しばらくして、何故かペンダント探しから巨大ホタル探しへと路線変更した訳だが、2人の仲は未だ良くならず、というか更に悪化していた。
「何でこんな山奥まで来て、ホタルっていうの探さないといけないルン…?遊んでる場合じゃないルン!」
「遊んでないし!ていうか、一緒に来てって頼んでないじゃん!」
「ペンダントのデータを集めたいルン、だから一緒に来てるだけルン!」
「ちょっと待ってって言ってんじゃん…!」
口喧嘩するにつれて、2人の歩く速度が早歩きしなければ追いつかないほどに速くなっていく。
次第に、僕のイライラした感情も抑えきれなくなってきている。
「ララちゃんの分からず屋!」
「星奈ひかる、自分勝手過ぎるルン!」
……もう止めて。
「…地球人の考えてることは、分からないルン」
……止めろ。
「…もういいよ。ララちゃんなんか、大嫌「ひかる!!!」っ!?」
「次その言葉言ったら許さないから!!」
大嫌い。
それは宇宙で、世の中で最も相手に傷を負わせる言葉。
そんな言葉を使おうとする奴は許したくない。だから、今のひかるは許せないでいた。
「ララも分析分析って、ひかるの話も聞かないで自分勝手に行動しないでよ!えれなさんも言ってたよね、まずは相手の話を聞くって!プルンスもフワも困ってんじゃん!周りの気持もちゃんと考えて「怒っちゃダメフワ〜!」……フワ?」
「喧嘩しちゃダメフワ…仲良くフワ〜…!」
…ああ、そうか。
僕はただ喧嘩を止めようとした。だが、結局自分の感情を抑えきれずにいつの間にか周りの空気をさらに悪くしようとしていたらしい。
フワが止めていなければ喧嘩を更に悪化していた。周りを巻き込むようなことをしていた。
取り敢えず、ベンチに座ってゆっくり話し合うことにする。
「実はね、向きを変えたりしてたらペンダントから音がしたんだ」
「えっ?どうしてそれを先に言わなかったルン?」
「言おうとしたけど…」
分析に夢中で聞いてなかった。
そうと分かったララは、申し訳なさそうに俯く。
「何で音が出るか分からないし、なんかヒントがないかなって。商店街のスタードーナツに行ったの、色んな噂が集まるお店だから。そしたら、巨大ホタルの話が出たから、何か手掛かりになるかなって思って…」
ひかるはちゃんと考えて行動してたんだな。
ただ趣味のために寄り道をしたと思っていた自分が馬鹿馬鹿しい。
「プリンセスの力ってのは、蛍みたいに光るペンで出来てて、そのペンダントは向きを変えてペンを探すレーダーってことだね。一回かざしてみたら、また何か起こるかも」
それを聞いてひかるは、ペンダントを水平に持ってかざしてみる。
\ピカリン/
「早っ!もう見つかったの!?」
僅か数秒で音が鳴り響いた。
ペンダントを指す方向へと視線を送ると、光に包まれた何かが視界に入った。
恐らく、あれが例の光るペンだろう。僕達は反応を示した場所へと駆け出していく。
それにしても、こんなあっさり取れるなんてね。
宇宙のそこら中に散らばったってことだから、もっと時間かかると思ってたけど…。
そんなこんなで目的地へと辿り着けば、ひかるが即座に拾いに行く。
が、瞬間誰かに奪い取られてしまう。
「ノットレイ!?(ルン!?)」
奪った人物は案の定、ノットレイだった。
奴はペンを持って、すぐに逃げ出したので僕らは追いかけていく。
すると、いつの間にか大量のノットレイと天狗みたいな敵幹部に囲まれていた。
「やはり来たわね、プリキュア。そしてその隣の子がカッパードのライバル候補…って何よ、あいつあんな子供にやられた訳?」
…あの、また子供扱いされたんだけど、僕ってそんなに馬鹿にされる人物なの?
まぁ正直どうだっていいけど、取り敢えず下っぱの数が今までの比じゃないな。かなり警戒されているというところか。
「プリンセスの力は返してもらうよ!」
「「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」」
いつも通りに歌いながらプリキュアに変身する2人。
自然なのかは知らないが、とても笑顔で変身してるから楽しいのかなと毎度僅かだがそう感じてしまう。
「宇宙に輝くキラキラ星!キュアスター!」
「天にあまねくミルキーウェイ!キュアミルキー!」
「――――投影、開始」
同時に僕も武器を投影する。
いつもの干将・莫耶では敵の数的にキリがないと思い、今回投影したのは黄金に輝く太刀。
あまり使い慣れない武器なので、上手くいくかどうかは分からない。
まあ、やってみれば何とかなるでしょ。
「ほしいなら奪ってみたら?陣形!天狗の団扇!」
天狗がそう言うと、ノットレイ達が団扇のような形に広がる。
成る程、大将である自らを守るように固めたのか。
確かに真正面から向かっていけば袋叩きにされるし、上空から襲いかかろうともそう上手くいかないというのは間違いないだろう…だが、僕にとってこの陣形は好都合である。
「…何やってるルン?」
その場で膝をつき、剣の矛先を天に掲げるという僕の行動に疑問を浮かべるミルキー。
「こいつの力を発揮するには少し時間がかかる。その間、奴らの足止めをしてくれる?」
「足止めって言われても、これじゃあ近づけないルン……」
「なら上から!!」
「ちょ、それはまずいルン!」
強行突破の勢いで、上空へ跳んで天狗女のところまで迫ろうと行ってしまったスター。
「飛んで火にいるなんとやらね…今よ!」
「うわぁぁ!」
だが、案の定ノットレイ達にレーザーで集中攻撃されてしまう。
やはりそう簡単には行かない。だが未だに陣形は整ったままだ。
「スター、大丈夫ルン?」
「…ごめんね」
「「えっ…?」」
突然、スターは僕達にそう告げて謝罪し始めた。
「私、ララちゃんやヘメラくん達の気持ちも考えないで自分勝手なことだったり酷いこと言ったりして困らせてた…本当にごめん!」
「…私も悪かったルン。私もひかるの話も聞かないで勝手なことばかりやってたルン」
「僕も、フワが止めなかったら喧嘩を悪化させてたかもしれない。ごめんなさい」
「それに、ララで良いルン。そのほうが効率的ルン」
「僕もヘメラで良いよ。何かそっちの方が良いし、具体的には分からないけど」
「二人共……うん、これからもよろしくね!」
一人一人、それぞれ自分の悪かったことを挙げていく。
どんなに些細なことであろうとも、仲直りをするというのは成長するための第一歩なのかもしれない。
「…よし、準備出来た。良い作戦があってさ、僕が指揮を執ってもいいかな?」
ーーーーー
「二人共、準備OK?」
「「うん!!」」
…突撃!
僕がそう合図を出すと、二人は真正面へと突進していく。
勿論、ただ真正面に突き進む訳ではない。自分達の展開を考慮しての作戦だ。
「何度やっても同じよ!やっておしまい!」
再び、ノットレイ達による集中砲火…だが、二度も喰らうわけにはいかない。
敵のレーザービームが放たれた瞬間、ミルキーはハート型のバリアをスターと共に身に纏う。
「「今だよ!!(ルン!!)」」
「選定の剣よ、力を。 邪悪を断て…
『
そう叫びながら選定の剣を敵に向けて突き出すと、切っ先から細長く小さな閃光が放たれ、敵陣に着弾する。
そして、その刹那…
「ノットレイ〜!!!」
「何!?」
無数の光の爆発が敵陣を包み込む。
それは、多数のノットレイを吹き飛ばすと同時に土煙で天狗女の視界を狭めるという効果も齎した。
その隙に、ミルキーがペンを取り返すことに成功。スターの方へと投げつけた。
「三人寄れば文殊の知恵、なんだから!『プリキュア!牡牛座、スターパンチ!』」
見た目は普通のスターパンチなのだが、威力はやはり流石はスタープリンセスの力。放った直後に爆煙が起こる程の凄まじい威力だった。
だが、敵はそう簡単にやられる訳にはいかないそうだ。
直前に天狗女は瞬間移動ですぐ様姿を消してしまっていた。あともう少しだったのだが、仕方ない。
『フワに力を……』
とにかくペンを1つ取り返せて一安心。
そんな思いで余韻に浸っていると、突然ペンから何かを告げる声がして、浮かび上がっていく。
『牡牛座フワ!フ~ワ~!』
フワの叫び声と共に、僕達は何処かへワープされていく。
気がつけば、闇に染まった空が辺りを包む邪悪な場所へと転移していた。
此処が闇に飲まれた星『スターパレス』なのだろうか。
「牡牛座のプリンセスがスターパレスに戻ったでプルンス~!!」
「スタープリンセスの力を取り戻して戴き感謝します。ですが、予断は許しません。残る十一星座のプリンセスの力を取り戻さねば、星杯の力によって全宇宙全ての星々がいずれ消え行きます」
「そんな…」
「…ねえ、星杯って何ルン?」
「星杯とは、いわば何でも願いを叶えられる宇宙の凶悪な願望器のことです。星杯を手にすることが出来るのは、星杯戦争という全宇宙の星々との争いで勝ち残った者のみです。皆に伝えていなかったのですか、ヘメラ?」
スタープリンセスの問いに、僕は首を縦に振る。
いずれ話さなければならなかったのだろうが、今までは話さなかったのではなく、話せなかったのだ。
「はい…ですが、プリキュアの使命は十二星座のスタープリンセスの力を取り戻すことであって、星杯戦争に参戦することではない。次の星杯戦争が訪れる前に、一刻も早く封印しなければ…」
僕の言葉を聞いた途端、スタープリンセスは一変して表情を暗くする。
「…残念ながら、第二次星杯戦争は始まっています」
「えっ…!?」
「戦争は星杯の気まぐれで行われるものです。原因は恐らく伝説の戦士プリキュアが誕生したからかと。星杯はプリキュアの力を欲しがっているのでしょう」
「…でも、僕は二人を戦争に巻き込みたくはない。関係のない異星人を殺し合いに加えることは、例え星杯が許せても僕が許さない…!」
「殺し合い……」
その言葉を聞いた途端、ひかるの身体は小刻みに震え出す。
宇宙を守るということはその分、己自身を捨てる覚悟で立ち向かわなければならない。伝説の戦士となるまでは普通の地球人だったのだから、怖がるのは当たり前だ。
だから、彼女を物騒な場所へ連れて行きたくはないのだ。
「お気持ちは十分に分かります……とにかく、貴方達が果たすべきことはプリンセスの力を取り戻すこと。どうか頼みます…」
如何でしたでしょうか?
超多忙なスケジュールがひと段落したのですが、これからも低浮上となってしまう可能性があります…どうか気長にお待ち下さい…!