじゃないかって薄々感じてたら本当に言いかけたよ。
「……ハァ、何であなたがプリキュアルン」
「えっ?」
「データを分析しても分からないルン。フワと一緒にいた時間なら私のほうが長いのに……」
「ねぇ、ララちゃんもプリキュアになりたいの?」
「なりたいからってなれるものじゃないルン」
「なりたいならさ、なればいいんだよ。プリキュアに」
なりたいならなればいい。
それはデータで物事を決めるララとは真逆の考えだった。
「データの示した確率は絶望的ルン」
「データって?」
「過去の出来事から出す統計ルン。データは絶対ルン」
「そうかな?過去と比べてもこれから何が起こるかなんて、わからないし。私は私だし、ララちゃんはララちゃんだよ」
やってもないのに、決めつけるのは良くない。
おにぎりの時もそうだったな。美味しくないと決めつけてたけど、いざ食べてみたら美味しかった。
つまり、試さなければ本当になれるか否かなんて分からない。ララはそれに気付かれるかどうか…。
「…っ!下がって…!」
「今度こそ、そいつを渡してもらうぞ」
「誰!?」
何か気配を感じ、咄嗟に干将と莫耶を投影する。
付近から先日も聞いたような声が聞こえ、辺りを見回すと、空から見覚えのある人物がこちらに向かって飛んでくる。それを僕は受け止める。
「水も滴るいい男、カッパード参上!!」
「また斬られに来たのかなあ?何度来ようが同じだよ!」
「ラッキーは二度は続かんと言ったはずだ!昨日のようには行かんぞ!」
「私も一緒に戦うよ!」
スターカラーペンダント!カラーチャージ!
そう唱えながらペンダントにペンを差し込むひかる。
そして、歌いながら自分の容姿や風格を変えていった。
本当に「スタートゥインク〜ル〜♪」とか言って歌ってるよ。しかも意外と上手いし。
「宇宙に輝くキラキラ星!キュアスター!」
「…めっちゃ楽しそうに歌ってたね」
「こ、これでも結構恥ずかしいの!」
マジか、恥じらいあったんだ。
それはそうと、流石に前回と同じって訳にはいかないだろう、相手も学習しているはずだ。
「お前達は同時に仕留めてやる…やれ!」
カッパードの指示により、ノットレイは応え戦闘態勢に入った。
キュアスターの攻撃で一掃しているが、中々にしぶとい奴等だと推測する。
スターの攻撃範囲は広いから、僕はカッパードを足止めすれば良いか。
「取り敢えず、ララはフワ達をお願い」
「ル、ルン!」
ララは即座に僕達から離れて逃げようとする、が
「逃がさん!」
僕達がノットレイに集中している隙に回り込まれてしまった。
「渡さないって言ってるでしょうが!」
レーザーブレードを振りかざすと同時に僕は莫耶をブーメランのように投げ、干将の磁力で瞬間移動し食い止める。
だが、その瞬間に事態は起こった。
「うわぁ!」
僕が瞬間移動した際の翼の風圧によって足を滑らせて、そのまま滑り落ちていってしまったのだ。
カッパードもそれに続いて追いかけようとするも、僕とスターが必死に食い止める。
ここで、スターがあることを口にした。
「ララちゃん、プリキュアに……なって!」
「えっ……無理ルン。データ的に見ても」
「またデータデータって……プリキュアになりたいんでしょ!?だったら、思い描いて!なりたい自分をさ!」
「ララちゃん、できないなんて決めつけはなしだよ!」
僕達の言葉によって、ララは身体を震わせていた。
データに囚われながらも、今は必死に思い描こうとしているのだろう。
「私は……フワを、守りたい!」
「フワ……」
「私の力で…プリキュアになるルン!!」
ララが願った瞬間、まばゆい光と共にペンとペンダントが現れた。
「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」
ララはペンダントにペンを差し込み、スターと同じように歌いながら、ついにプリキュアに変身することが出来た。
「天にあまねくミルキーウェイ!キュアミルキー!」
…変身する時って歌わなきゃダメなの?それとも気付かない間に歌ってたってやつ?
とにかく、ララがキュアミルキーとして変身出来たという1つの件は万事解決した。
「私、プリキュアに……」
「馬鹿な…ノットレイ、まずはキュアミルキーから始末しろ!」
ノットレイがミルキーに襲いかかるが、ミルキーはセンサーから電撃を放ち、ノットレイを痺れさせる。
あの触角、戦闘用だったんだ…。しかも電撃とか恐ろしいな。
「私、凄いルン」
「ありえん!奇跡が二度も起こるなんて」
「二度じゃないルン。昨日は星奈ひかるとヘメラの奇跡。今日の奇跡は私の奇跡ルン」
「ならば終わらせてやる!カッパード・ストライク!」
頭の皿から強力な水を放ち、それをレーザーブレードに纏わせ攻撃する技だろう。
だが、ミルキーは攻撃を避け
「プリキュア・ミルキーショック!」
電気エネルギーを星形センサーに溜め、強力な電撃を放つ。カッパードは既の所で避けるが、ダメージを喰らったのだろうか、肩を抑えていた。
「濡れた体に電撃は堪える」
カッパードはそう言って、ノットレイ毎姿を消した。今回も僕らの勝ちってことだよね?
「良かった〜、ララちゃんならプリキュアになれると思ってたよ!」
「私は私と言ったけど、違うルン。星奈ひかる、貴女がなれたから私もなれる気がしたルン」
ララから悩みが消えたおかげで、笑顔を取り戻せたみたいだ。
仲間の悩みを解決するのって、こっちまで清々しい気分になるものなんだな。僕も今は気分が良い。
そんなこんなでロケットへと戻る時、
「えっ、何これ!?」
ひかるの持つスターカラーペンダントから音が鳴り響いていた。
しかし、その音はほんの一瞬だけですぐに消えてしまった…
如何でしたでしょうか?
そういえば気がつけばGWも残り半分になったのかな?長いようで短いですよね…。
何かの番組で歳を重ねる度に1年が早く感じてしまうとか言っていたんですが、年配の方だと光の速さの感覚なんでしょうね、年取りたくない…。
さて、次回は喧嘩回の予定です。この回で初めてララちゃんが可愛いと感じました…!
それではまた次回!令和になってもよろしくお願いします!