音に生きろ。   作:千推し箱推し

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アイナナ始めて一ヶ月のにわかもいいとこなど阿呆です。かき集めた情報で何とか捻り出した稚拙な代物です。

初投稿、何でも許せる方向け。


音に生きろ。

 物心がついた時、はじめに思ったのは「何故女の体なのか」だった。

 

 嘘ですごめんなさいはじめに思ったことかどうか覚えてないです。

 ……まあ、そういう違和感だ。とにかく俺は、小さい頃から己の性別に違和感を感じていた。

 

 幼少期の俺の行動は実に単純。

 おままごとはヒーローバトルもの。

 外で遊ぶ時は虫取り網と虫かご。

 履くのはいつだってズボンだった。

 

 幸いと言うべきか俺の外見は結構整っていて、一見して男女の区別がつかなかった。子供だしな。

 その上、男の格好までしていれば周りからの反応も悪くなく、…………いや、めちゃくちゃ良かった。

 女児にはきゃーきゃー言われ、男児とは男らしい付き合いをして。

 こんな感じで立派に幼少期を満喫してたわけだ。

 

 小学校に入学する手前くらいになると、俺が変だと思う奴らも現れた。

 子供らしいからかい方で、それでも少し悩んだりもした。が、入学する時に引っ越したのでそいつらとはあまり関わることはなかった。

 

 入学と同時に、道場を経営している父親の下で稽古をつけてもらうようになった。

 両親は俺の状態に早くから気付いていたようだが、特に改めて触れられることもなく、「女の子の体はか弱いんだから、今のうちに(すべ)を身に付けておきなさい」と言うだけだった。

 ちなみにこの父親は二人目らしく、血は繋がってない。一人目は消えたとか。怖。

 

 入学するまでずっといた母親は、仕事で忙しいのかちっとも見かけない。雇われている家政婦に、会社の偉い人なんだと教えられた。後から知ったが社長だった。しかも海外進出してる超巨大な会社で、手広くやってるとか何とか。……社長令嬢じゃねーか!!金持ちか!!!

 

 その頃は知らなかったものの、小学校でそのことに触れる奴も、触れないようにする奴もおらず、他となんら変わりないであろう生活を送っていた。

 

 

 ところで、俺の家には家訓がある。

 

 一、何事にも全力で、一生懸命に。

 一、やると決めたらとことんやる。

 一、迷う時も信念を忘れず。

 一、健康第一。

 一、実力で勝負すべし。

 一、他人に頼るのも力のひとつ。

 

 ……こんな感じのことがあと5、60は優にあるわけだが。

 ここで書かれていることをざっくりまとめると、「心身鋼を志せ」となる。サイボーグにでもなるつもりか。

 世間でも有名らしいうちの家の認識は徹底した実力主義。

 先ほどのものを見るだけでも、とんだ脳筋善人思考だと思いそうではあるのだが、実はそうでもなかった。

 つまり「悪事をやるなら徹底してやれ」だ。

 まあ、血筋なのか何なのか、基本的に悪事(特にせこいやつ)は叩き潰して実力で、とかいう思考になるので結局のところ変わらないかもしれない。

 小学校でも、俺の家については周知の事実でありながら何のアクションも起こらなかったのには、そういう認識があったかららしい。

 

 だというのに、中学に上がってからは少し変わった。

 

 思春期。

 少年少女が様々な悩みを抱えることで有名な時期に差し掛かってから。

 また、年を重ねて視界や見聞が広がってから、実力主義をどう捉えたのか、擦り寄って媚びを売って、俺を中心としたグループが学校の内外に作られるようになった。

 そこには、俺の外見に釣られたと思われる輩もいた。

 

 中学では制服指定があったので、素直に女子生徒のものを着た。

 校則で決められてることをわざわざ特別視されてまで変えようとは思わなかったし、何より、ほんの少しだけ罪悪感を感じてた。

 もし自分が女だったなら、この体をきちんと着飾ってやれたんじゃないか、と。

 だから、「男の自分が女の格好なんて」なんて忌避感もない俺は――はじめは流石に慣れなくて困惑したが――次第に慣れていった。

 

 自分のこと、家、会社の諸々の事情やらを知ったのはこの中学時代で、そのせいか少し人間関係にうんざりし始めていた。いや、普通に接してくれる友人もいたから、そう酷くはなかっただろうけれど。

 

 その苛立ちと、女性特有の生理のイライラが重なったりした時、俺はよく音楽室へ足を運んでいた。

 

 

 《ゼロ》と呼ばれるアイドルがいた。

 俺が9歳の頃にそいつはデビューして、その三年後に忽然と消えた。

 俺がそいつを知ったのは失踪する一年前。初めての生理に動揺して困惑して、(主に鈍い痛みで)憂鬱になっていた時だ。

 たった三年でそいつは伝説と呼ばれ、たった一年で俺を虜にした。

 その当時、俺は音楽に心を動かす力があることなんて露ほども知らず、ただただ圧倒されていたことを覚えている。

 残念ながらいなくなってしまったので、まだ見ぬ……聴かぬ?音楽を求めて、しばらくはほとんどの時間をレコードショップやライブハウスを歩き回ったり、楽器に触れてみたりすることにつぎ込みまくった。

 

 そのひとつがピアノだ。教師に許可を貰って、放課後の下校時間までなら好きに使っていいということになった。

 もちろん、誰も使用しておらず空いている時だけだが。

 そこそこ大きい学校で、部活で使用されない音楽室があって良かった。個別指導でたまに使われる程度だから気兼ねなく使える。

 

 放課後は短い。好きな歌をフルで弾いていたら時間がない。そこで俺はサビだけを弾くことにした。

 日によっては一曲をフルで……なんてこともあるし、メドレーや、自分なりのアレンジを弾いてみたりすることもあった。

 

「(……今日は一曲サビだけ、アレンジで変えつつだな)」

 

 その日その時に浮かぶ感情を音に変えて、あるいは今日一日を思い返して、俺は一心不乱に弾き続けた。

 

 

 ――カタン

 

 

 不意に聞こえた音に、ピアノを弾く手を止めて扉へ視線を向けると、一人の少年が入口に佇んで俺を見ていた。驚いているのか、呆けた顔だ。

 

 ――きれいな蒼色が、俺の背中から差し込む夕焼けの中で、きらきらと輝いていた気がした。

 

 ……俺も呆けていた。ハッと意識を戻してから、改めて少年に視線を向けて口を開く。

 

「……何だ?」

 

 俺の声に少年もようやく動き出す。……いやあんまり動かないな、こいつ。

 

「……名前は?」

「は?」

 

 あれ、俺の質問は無視ですか?

 やや眉をしかめながらも、俺は答えることにした。

 

「……篠山(しのやま) 京佳(けいか)だよ。あんたは?」

「折笠 千斗」

 

 

 

 それが俺の人生の転換期になるなんてことは、もちろん知るはずもなく。

 物語は一応、幕を開ける。

 

 

 …………開けるよな?

 え?これ短編?




諸 々 が に わ か 。
音楽も武術も芸能も商業も全然詳しくないぞ!!大丈夫か自分!!!

これまだ出てない設定たくさんあるし抜けてるけど書き足しにくい出来事とか今いらないとかあれこれ云々。
何ならいつもの癖でいれちゃったけど今後活躍することのない設定とかまで……。
最初期の設定から気が付けば妄想が捗っておかしな方向に一人歩きしやがりました、社長令嬢は驚く。
…………、ま、まあ規模がおかしい原作キャラさんいるから、それに比べたら現実的さきっと。

トランスジェンダーについては、元々浮かんでいた設定に沿う名称を探した結果です。フィクションということも踏まえて、作者にそういった方々を貶める意図はありません。

好評なら頑張ってみようかなと思います、設定魔なのでだいたいの流れはあります、表現力の問題。表現力が問題。
ご指摘は随時受け付けてますので何かありましたら何でも教えてくださいごめんなさい。
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